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みんなで考える「ベトナム人事マネジメント」〜第1回:「信用」と「裏切り」〜

みんなで考える「ベトナム人事マネジメント」

ASIA GATE VIETNAM

豊田英司

第1回:「信用」と「裏切り」

 ベトナムで会社設立や経営上のお悩みのご相談をいただく中で、 特に私が日本や海外で人事系の仕事をしてきたこともあり、ヒトに関するご相談をよく受けます。

このコラムでは私が日々出会うご相談について書き綴っていきたいと思いますので、是非皆様も一緒に考えていただければと思います。

 「信じていたベトナム人社員に裏切られた」というのは、残念ながら非常に多いご相談です。

日本人は

「社員とは“私欲”よりも“会社利益”を優先するものだ」

という前提の方が多く、前提や考え方の違いへの戸惑いに非常に強い衝撃を受け「裏切り」と感じるケースが多いようです。

 

 「裏切り」と感じる内容は、大きく3パターンに分けられるように思います。

 

 

ここでは「1.常識の違い」について少し説明したいと思います。

 以前、顧問先のベトナム人社員様が

 「購買先からキックバックを貰っていた」

 という事実が発覚し、日本人社長様が「信じていたのに裏切られた!」と激怒された事がありました。

 

私が

「“キックバックを受け取ってはいけない”と事前に明確に伝えましたか?」

とお聞きすると、「言ってないけど、こんなこと“常識”でしょ」と。

 

私は同様の事例を多く見てきたのでこうアドバイスしました。

 「確かにわざと行っているケースもありますが、もしかしたら本人は“やってはいけない”ということ自体を知らない可能性もあります。本人を詰問する前に“キックバックを貰ってはいけない”という規則を作りたいがどうか?と相談する形で、お考えを伝えてみてはいかがですか?」

 と。

 すると後日、社長様は苦笑いで、

 『参ったよ。豊田さんの言った通り伝えたら、キョトンとして「ベトナムではみんな、やっていますよ。先方から“どうぞ”と渡してくるのに、なぜ断る必要があるのですか?」って、不思議そうにしてたよ』

 と話され、その後、日本本社が考えている「コンプライアンス」について半日かけて説明し、社員様も理解してくれたとご報告いただきました。

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今回の教訓!!

「裏切られた!」と言う前に「しても良いこと・悪いこと」の「前提」が共有されているか、もう一度、チェックしてみてはいかがでしょうか?

以上

 

(紹介文)
豊田英司(とよだえいじ)
ASIA GATE HAIPHONG Co., Ltd : General Director
【略歴】米系大手製薬会社や日系建設機械メーカー、日系人材企業にて営業、国内人事労務・海外人事労務を担当。駐在員としてインドネシアやベトナムにて会社設立を担当。

現在はASIA GATE HAIPHONGにて企業設立時のサポートや人事労務コンサルティングや会計事務所、法律事務所とも連携したベトナムでの経営相談のワンストップサポートを実施している

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