📧産業構造の変化と新時代へ持っていくべきこと⑥(2019年3月)

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1989年(平成元年)
価総額上位10位までのランキング 次のようだったそうです。
1位：NTT　1,638.6億ドル
2位：日本興業銀行　715.9億ドル
3位：住友銀行　695.9億ドル
4位：富士銀行　670.8億ドル
5位：第一勧業銀行　660.9億ドル
6位：IBM（米国）　646.5億ドル
7位：三菱銀行　592.7億ドル
8位：エクソン(米国)　549.2億ドル
9位：東京電力　544.6億ドル
10位：ロイヤル・ダッチ・シェル(英国)　543.6億ドル

上位10位だけでなく50位までの32企業が日本企業とまさに【ジャパン・アズ・ナンバーワン】でした。

30年の月日が経ち、2018年の世界の時価総額上位はどのようになったのでしょうか。
【2018年7月時点の時価総額上位】
1位：アップル(米国)　9,409.5億ドル
2位：アマゾン・ドットコム(米国)　8,800.6億ドル
3位：アルファベット(Google)(米国)8,336.6億ドル
4位：マイクロソフト(米国)　8,158.4億ドル
5位：フェイスブック(米国)　6,092.5億ドル
6位：バークシャー・ハサウェイ(米国)　4,925.0億ドル
7位：アリババグループ・HLD(中国)　4,795.8億ドル
8位：テンセント・HLD(中国)　4,557.3億ドル
9位：JPモルガン・チェース(米国)　3,740.0億ドル
10位：エクソン・モービル(米国)　3,446.5億ドル
※2018年7月20日時点

2019年1月末時点ではアマゾン、アルファベット、マイクロソフト、アップルの順。
上位10位内に日本企業は存在しません。50位内まで範囲を拡大して35位にトヨタ自動車が1,939.8億ドルで辛うじてランクインしているに留まります。
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏は日本の経済の変革を大きく3つのフェーズで捉えています。

今回は日本の産業構造と金融機関の変化をこの3つのフェーズを中心にこれから向かえる新時代に私たちがどう考えていく必要があるのかを私なりの解釈でお伝えしていきます。

第1フェーズ：戦前40年体制と復興・高度経済成長

まず野口氏の考えている第1フェーズが第二次世界大戦中の1940年頃に作られた統制経済体制、所謂「40年体制」(または戦後の55年体制)にあるとされています。

40年体制には２つの側面があり①長期信用銀行と都市銀行による金融システム、 ②大蔵省を中心とした官僚システムです。

２つが噛み合って社会経済を動かして巧く機能したのが1950～1970年代の高度経済成長期でした。
国民の預貯金という戦中から続く国策による習慣で金融機関には大量の資金が集まり、企業は設備投資に旺盛な資金需要があり、銀行は貸し出せば金利収入、預金で国債を買えば利息収入が得られました。

第2フェーズ：バブル経済の到来と乗り遅れた構造変化

第2フェーズは1980年代、日米防衛摩による円高不況の影響でこの企業の設備投資需要が失します。

この際に欧米の銀行のように投資銀行へ変化すべきだった日本の銀行ですが、結果的に安易な不動産投資のための融資を行いました。

つまり目先の利益を得る方法へ走り、変化をする機会を逸したのです。

銀行の株や不動産への融資によってバブルは更に加熱。
1989年12月に日経平均が最高値を更新しました。
翌年から徐々に下落をしていった日経平均ですが、地価の下落は少し遅れ1991 年に入ってから下落を始めました。
バブル期を振り返ると必ず紹介される場所に「ジュリアナ東京」があります。

バブルが弾けた2年後の1991年にオープンしています。
つまりジュリアナ東京の狂乱をバブルの象徴のように扱うのは、日本人はこの時まだバブルが弾けたと正しく認識していなかった事の皮肉と言えます。

※田町(芝浦)にあるポートボールのビルの場所がジュリアナ東京のあった場所。ビル側面にはかつてジュリアナ東京だった場所への入口が残っており、外壁にはJULIANA'Sの看板が薄れつつも残っているのを確認することが出来る。

日本人が日本経済の危機的な状況をようやく認識をし始めたのは1997年に北海道拓殖銀行、1998年には日本長期信用銀行が破綻。

時既に遅しだったことが分かります。

同時期に大蔵省を中心とした官僚システムへの信頼もノーパンしゃぶしゃぶ事件などのスキャンダルを機に失墜していき「40年体制」の中核が崩壊しました。
大蔵省は国民の不信を払拭するために財務省、金融庁、国税庁に分割されその中央集権による権限を失いました。

第3フェーズ：バブル崩壊後「失った20年」変化できない日本的経営