第1025回「豊田英司の"今日のベトナムニュース解説"」ベトナム国家銀行での生体認証登録義務化に顧客が困惑させている
本日の記事：
「ベトナム国家銀行の生体認証登録義務化に顧客が困惑」
原題：
" Biometric registration required by Vietnam’s State Bank confuses customers "
【本日のポイント】
（１）ベトナム国家銀行が義務付けた1000万ドン以上の送金の際に求められる顔認証により、オンライン送金がスムーズに行えないと多くの顧客が困惑しています。
（２）顧客は顔認証の失敗やシステムエラーで送金ができず、銀行支店での生体認証登録に長時間待たされる状況に不満を抱いています。
（３）特に外国人顧客は支店に出向く必要があり、パスポートの提示が求められるなど、さらなる不便を強いられています。
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【解説】
アジアゲートベトナム代表の豊田です。
さて、今日の記事について。
ベトナムでは7月1日以降、1000万ベトナムドン（約6万3千円） を超える個個人の電子取引に際して、顔認証が必要となっております。
その登録のために銀行の支店へ来る人が殺到し、さらに登録後もシステムがうまく起動せず送金ができない事態も多いようで、混乱を招いています。
まぁ、ただ、こういった生体認証によって不正取引や他人による「なりすまし行為」、オンライン支払い取引における詐欺のリスクなどを考慮すれば、登録トラブルはあればど、今回の登録義務化は致し方ないのかなぁ、、、と思いますね。
私がベトナムに来た2011年頃は工場のワーカーさんなどは銀行で口座を持っていない、と言う方も多く、
「現金で渡して欲しい」
というリクエストが多く、会社としては銀行振込に一本化したいので、
「このリクエストって、聞いてやらないといかんのですかね？」
というご相談が結構ありました。
しかし、ベトナム中銀のデータによると、現在、成人の 87% 以上が銀行に支払い口座を持っているとのことです。
以前のベトナムでは「急に預金額が減っている」というような信じられない話をちょこちょこ聞きましたし、みんな、「まぁ、ベトナムの銀行ならあり得る」みたいな話をしていて、一般に銀行への信頼感が低いことにびっくりしましたが、さすがに最近はそれはないのかなぁ、、、
でも、２、3年前に、
「1000万ドン、預金をおろしたはずなのに900万ドンしか渡されず、銀行の受付に文句を言っても、”いいえ、私は渡しました”の一点張りだった」
というベトナム人の女性に直接、話を聞いたことがありましたが、、、
ま、ほんと、自分の資産は自分でよっぽど注意を払って守っていかないといけないですね。
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【記事の日本語訳】
ベトナム国家銀行が義務付けている生体認証登録は顧客を困惑させている
ベトナムの銀行顧客は、7月1日より商業銀行が1,000万ベトナムドン（390米ドル）を超えるオンライン銀行送金に顔認証を要求していることに不満を抱いている。
すでに必要な生体認証登録手続きは完了しているが、送金できない状態が続いている。
ホーチミン市8区在住のグエン・ロック氏は、オンライン取引における顔認証の発表を受けてすぐに生体認証登録を行ったという。
しかし、7月1日に1,000万ドン以上の送金を行うことができなかった。
彼は、TPBankのオンラインバンキングアプリで顔認証に失敗したため、送金が拒否されたと語った。
「3回以上試したが、毎回『顔認証に失敗しました。生体情報を再登録してください。顔認証を行う際は、適切なポーズ、適切な光量、適切なカメラの位置を確保してください』という通知が表示された」とLoc氏は嘆いた。
Locは、7月1日にオンラインバンキングアプリで生体認証情報を登録し、送金を行う際に、同じスマートフォン（iPhone 15 Pro）を使用していたと語った。
彼のスマートフォンは問題なく動作し、顔にも変化はなかったと彼は言う。
「システムの不具合により、顔認証を回避するために、金額を低い金額の取引に分割しなければならなかった」とLocは語った。
また、この問題が解消されなければ、ユーザーが多額の送金を行う際に問題が生じるのではないかと懸念している。
一方、ハノイのホアンキエム区に住むドアン・チャンさんは、航空券のオンライン決済で1,000万ドン以上の支払いに顔認証を利用したが、システムエラーのため何度も試さなければならなかったと語った。
「不便だ。顔認証が義務化された後、1,000万ドン以上の送金に苦労している友人が多い」と彼女は不満を漏らした。
銀行アプリでの生体認証登録プロセスは、多くのユーザーをいらだたせている。
ホーチミン市ゴーバップ区在住のミー・カンさんは、銀行アプリで生体認証情報を登録する際にNFC（近距離無線通信）のステップを経験したとき、IDカードが有効ではないという通知が表示されたと述べた。
しかし、彼女は火曜日に別の銀行の銀行アプリで生体認証登録に成功した。
ホーチミン市の多くの住民は、登録に失敗したため、火曜日に銀行支店でサポートを受けた。
フンニュアン区ファンダンルウ通りのベトコムバンク支店は、同日、顧客で混雑していた。
ホーチミン市在住のBさんは、同支店で生体認証登録のサポートを受けるために4時間待ったと語った。
彼は、最初にノットランロン通りのベトコムバンク支店でサポートを受けようとしたが、NFC端末がないことを知らされたと語った。
ビンタン区在住のニュウさんとトゥイさんも同じ目に遭い、支店での長い待ち時間を経験した。
支店勤務の銀行員によると、対応に追われる顧客の数に、スタッフ全員が休憩時間を返上して対応していたという。
外国人については、ベトナム国家銀行からの指示により、多くの銀行が必須の生体認証を受けるために支店に行く必要があると述べた。
チップ内蔵のIDカードを持たない外国人の顧客は、銀行支店に行く際にパスポートを持参しなければならない。
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以上 豊田英司
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