踵(かかと)
踵のケアが苦手。
ちょっと手を抜くとザラザラ・ゴワゴワした踵になってしまう。
私にとっては【わかっちゃいるけど手入れが滞る箇所】なのだ。
ファッションの仕事をしているから、踵のお手入れについても話したりブログに書いたりしているけれど、本当のところは忘れがちな箇所。
足の指の間はしっかり洗っているのに、踵はついつい忘れがちになってしまう。
私はお風呂上がりの皮膚が柔らかくなっている時に、踵専用の美容器具で硬くなった角質を削ります。
その後ボディークリームをすり込んで終わり。
これは週に1回ほどやっている。
おかげで今のところ、ゴワゴワした踵にはなっていない。
それでも憧れの踵にはなれないのだ!
憧れの踵の持ち主が誰かと言うと。。
それは亡くなった父!
えっ!お父さんなの?と思われるかもしれませんが、父の踵は亡くなるまでツルツルでピカピカだったのだ!
父は車関係の会社を経営していて、時には修理で作業着が油まみれになることもあった。
だから仕事以外は着る物や身だしなみを人一倍気にしていた。
踵なんて誰にも見えない箇所なのに、「見えない所ほどその人の本質が出る」と言って、毎晩お風呂で足の踵を軽石で磨いていた。
お風呂上がりの父の踵は、血色が良くなり薄桃色の輝きを発していた。
そして磨かれた踵にクリームをたっぷりすり込むのだ。
ツルツルした踵は赤ちゃんの肌のようにとても柔らかかった。
もう一度触ってみたい。。
父が亡くなった時に納棺師の方にお願いして、父が気に入っていた服に着替えさせていただいた。
納棺士さんが靴下を履かせてくださる時に、「とても美しい踵をされてますね。こんな美しい踵の男性は初めてです」と言われた瞬間に、父の密かな拘りを認めてもらえたようで涙が溢れた。
どんなに忙しくてもほんの数分の時間を作り、見えない所に意識を向け、日々の小さな積み重ねが美を作り出すことを身をもって教えてくれた父。
だから私は今夜も踵を磨く。
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