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デート・アプリがIPOする日(その2)

前回のBumble社のS-1で反響がありましたので、今回はその続きです。短いながら「成長戦略」と「リスク」の部分をとりあげたいと思います。(なお以下の前回の記事同様、完全な翻訳でもなく投資における判断の手がかりになる記事とは限らないことをお断りしております。)

私達の成長戦略

シングルの方々が継続して増加傾向にあり、オンライン・デートそのものに慣れる人たちが増えて、ユーザがより多く課金する傾向にあります。結果的にオンライン・デートのマーケットをさらに広げており、その核となる部分で私達にとって非常に有利な状況になっています。私達はオンライン・デートから始めました。私達のブランドは革新的な製品開発とテクノロジーのプラットフォームの2つを結びつけることで、デートそのものを拡張し、また既に存在している、あるいはこれから作られるであろうマーケットの両方において、新しい分野への展開を広げることができると信じています。


既存のマーケットにおけるユーザが広がりを見せている 対象としているマーケットの中で製品がすでに広く採用されていることは、非常に大きな利点だと信じています。優先順位の高い項目として、北米でのBumbleアプリへ新しいユーザをより多く獲得することや、(これまでブランドの投資先としてこれまでは多くを費やさなかった)Badooアプリのマーケティングに、より支出していくことがあります。


新しいマーケットにおけるユーザを広げる Bumbleアプリをよりグローバルに展開していく初期の段階にあります。新しいマーケットであるヨーロッパ、アジア、それからラテン・アメリカにおいて、アプリのローンチを試験的に行っており、グローバルに拡張するための出資をすることが奨励されています。デート時における人々の振る舞いについての10年に渡って蓄積した眼識があることや、Badooがこれまで辿ってきた軌跡においてローカルの運営方法が確立していることは、新しいマーケットでのローンチに有利です。Bumbleのミッションとブランド力、さらに我々の市場調査における知識を重ねることで、効率良くマーケットを広げる助けになります。


革新的な製品、機械学習、データ・サイエンスへの投資 今後も新しいデートのための製品と、既存のユーザのエクスペリエンスを向上させる機能、そして新しいユーザを招き入れるための資本投下を進めていきます。さらなる計画として、機械学習とデータ・サイエンスを活用することで、ユーザの満足度を高いものにし、ユーザの獲得をより効率よく行えるような、革新性のあるものにしていきます。


マネタイズの増加 マネタイズへの道はまだ初期の段階にあり、有償で利用するユーザ数およびユーザ一人あたりから得られる収入の平均値は増加が期待できます。より多くのユーザがアプリ内での購入とサブスクリプション・プログラムを利用するようになるために、新しいマネタイズ方法を開発しおよび既存のマネタイズのための機能を向上していきます。また、いくつかの新しい料金体験をユーザのセグメント単位で設定する、新しい値段付けの戦略を試験的に行います。


デートを超えた新しいカテゴリ 私達のブランドと製品は女性が彼女達が望むものを追いかけられるように設計しています。単なるラブ・ライフだけでなく普段の生活や仕事においても同様です。私達のコミュニティから得られた知見によて、Bumbleを生活のあらゆる局面に拡張できるという信念があります。私達のプラットフォームはそれが可能になるように柔軟性を持って作られています。まだ初期の段階ですが、プラトニックな友情関係やビジネス上の関係についての製品としてそれぞれBumble BFFとBumble Bizzを製作中です。その両方の製品さらに他の可能性のある新しいカテゴリにおいて、資本の投下およびマネタイズを行う戦略を検討中です。

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私達に投資するリスクについて

(訳注: 一部抜粋です。)

・既存のユーザの退会や新しいユーザを獲得出来ない、あるいは既存のユーザの製品に対するエンゲージメントが減少したり、課金にコンバートできなかった場合、収入と決算の結果さらにはビジネスそのものに悪い影響があります。


・デート業界は非常に競争が激しいです。乗り換えのコストは低く、新しい製品と新規参入者は常に次々と現れ、競争相手の革新性のせいで私達のビジネスが中断する可能性があります。


・私達の製品の配布とマーケティングおよびアクセスは、かなりの部分で様々なサード・パーティの出版社とプラットフォームに依存しています。これらのサード・パーティが、私達の製品の使用、配布やマーケティングを制限、禁止、あるいは規則を変更して干渉するなどした場合、ビジネスや財政状況さらに運営の成果に対して著しく不利な状況に陥る可能性があります。


・モバイル・アプリのストアおよび他のデータ・センター・サービスの提供者や支払いをアグリゲートするサービス、コンピュータのシステム、さらにはインターネットにおける配送サービスや、他の通信システムやサービスのプロバイダーといったサード・パーティにも、私達の製品へのアクセスは依存しています。もしAppleのApp StoreやGoogleのPlay Storeといったサード・パーティが、私達のアプリケーションをストアで配布しアップデートすることを制限したり、禁止あるいは効力を無くしてしまうようなポリシーを採用ないしは強制した場合には、同じく私達が著しく不利な状況に陥る可能性があります。


・ブランドの価値や名声を維持することが出来なかった場合、ユーザ基盤を拡大していく能力が損なわれたり、ビジネスや収支結果が損なわれる可能性があります。


・私達のブランドや製品に対する変更、新しいブランドや製品の紹介が、ユーザを獲得するのに失敗したり、ユーザや収入さらには利益を失ったりする結果になる可能性があります。


・セキュリティが破られたり、私達やユーザの機密情報が不適切なアクセスによって漏洩したり、他のハッキングやフィッシングといった私達のシステムに対する攻撃、あるいは他のサイバー空間で起きる事件によって、私達のビジネスや私達が利用する個人情報に関連した機密情報が第三者の手に渡り、私達が不利な状況におかれる場合、私達の名声が汚されてビジネス上、非常に不利になる可能性があります。

・もし私達の知的所有権を取得、管理、保守、および(それが自分達のものであると)主張することが出来なかった場合や、サード・パーティの知的所有物に対する侵害、横領、他の違反を指摘する主張に対して十分に自分たちの主張を守ることが出来なかった場合、私達のビジネスに著しく損害が与えられる可能性があります。


・私達の成功は、部分的にですが、私達がユーザの個人情報(ユーザ自身に関する情報と支払い情報を含む)にアクセスし、情報を集めて、利用することに依存しており、情報プライバシー保護の法律に従わなければなりません。


・私達のビジネスは、複雑で目まぐるしく変わる合衆国ならびに国際法と規制に従わなければなりません。これらの法と規制の多くは、絶え間ない変更と一定しない解釈が常に生じ、その結果によって、訴訟やビジネス習慣の変更、マネタイズにおけるペナルティ、運営コストの上昇、あるいはユーザの拡大やエンゲージメントの減少といったビジネス上の損害を招く恐れがあります。


・司法上の観点からプライバシーとデータ保護に関する規制の枠組みは多岐に渡り素早く進化しています。この結果、上記挙げたのと同じようなビジネス上の損害を招く恐れがあります。


・私達の負債額は、財政状況、運営の為に新たに資本を追加する能力、ビジネスを運営する能力、さらに経済状況やインダストリーの変化に追従する能力、および大きな負債額の下で債務を遂行するにとって、かなり不利に作用し、負債に対する支払いのためにキャッシュフローを転換するかもしれません。(今回の翻訳終了)

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おまけ

さて先日偶然目にした投資番組のインタビューで、経済新聞のコラムニストの意見として以下のようなものがありました。「デート・アプリのユーザ層は依然として男性が中心であり、女性を中心としたサービスがどのぐらいマーケットの中で役割を果たし、さらにはビジネスとしての成果を上げるかは未知数であります。」
(本日の記事はここまでです。)

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