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誰も読まない映画評 その2 「ゴジラxコング 新たなる帝国」

まず予告編を観た時に思ったのが「最近、お猿さんが多くないですか?」である。思い当たる節はあった。「猿の惑星 キングダム」(日米公開5月10日)の予告編を観たばっかりだったのである。
「猿の惑星: 創世記」(2011年)、「猿の惑星:新世紀」(2014年)、「猿の惑星:聖戦記」(2017年)の3部作では懲りずに、またお猿さんが帰ってくるのか、と思ったところに「ゴジラxコング」はやってきた。(もっと言うと北米では現在、ジョーダン・ピールがプロデュースした映画「モンキーマン」も公開中であるが。)

「猿の惑星 キングダム」はこの夏話題必至の映画の一つである。

いや待てよ...「ゴジラxコング」の前作「ゴジラ対コング」で既に地球は「コングの惑星」だったのではないか?コングたちが住む地下世界が地球の中心部にある、という奇想天外な設定は、前々作「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」よりもコメディ色を強めた「ゴジラ対コング」の個性の一つと言えよう。
そして地上では「猿の惑星」。お猿さんの出番は絶えることがない。

さて予告編では「ゴジラxコング」には「人相の悪い新種のコング」も登場している。つまりこの「悪そうなコング」を相手にゴジラとコングが一緒に戦うのではないか、という想像は出来る。
クラシックなゴジラ系怪獣映画を観てきた方の中には、「とうとうアメリカン・ゴジラが子供(=人間)の味方として堕落していくのか」という危惧を抱いたかもしれない(自分がそうだ)。

「ゴジラxコング」に出演している(左から)ダン・スティーブンス、レベッカ・ホール、ブライアン・タイリー・ヘンリー。

(ネタバレ) 結論から書くと、そうはならなかった。いや、実際にはゴジラもコングも「悪そうなコング」と戦うのであるが、それにはモスラが一枚噛んでいる。
そう、本映画ではアメリカンゴジラとして初めて「モスラを使って怪獣を召喚する」という、日本では半世紀ほど前から普通に行われている行為がとうとう実現されるのである。
「悪そうなコング」はこの怪獣連合に対してアンギラスを使って対抗する。「おお、アンギラスよ、お前のことはすっかり忘れていた、スマンすまん」と謝りたくなるほど忘却の彼方からアンギラスも帰ってきた。
最終的にはアンギラスはゴジラ側に付くことになるのだが、そこまで考え抜いたアダム・ウィンガード監督も怪獣マニアと言って良いのではないか。

そしてモスラと交流出来る唯一の存在(=人類の希望)のジアの母親(代わりのような)役を演じるのはレベッカ・ホールである。
「それでも恋するバルセロナ」で「ひたすら真面目な女性」ビッキーを演じている彼女については前回書いた。

なぜ彼女はこのような「真面目」な役ばかりやらされるのか? 前回の記事にある画像で、ビッキーがその婚約者と並んでいるシーンを見て気付いた。それは彼女の「身長がちょっとばかり高い」からではないかと推測している。

ステルス機のパイロットとして他の二人の男性俳優(ジョシュ・ルーカスとジェイミー・フォックスが演じている)とともに、居心地悪そうに座っている映画「ステルス」(2005年公開)を観てその不平等な扱いに私は憤った。
「なぜパイロットだからと言って『男勝り→彼氏ナシ』と決めつけるのだ?ひどい差別だ!」と怒ってみた。ところがよく考えると、あの映画に出てるのはレベッカ・ホールでなく、ジェシカ・ビールだった(スイマセン)。

映画「ステルス」でパイロットを演じるジェシカ・ビール

スカーレット・ジョハンソンは1メートル60センチ。
ジェシカ・ビールは1メートル70センチ。
チャーリズ・セロンは1メートル77センチ。
レベッカ・ホールは1メートル78センチ。
キングコングは102メートル。

ゴジラは...おっと、とにかくレベッカ・ホールは高身長であり、それ故なぜか本人(のキャラクター)的には退屈している役が回ってくるのかもしれない。

しかし、とうとうアメリカンにも「モスラによるゴジラ召喚」が当たり前になる未来が見えたことは、怪獣研究所「モナーク」の一員である彼女にとっても良かったのではないだろうか。(つづく)

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