下の子が「得」することについて

やはり予想通り、天気予報はまさかの時に備えて「大袈裟」だった。
キャンセル、時間変更などもあったが、休日のため、気温も上がって雪が溶けた午後から親子での来訪が続いた。
1件目は、小4男子の教育相談。これは教育における現状とそれに対する考え方を求める相談。
2件目は小5男子の作文の指導であるが、これに小1と思われる弟がついてきた。
実はこの子は、以前に文京区で親子カタカムナ音読会を連続開催したときに、上の子に付いて、まだハイハイする頃に「参加」した子であるが、そもそもその会の「目論み」は、兄姉や母親たちが大きい声でカタカムナ音読を練習する部屋に小さい子どもたちがいるとどのように影響するかと言う実験の都会版でもあったので、鳥取同様、その後その幼い子どもたちの言語発達がどのようになったのかと言うことはいつも筆者の関心の的なのである。
まずは兄弟揃って高度にカタカムナ音読ができることがわかった。
そして、同じテーブルについた弟君は、キョロキョロとした目で、私の方を見てくる。見たものへの反応と表情からすぐに非常に高い観察力を持っていることがわかる。両親や兄と話していると、ちょくちょくと自分の意見を言って参加しようとしてくる。それが割と「的確」なので、それにも返さなくなってしまう。小学5年生くらいと会話しているような感じがする。しかし「お邪魔」なので、パズルを与えると、これを一生懸命やりながら、やはりところどころで口を挟んでくる。こちらの会話が完全に聞き取られていることがわかる。まるで可愛い悪魔君のようである。これはヤバい。この子は大人の会話の背後にあることも読み取ることができるはずだ。いったい何になるんだろう。「作家」程度ではもったいない。「作家」兼「何か」になってもらいたい。石原慎太郎氏とかは子どもの頃どんな子どもであったのであろうか。
しかし実は、この「悪魔君」が言葉を挟むのは、その話題が兄の書いている作文の内容だったからであり、しかもそれはこのコロナ下の小学5年生のクラスで起こったある「事件」の顛末のことであるから、下級生としてはなおさら興味を引かれずにはいられない。それにだんだんパズル連続に疲れてきて、会話にばかり関心を向けてくる。ついには一人称は「オレ」になり、関係ないのに、「オレは違う」「オレの方はバッチッリ」とか「参加」し始める。アニメかマンガで覚えるのか。小1で「オレ」を使いこなす子どもは珍しい。「オレ」は男性一人称の中で、自己存在を強く意識した言葉で、ちなみに兄の作文の一人称は「ぼく」である。母親が繰り返し咎めるが、もう大人の会話に参加したくてたまらない子ども、そしてそれが同年齢と話すことよりも面白いことを知っている子どもーそれは正しく子どもの時の「私」の姿であった。どれぐらい「大人の話に口を挟むな」と注意されたことかわからない。
で、本題に戻って、この兄の相談は題を与えられる作文がうまく書けないと言うことであったが、最初に「最近起こったオモロい事件は何か?」と尋ねると、先に述べたように、「昨日の事件」が浮かび上がったので、そのメモを作りながら、「闖入者」の差し込みを撥ねつけながら会話すると、コロナ下の三密防止のために、過度にできる遊びが制限されてイライラが募った男子生徒たちが、雪が降って屋上がびしょびしょで遊べないので、昼休みに教室内でボール遊びや鬼ごっこを始めたために、それを女子が担任にチクると、担任がやってきて生徒にそう言う遊びをすることを禁止し、しかもタブレットでゲーム以外に入試問題のダウンロードも禁止されたことに腹を立てた塾通いでストレスを溜めた4人組が「いったいボクたちはどうすればいいんですかァー?!」と先生を責め立てると、困った先生は、困った時の共通用語の「副校長先生に言いなさい」と言ったので、この4人組が副校長室に行くと、5時間目も6時間目も帰ってこないと言う事態になって・・・・・」と言うもので、すこぶるオモロいが、「書けない」はずのこの子がどんどん自分で書くので、その待っている間鉛筆を削ってやったり、チビのオレ様の相手をしたりした。時間が来たので、「なかなか良く書いたね。手が真っ黒だぜ。後は自分で書いてこい」で終了。
実はこの兄弟には、今日は来なかったが「紅式部」ことコワい姉様がおり、この兄弟は姉への畏れから、その部屋に入ることを禁じられているそうである。
モーツァルトには姉が、紫式部には兄がいた。上の子が何かを習う時、その場に居合わせた下の子が得る学習効果は、とてつもなく大きい。「伸び」が違う。
他にも休日には親子兄弟姉妹で来訪するご家庭が多いが、本当に「得」をしているのはついてくる下の子である。
みなさん、もし下の子がいたら、できるだけ上の子の習い事の場を下の子にも観察体験共有させるようにしましょう。

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