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声のメインテナンス

この夏、流行り病にかかってしまいました。
症状は風邪と大差はなく、数日すれば回復に向かっていったのですが、この期間に一番重かった症状が喉の腫れでした。水を飲み込むのも痛いほどに腫れ、ひどい咳も伴っていました。

5日ほど経って、症状もほぼほぼ治まり、日常に戻るに当たって、まずは声のメインテナンスをする必要がありました。喉にかかっていた負担は相当なものだった様子で、出なくなってしまった音域があったり、レジスターコントロール(地声や裏声のコントロール)がうまくいかなかったり、というような症状が出ていました。地道で丁寧なメインテナンスが必要なのは明確でした。

『風邪をひいて、その後声が出なくなりました』というような声をよく耳にします。ですが自分でメインテナンスの仕方を知っていれば、日常の喉の状態に効率的に戻していくことができます。
というわけで私の簡単なメンテの方法をシェアできればと思っています。

(注)これは基本的に喉にポリープや結節のような異常がない場合を想定して書いています。

●声を出す前に…..
首周り、肩周りを優しくほぐすようにマッサージ、ストレッチ。風邪のあとは首周りがカチカチになっているケースが多いように感じます。

そして喉周りのストレッチをしていきます。
あくびをする要領で上顎の奥、軟口蓋という場所をしっかりと上へ持ち上げていきます。何度もあくびが出ますが、根気強くちょっとずつ上への可動域を広げていきます。
次に舌根を下へと押し下げていきます。嗚咽するような感覚になりますが、少しずつ少しずつ深く喉の奥を開いていきます。
口を開けて中を覗いた時に、喉ちんこと舌がしっかり離れていればうまくストレッチできていると思って良いと思います。

この喉のストレッチで、声のメインテナンスのベーシッックな部分はできてしまうといっても過言ではないんじゃないかなと思っています。
出なくなっている音もこのストレッチ後には出るようになることがよくあります。

●声を出していきます。
まずはザックリ、声の全音域チェックしていきます。
リップロールでドミソドソミド、とか、まあ、なんでも良いのですが、上昇して下降するスケールを歌っていきます。自分の音域をとにかく一旦全部歌ってみます。そうすると普段は歌えるのに、喉が安定しない音域、音にならない音域など、不調な部分が見えてきます。

これが見えてきたら今度は不調な音域にフォーカスしていきます。こんな手順で行きます…
①不調な音域の中でも比較的出しやすい音を見つけます。
②見つけた音をいろいろな母音で声を出して、比較的響きを感じやすい母音を見つけます。
③その音階をその母音で声を出し、その音を基軸にしてシャくるように上昇していく、あるいは投げるように下降していく、などして出なかった音に少しずつアプローチしていきます。
④一つの母音でうまくいったら、次の母音、という風に、どの母音でも音声化できるようにゆっくり丁寧にアプローチしていきます。

で、音にならない場合、どうするかというと、下顎の位置、舌の位置、上顎の位置などをランダムに動かしながら声になりやすそうな位置を探していきます。
ここで今一度、喉の奥のストレッチをしてみることも必要になってくると思います。さっきよりも念入りにストレッチしながら顎も動かしてみる….
でもう一度歌ってみると声がストーンと出るようになったりします。

体力が落ちている時や、喉を使いすぎたあと、喉を休ませてあげることもとても大切だと思います。ですが、できる範囲でメインテナンスを継続して現状を把握しておくこと、喉を使うときにある程度安定、安心して思いっきり使えるコンディションにしておくことで、どんな時にも歌うことの喜びを深く味わうことができるんじゃないかな、と感じでいます。

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