「普通の大工さん」へのお返し〜職人のランク付けの話〜

今朝、久々にいそがしくまじめに仕事していたら(おい)、ツイッター上で自分の投稿に対してコメント欄で議論が白熱!仕事なんかに(こらこら)集中しすぎて乗り遅れた!と思っていたら、それどころじゃなかったことに気付いた・・以下。

まさかあの知る人ぞ知るブロガー(違っ)で、文才の塊なのになぜか建築現場にやけにくわしく(いやそれ本職)、実はめっちゃ業界の事考えて子方募集して自分でも一歩踏み出したり、職人の処遇改善のために持論を考え抜いて発信しまくってる尊敬してやまない普通の大工さんの記事に、「自分の名前が」。


しかもどうやら怒られてるときた。

いや、よく読むと愛のムチだということがわかったので、痛みをこらえて涙を拭き取り冷静になり以下、返信の意味を込めた記事を書いてみたい。ここからは大まじめに書きます。


まず事の始まりは今年の4月から本格運用が始まった政府主導の建設キャリアアップシステムのつぶやきをしたこと。

キャリアアップシステム(CCUS)とは、ツイートのリンク先を見てもらえばわかりますが、職人の経験やスキルが正当に評価されず職人の労働条件が厳しいがために、若者がはいってこず職人不足の状況を招いている現状に対して国交省を中心に政府、官僚、研究者、企業、労働組合らが集まって作った全国統一の職人管理システムなのです(表向きかどうかはご想像におまかせ)。


なぜか労働組合の内情も知っている僕としては、このCCUSに対して唯一職人を組織していると言える労働組合が「のるかそるか」の議論をしていたことも知っていますし、なんなら今でも色々議論はありますがそれらの議論を乗り越えてこのシステムを「喰いにかかっている」ことも知っています。だから、不十分ではありますが、いやむしろ不十分さをみんなが認識して、変えていく機運を作り出す必要性があると思っています。


さて、本題です。


そもそも職人(に限らず労働者)のランク付けって必要でしょうか?


僕は必要だと思います。


理由は、「賃金を守る基準が必要」だからです。
ちなみにあくまで「単価」ではなく賃金です。ここ重要。

「賃金を守る」とはどういうことか。

そもそも職人含む労働者は常に「賃金が低くなるように」なっています。
なぜなら労働者を雇う経営者の使命はより安く労働者を雇い、より高い付加価値を作り出し、より高く販売することによって利益を最大化することだからです。
その経営者に雇われる労働者は、世界中で世界中の経営者から「賃下げの圧力」を受けているのです。

では、その利益の最大化からくる賃下げ圧力をどうやってはねのけるのか?


それは、「自分の腕」と思っていたら半分正解
「腕」だけで守れるなら今の建設業界の低賃金低単価休み少ない労災隠し社保なし退職金etcetcな、クソみたいな状況にはなってないでしょう。


もう半分は「集団的に守る」ことなのです。

「自分は日当5万だ。すげぇ腕もってるから当然だ!」と言い放っても他の腕の良い職人が「3万で」「2万で」「1.8万で」「うちは経費諸々混みで」とか言い始めたら「5万」は維持できません。だから、自分の「腕の値段」を守るには、「自分”たち”の腕の値段を決めて、集団的に守る」しかないのです。


具体的には、「これこれできる大工には最低いくら」「これこれこれなんかもできちゃう大工には最低いくら」ということを大工集団で決めて、賃下げ圧力がやってきても、「俺たちゃ安くはうらないぜ!!」と突っぱねられるように賃金額を申し合わせたり、そもそも賃下げ圧力をかけられないように経営者側に規制をかけるのです。


ここでいうところの「自分たちの腕の値段」が「ランク付け」というわけです。


さて、ランク付けは、賃下げ圧力に負けず賃金を集団的に守るための基準として必要、だということを理解した上で、本題に戻りまして(今ままでも本題と言えば本題なのですが)普通の大工さんにどうなの建声!おまえの本気はこんなもんか!いや、違うだろ、立て、立つんだ立声!!!(だじゃれかよ)くらいの勢いで書かれた(普通の大工さんがだじゃれを書いたわけじゃありません。念のため)記事への応答をば。


CCUSの細かな評価基準や仕組みについてはちょっと文章長くなってきたのでまた継続議論ということにして、大きな枠組みとしては…


「ここまできたら喰うしかない!!!」というのが僕の考えです。


正直なところ、たとえ職人らで一から別個のシステムを作ったとして、それをゼネコン各社に「飲ませる」ことは非常に高度な組織力と政治力、影響力を持たなければなりません。さらに、利権ととらえられる可能性のあるシステム構築費用をどこから捻出してどの業者に依頼するのか、そのシステムの継続的な維持発展を誰が責任を持って予算を持って行うのか、そのシステムの莫大は広告費用(登録がなければ全国的に使いようがない)は誰がどこからひっぱってくるのかなど問題は山積みです。


なので、CCUSは不参加ではなく「喰らう」のが良いと僕も思っています。


というわけで、CCUSのシステムはそのまま政府を中心に維持発展してもらうが、ランク付けの内容や、ランクにひも尽く賃金部分については余地があり、そこにこそ影響していく必要があるのではないか、というのが僕の考えです。


現状では、それぞれの職種別組合(労働者組合ではなく親方組合)が入ってはいますが、僕的にはちょっとセンスが悪い評価基準だなと思っています。それって機能する?っていうのは普通の大工さんと同じ思いです。ですが、CCUSそのものは否定しない、それが僕の立場です。


これで、僕なりの回答とさせてください。普通の大工さん♪