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解熱鎮痛薬の選び方

最近市販の解熱鎮痛薬が品薄らしい。
どうやらというか確実にそうなのですがコロナワクチンの接種による影響らしい。2回目接種の翌日発熱している人の話はよく耳にします。

最近のボイスカプセルのラジオでメンバーの小西が「サルにとって当たり前の薬の話も、全部新鮮に聞いている」と言っていたのと、患者さんからも解熱剤のことをよく聞かれるので今回は解熱鎮痛薬の選び方の注意点と使い方をお伝えしようと思います。普段薬剤師をしております、ボイスカプセルのサルです。

解熱鎮痛薬は医師が処方してくれる薬(処方箋医薬品)にも市販で売られているお薬(OTC医薬品)にもあります。
文字通り、痛みを和らげ・熱を下げるお薬です。

病院やクリニックで「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」、「カロナール」などの解熱鎮痛薬をもらっている方はそれを飲めばいいのですが、
問題は普段薬をもらっていない人が市販の薬(以下OTC)をどう選べばいいのかだと思います。


OTCで使われている解熱鎮痛薬で該当する有名どころは以下の成分と商品です。

①アセトアミノフェン
 ⇒OTC商品名:『タイレノール』
②イソプロピルアンチピリン(ピリン系)
 ⇒OTC商品名:『セデス・ハイ』
③イブプロフェン
 ⇒OTC商品名:『イブ』シリーズ、『バファリン』シリーズ
④ロキソプロフェンナトリウム
 ⇒OTC商品名:『ロキソニンS』

細かく言えば、
・インドメタシン
 ⇒OTC商品名:『バンテリン』シリーズ
・フェルビナク
 ⇒OTC商品名:『フェイタス』シリーズ
も解熱鎮痛の薬ですがこれらは貼り薬がメインなので今回は割愛させていただきます。

上記の商品名は有名どころ抜粋しただけで細かく言えば実はまだまだたくさんあります。同じ成分を使っていても成分の『量』や『組み合わせ』を変えて違う商品として売られています。
なので何が何だか違いが分からなくなります。

例えば、セデスシリーズの『セデスキュア』にはイソプロピルアンチピリンではなくイブプロフェンが構成成分です。
風邪薬で有名なバファリンですが『バファリンEX』にはロキソプロフェンが配合されています。ロキソニンSだけがロキソプロフェンではないんです。


そしてここからがサルなりの選び方になりますが、
きっと解熱鎮痛薬を探す人は頭痛や発熱などに備えて薬を探していると思います。

そういう方は、


「イブプロフェン(③)」 か 「ロキソプロフェン(④)」

 ±「アセトアミノフェン①」± 「無水カフェイン」
±「~アルミニウム・マグネシウム」のみ(※)

で構成されている薬を選びましょう。
(※腎臓が悪い人は例外です、最後にちょこっと補足書きます)

『±』が多くてすみません。
とにかくメインは「イブプロフェン③」か「ロキソプロフェン④」です。

理由は、アセトアミノフェン(①)やイソプロピルアンチピリン(②)より、
イブプロフェン(③)、ロキソプロフェン(④)の方が効きが良いかつ、たいがい説明書通りの服用量でちゃんと効くからです。
アセトアミノフェンは解熱鎮痛薬や風邪薬に品数多く配合されていますがしっかり体格に合わせて飲む量を変えることがベストなので説明書に書かれている服用量が少ない可能性があります。
大人は大人でも40㎏の人はアセトアミノフェンを1回で400㎎、60㎏の人は600㎎飲むのが理想です。
1回2錠飲んでくださいというアセトアミノフェンが主剤のOTCで2錠中300㎎しか入っていないのもざらにあります。
アセトアミノフェンはもともと効きが優しくて安全で使いやすいんですが、肝心な痛みや熱が気になるときに優しい薬を少なめで飲んでちゃそりゃ効かないです。
イブプロフェンやロキソプロフェンのお供としてついているアセトアミノフェンはイブプロフェンとロキソプロフェンが期待するメインの作用を果たしてくれるので問題ないです。


無水カフェインは眠気がでないので大丈夫です(笑)


「~アルミニウム」や「~マグネシウム」は胃薬なのであってもなくてもどっちでもいいです(笑)


そして”のみ”と書いたのにも理由があります。

市販の頭痛薬には「アリルイソプロピルアセチル尿素」という成分が入っているものがたくさんあります。
「ロキソプロフェン(④)」+「アリルイソプロピルアセチル尿素」とか。
アリルイソプロピルアセチル尿素は鎮静作用があり、痛みに過敏に反応している頭に「おーい、少しおちつきなさーい」って作用します。
痛みをとるのにはあってもいい効果なんですが、これがかえって『眠気』として思わぬ方向に効果が生じる可能性があります、副作用ってやつです。
ただ熱を下げたい、痛みをとりたいという人には邪魔になる可能性があります。

なので頭痛や発熱(コロナワクチン)に対して薬を用意しようと考えている人は、「イブプロフェン(③)」か「ロキソプロフェン(④)」±「アセトアミノフェン①」±無水カフェイン±「~アルミニウム・マグネシウム」のみで構成されているものを選ぶといいと思います。

具体的には

・バファリン ルナi:イブプロフェン+アセトアミノフェン+無水カフェイン +乾燥水酸化アルミニウムゲル 70mg

・バファリンEX:ロキソプロフェン+乾燥水酸化アルミニウムゲル

・ロキソニンS:ロキソプロフェン

・ロキソニンSプラス:ロキソプロフェン+酸化マグネシウム

・EVE(シンプルなただのイブ!):イブプロフェン

・EVE MELT(イブメルト):イブプロフェン

が、ぱっと調べてわかるOTC医薬品でした。

私はいつもロキソニンSを買っています。ロキソニンSが売り切れだったという患者さんの声もあるのでもし自分が買うときに売り切れていたら上に書いた中のほかの薬で代用します。


そしてこれらの薬は

6時間空いていれば再度服用可能、食後でなくてもコップ1杯の多めのお水で服用すればOK

というのが実際のところです。説明書とは逸脱するので自己責任になりますが臨床上まず問題になることはないです。

私は説明書はほとんど見ずにこの使い方で服用しています。
この使い方は胃潰瘍などの病歴が胃にないこと、腎臓に問題がないことが前提になっていますが多くの方はここに該当すると思います。

また、今回は多くの人が該当しそうなところで市販の解熱鎮痛薬の選び方を紹介しましたが、腎臓が悪いと指摘を受けている方は「アセトアミノフェン①」±無水カフェインになります。市販薬ではそろえるのが難しいことが多いので病院を受診することをお勧めします。


市販の解熱鎮痛薬ってたくさんあってどれを選んだらいいかわからないという方は参考にしていただけると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました🐵

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