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ラヴェル:スペイン狂詩曲

M.ラヴェル

1875-1937年 フランス
フランスの作曲家であるが、スイス人の土木技師の父、バスク出身の母のもと、フランスのスペイン国境に近いバスク地方で生まれた。フォーレに作曲法を習い、印象主義の作品を書く。ロシアやスペイン、東洋、そしてジャズなどあらゆる音楽に対して興味を持ち、それらが作品にも表れている。

♪スペイン狂詩曲


1907年に4手ピアノ版、1908年にオーケストラ版を完成させている。「私は狂詩曲のスペイン的な性格に驚かされた。……ラヴェルのスペインは母を通して理想的に感じ取られたスペインなのである。」これはスペインの作曲家ファリャの言葉である。この作品はスペイン民謡を引用しているわけではないが、スペインの色彩豊かなリズム、転調の多い旋律、装飾的な特色などが表れている。

1.夜への前奏曲

哀愁を呼び起こす雰囲気を持つ曲である。冒頭の下降するF-E-D-Cisの動きが執拗に現れ、第2、4曲でもたびたび顔をのぞかせ全体の統一感をはかっている。

2.マラゲーニャ

1曲目から続けて演奏される。マラゲーニャはアンダルシアのマラガ地方の三拍子の舞曲である。半音階の動きと、アクセントを伴うリズミカルな動きの対比が面白い。

3.ハバネラ

ハバネラはキューバの舞曲であるが、後にスペインに輸入され人気を得た。物憂げなハバネラのリズムが全体を通して支配している。この曲のみ1895年に作曲した2台ピアノの作品≪耳で聞く風景≫の第1曲ハバネラからの転用である。

4.祭り

前3曲に比べ曲の規模が大きく、華やかなグリッサンドやアルペジオに彩られる終曲にふさわしい曲である。祭りの日の賑わい、そして祭りの中の倦怠感を思わせるような中間部。ラヴェルにとってのスペインを感じとっていただきたい。

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