第956回「豊田英司の"今日のベトナムニュース解説"」米ドル高で逆風にさらされるベトナム企業
本日の記事：
「米ドル高で逆風にさらされるベトナム企業」
原題：
" Vietnam's businesses face dollar headwinds "
記事リンク：https://tuoitrenews.vn/news/business/20240312/vietnam-s-businesses-face-dollar-headwinds/78726.html
【本日のポイント】
（１）現在、米ドルの価値が闇市場で急騰し、為替レートが1ドル＝25,000ドンを超えるなどドル高が進行している。
（２）闇市場でのドルの価値急騰は、特に小規模輸入業者に損失をもたらしており、大きな頭痛の種となっている。
（３）製造コストの上昇や原材料調達の困難に直面する企業は、原材料の一部を輸入品からベトナムの地元製品に転換を図るなどの対策を講じている。
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【解説】
アジアゲートベトナム代表の豊田です。
さて、今日の記事について。
ベトナムドンが米ドルに対して弱くなっているみたいですね。
要するに一ドルのものを買うためにドンをより多く支払わないといけないということで、ベトナム国外から部品や原材料、商品を輸入をする企業は概ね原価が上がって苦しくなる、という訳です。
確かに、5年間の米ドルとベトナムドンの為替推移を見てみると、2022年10月ごろにベトナムドンが急に弱くなった後、落ち着いたんですが、またじわじわとベトナムドンが弱くなってきているようですね。
ただ、当然ですが、ベトナムから製品を輸出する企業は同じ1000ドルの製品をアメリカに売っても、それをベトナムでベトナムドンに替えれば、以前よりも多くなるので、一見、嬉しいはずなのですが、ただ、輸出型の企業の多くが原材料自体はベトナムで調達できず輸入しているので、結局、差し引きすると、あまり利益が増えていない、という現状もあるようです。
経験上、ベトナム人は「弱いベトナムドン」という意識がかなり強く、いつベトナムドンがインフレになって自分の資産が大きく目減りするか、ということにかなり神経を尖らせていて、できるだけ米ドルを手に入れようとしますし、なんなら、海外に働きに行って直接外貨を手に入れることは、そういう「安定資産を手に入れる」という意味合いからも重要視しています。
ですので、案外、その辺の知り合いのおばちゃんとかでも、
「ベトナムドンはまだ安くなるから、米ドルを増やしたいから、日本に戻った時に米ドルを買ってきてくれないか」
とか、私に頼んできたりします。
日本だと外貨の取引は何か特別なもの、リスクのあるもの、という印象も強いと思いますが、ベトナムでは一般庶民レベルでも、常に為替レートを意識して生活しているのは非常に興味深いところであります。
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【記事の日本語訳】
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米ドル高で逆風にさらされるベトナム企業
ベトナム・ドンと米ドルの為替レートは、最近特に闇市場で米ドルの価値が急騰したことを受けてドル高傾向にあり、ベトナム企業を混乱に陥れている。
2月中旬、ベトナムドンと米ドルの為替レートは1ドル＝25,000ドンを超えたが、現在は1ドル＝25,600ドンと25,700ドンの間で変動している。
ベトナム北部バクザン省の部品製造会社のグエン・ドゥック・クオン会長は、為替レートの上昇に懸念を表明した。
彼は、損失を最小限に抑えるためにドルを備蓄しなければならないと述べた。
「輸出企業は米ドルで収益を上げ、それをドンと交換し、外貨で支払いを行っている」と彼は詳しく説明した。
「ドル・ドンの為替レートは企業にとって大きな損失となる。
米ドルの保管は為替レートの高騰に対処する方法だが、支払いにベトナム・ドンが不足する企業は米ドルの売却を選択せざるを得ないとクオン氏は指摘する。
ドルの値上がりは多くの小規模輸入業者に損失をもたらしている。
Vinacam Group JSCのVu Duy Hai社長は、外国為替レートの上昇が企業に頭痛の種を与えていると述べた。
Hai氏は、闇市場における法外なドルの価値は、企業、特に小企業の負担を増大させると述べた。
世界市場でのドル相場は安定しているが、闇市場でのドンとドルの為替レートは急騰しており、闇市場での外貨需要が旺盛であることを示している。
Hai氏は、闇市場でドルを高値でドンに交換できるため、為替レートの急上昇は輸出業者にとって利益となると見ている。
現地の輸出業者は、輸入よりも、ドル高を利用して輸出を増やすことができる。
しかし、Global Trading Connection Company Limitedのグエン・ゴック・ルアン取締役は、輸出をしているにもかかわらず、生産用の商品を輸入せざるを得ず、利益を得るのが難しいと嘆いている。
WiGroup社のTran Ngoc Bau社長は、経済発展のためのドルの需要と供給のギャップはそれほど大きくないと語った。
ベトナム統計局の統計によると、ベトナムは2024年の最初の2ヶ月間で47億2000万米ドルの貿易黒字を享受した。
一方、米ドル指数は英ポンド、ユーロ、スイスフラン、日本円、カナダドル、スウェーデンクローナなどの主要通貨に対して弱くなっていると見られる。
現地の専門家の多くは、闇市場でのドル価値の上昇は金価格の変動に似ていると述べている。
一部の現地企業代表は、米ドルの流通をより厳しく管理することを提案している。
この措置は、銀行から闇市場に米ドルが大量に流入するのを防ぎ、現地市場のドル需給の均衡を守ることを目的としている。
複数の業界が問題を抱えている
Tan Quang Minh Manufacture and Trading Co. Ltd.のグエン・ダン・ヒエン総経理は、飲料業界は外国為替レートの上昇を含むいくつかの課題に直面していると述べた。
同社は一部の飲料、原材料、プラスチックビーズを輸入し、米ドルで支払いを行っているため、製造コストを3～4％押し上げている。
しかし、同社製品の消費は低迷しているため、販売価格はここ数ヶ月調整されていない。
「外国為替レートの高騰による損失を減らすため、海外への出荷を促進する一方で、輸入の代わりに地元市場に原料の調達先を求めています」とHien氏は語った。
ベトナムカシューナッツ協会の副会長であるBach Khanh Nhut氏によると、現地の輸入業者は年間280万トンのカシューナッツの代金を米ドルで支払っており、彼らの負担を高めているという。
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以上 豊田英司
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