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第744回「豊田英司の"今日のベトナムニュース解説"」公営住宅の家賃を10倍にする決定も住民の猛抗議で撤回:ハイフォン市

本日の記事:
「ハイフォンの公営住宅、突然の急激な家賃値上げに居住者は衝撃」
原題:
" Hai Phong public housing occupants shocked by rent hikes "

記事リンク:https://e.vnexpress.net/news/economy/hai-phong-public-housing-occupants-shocked-by-rent-hikes-4549778.html


(写真:「新しく設定された家賃はとても払えない」と嘆く公営住宅の住人:ハイフォン市)


【本日のポイント】

(1)ハイフォン市で公営住宅に住む住人たちが新しい住宅への引越しに伴い家賃が「10倍」になるような事態となり、住民たちから猛烈な抗議が起こっている

(2)ハイフォン当局は当初「新しいアパートの建設費用などから法律に基づいて計算した適正な家賃設定である」と主張したが、結局、撤回を発表。

(3)今後、引退世代が増えるベトナムにおいて「不十分な年金・住宅」に関する問題はきちんとした対策が検討されておるとはいえず、それを支える現役世代の負担という面も含めて今後、ますます問題化すると思われる。

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【解説】

アジアゲートベトナム代表の豊田です。

さて、今日の記事について。

ベトナムで不動産の話題になると、以前は高騰の話、そして最近では不動産販売価格の急落の話題がよく出てきます。

ただ、ベトナムの新聞を見ていると同じくらい話題に上るのが

「都市部での公営住宅の不足」

の話題です。

ベトナム政府は民間の不動産会社にも「低所得者向けの住宅提供」について積極的に推奨しているのですが、そりゃ、まぁ、高い家が売れているうちは、なかなか、そちらの方に注力しようという会社は多くはないでしょう。

そこで都市部では安い公営住宅に住んでいる人が多いわけですが、先日、ベトナム北部の港湾都市ハイフォン市にある4つの公営団地の居住者に対してハイフォン当局が

「家賃を7倍から10倍に上げる」

と突然発表し、当然、住民からもう抗議が起こり、当局は、一旦、撤回を約束しました。

まぁ、この話だけ聞くと「むちゃくちゃ」に聞こえるんですが、話を読むと、まぁ「あー、まぁ、、わかるけど、、」という内容でして。。。

まず、そもそも、「10倍になった」のは、住居が変わったからなんですよね。

今回、抗議している住人たちは、それ以前に1975年から80年にかけて建設された老朽化し壁に亀裂が入り、屋根から雨漏りがするような公営住宅に住んでいました。

この公営住宅の家賃は月40万ドン(約2,300円)と「破格」と言ってよい激安でした。

ところが2017年ごろからハイフォン市は、このような老朽化し倒壊の恐れもあるアパートに変わり新しいアパートを建設、住人を随時、引越しさせていたのですが、家賃自体はそのままでした。

ところが、当局は今月12月1日に突然値上げを発表し、その値段が約400万ドン(2万3千円)と10倍になったことで住民が

「そんな家賃、払えない!」

と猛抗議に至った、ということです。

まぁ、でも、ハイフォン市内で40平方メートルのアパートなら、それでも安い方なんですけどねぇ、、、

今回、抗議している方々の話を聞くと

ある老人は

「私と妻は年金をもらっておらず、月収は2人で400万ドンほど。母の介護もあり、とても家賃など支払えない」。

さらに81歳の女性と盲目の夫は、

「500万ドンの年金で暮らし、他に収入はない。こんな高い家賃を払えるわけがない。」

と、これも、そりゃ、抗議するよな、という話で、、、

ハイフォンの建設局長は、当初は

「この新しい家賃は新しいインフラへの投資を回収するための現行の規則に基づいた適正な金額である」

と正当性を訴えましたが、結局、一旦、撤回を発表し、来年の早い時期に

「我々は、手頃な価格の新しい家賃を発表する」

と述べました。

まぁ、今、ハイフォン市で普通に夫婦で生活しようと思えば、どんなに少なくとも600〜700万ドンくらいは必要だろうなぁ、、と思いますので、そもそもの年金額が厳しいんだよなぁ、、という気もしますが。

1990年代以降、急激な成長を遂げたベトナム社会ですが、それから30年が経ち、田路、現役だった世代が少しずつ引退していくにつれ、このような

「年金」「住居」の問題がクローズアップされていくのは確実かと思います。

我々の会社で現在、働いている従業員も両親が引退すると、その生活を国に頼ることができず、毎月の給与の中から仕送りなどで負担しなければならないので、人事労務問題の観点からも見過ごせないトピックといえます。

以上 豊田英司
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