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【本当に能力不足が原因か?の件】

【本当に能力不足が原因か?の件】

ベトナム人事労務コンサルティングのアジアゲートベトナム代表の豊田英司です

今日は、もう、当たり前だけど、大事な話を簡潔に。

ベトナムのスタッフの方で

・期待している業務内容が全くこなせていない
・ミスばかりする
・いつも納期に間に合わない
・遅刻ばかりする

、というような事態になった時、

「仕事の能力が低い」
「遅刻癖がある」
「常識がない」

という風にひとくくりにする前に、こんなことを少し考えてみてはどうでしょうか?

(考察1)こちらがやって欲しい仕事内容がキチンと伝わっていないのではないか?

日本語で言ったことを英語で伝え、さらにベトナム語で伝える、という行為はまさに「伝言ゲーム」です。

多くの場合、英語で伝えるケースでは

(ボスの日本人)日本語で考える

(ボスの日本人)脳内で日本語→英語に変換して伝える
→ここで英語能力によるが、伝えたい内容がいくばくか損耗する

(部下のベトナム人)ボスの英語を受け取る
→まず、そもそも、英語能力によって、幾ばくか損耗する

(部下のベトナム人)脳内で英語→ベトナム語に変換して伝える

→さらに、そもそも、ボスの話が母国語ですら理解できない内容、前提が抜けていて誤解を生じるなどがあると、さらに損耗

と、だいぶ損耗してしまう可能性もあります。

ですので、結構、メッセージの「減少」「ゆがみ」「誤解」率は高いです。

特に「口頭」での伝達は、かなり危険です。

私はできるだけ、文字での伝達を心がけていますし、文章は、できるだけ、シンプルな短い文章を何個も送るスタイルで、さらに、同じ内容を違う聞き方、違う言語(英語、ベトナム語、日本語)で聞いたりと、できるだけ私が伝えたい内容が減ったり、歪んだりしないように気をつけてます。

(2)こちらが想定している仕事の重要度と緊急度が伝わっていないのではないか?

普通のビジネス感覚で

「この状況だったら、当然、この案件は重要x緊急で優先度トップで、今すぐ、着手するでしょ」と思っていても、土壇場まで全然着手しなかったり、平気で雑用みたいな仕事を先にやっていたりして

「おい!」

と思った経験がある方も多いと思います。

これは私の私的な意見としては、ベトナムでは一般に

「一度ではOKが出ず、何度か手戻りがあって、完成する」

という「失敗を織り込んだ工程見積もり」が極めて甘い、というか、ほとんどされていないことが多いなぁ、、と思わざるを得ないです。

なので、締め切りギリギリに「出来ました」と持ってきたものが完成度60%ならまだいいですけど、全く意図しないもので「完成度0、てか、コストと時間を考慮すればマイナス」なんてことは、当然にしてあります。

もう、これに関しては

・締め切りを本当の締め切りより早く設定しておく
・こちらから、中間チェックを頻繁に行う

ということで防ぐしかないと思います。

こういう「時間通りに完成させるために、まめに進捗チェックする」というのは、日本人の得意とするところで、逆にベトナム人の方の締め切りが迫った時の集中力と加速力はとんでもないものを感じるので、お互いの長所を活かせればいいかな、ともう割り切ってます。

まぁ、これはあくまでも、私の個人的な経験の話ですので、皆さんの会社では違うかもしれないですが。

(3)何か、仕事がちゃんとできない事情があるのではないか?

特にベトナムでは、人が生きていく上で基礎となる

・公共交通機関の整備
・医療・介護などの金銭保障やサービス内容
・教育機関(幼稚園、保育園、小中学校、習い事など)
・年金支給額
・契約の潤滑な履行

などが不十分だし、不透明だったりなので、自分だけでなく家族にちょっと何かあると、急に物理的・精神的なプレッシャーがのしかかってくることも多いです。

そして、「心ここに在らず」だけでなく、「あれ?彼女、またデスクにいないで、どっかで電話してるの?」で、「カラダも、ここに在らず」、みたいな場合もよくあります笑

このように、そもそも、業務で能力を十分に活かせない状況に陥っていたりする場合もすよくあります。
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まぁ、もちろん、大半の場合、「単に能力が低いだけ」なのでしょうが、もしかしたら、こういうことが支障となっている可能性もあるので、

「仕事の能力が低い」
「遅刻癖がある」
「常識がない」

と断定してしまう前に、以上のような状況がないのか?をもう一度、振り返ってみてもいいのかな?と思います。

実際、伝達方法などはこれを変えただけで、急に会社全体の業務効率が上がった、というお声はよく聞きますので。

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(アジアゲートベトナム代表  豊田英司 )


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