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私のは推しじゃなかった。


私の周りには推し活なるものをしている人が多いのだが、ある人に「推しっていますか?」と聞かれた時に「いた」と過去形で答えた。

過去形で答えたのは現在にはいないからだ。
しかしよくよく考えてみたら、それは推しとは違うと思った。

早速ネットで調べてみる。
推しとは人に勧めたいと思うほどに好感を持っている人物のことと書いてあった。

ついでに推し活も調べてみた。
自分のイチオシを決めて応援する活動を指すらしい。

読めば読むほど私の思っている推しのイメージとは違った。

私のはただの憧れの人だ!
その人のような魅力的な人になりたいと思う気持ち。
どうにかしてその人の持つ雰囲気を、自分なりに手に入れたいと思っていただけなんだ。

ファッション・ヘアスタイル・身のこなしまで徹底的に真似る。
もちろん同じようになるとは思ってもいない。

その人の名前は小林麻美さん。
モデル・女優・シンガーでもあった。
アンニュイな雰囲気を漂わせながらも、凛とした意志の強さを感じさせる人。

私が1番最初に真似したのはピアスの穴の位置だ。
大粒のパールが耳たぶからこぼれ落ちそうに見える位置。
それはとても品格がありながら、豊満な胸が露出するより官能的に感じたのだ。

次は髪の長さ、同じようなウェーブのパーマ、前髪の立ち上がりを真似る。

その次はファッション。彼女はサンローランが好きだったけれど、若い私が買えるわけもなく、同じようなコートを探して着たものだ。

彼女のヘアスタイルやファッションだけではなく、彼女のお気に入りの作家・沢木耕太郎の写真集や小説を読み、感性をも真似ようとした。

そうしてコツコツと時間を掛けて、自分を磨いてきたように思う。

誰かに勧めたいと思う推しでもなく、応援したい気持ちもない。
ただただ彼女のような洗練された女性になりたかっただけ。

小林麻美さんは、今も私の憧れの女性のまま。
多分ずっとずっとこのまま変わることはない。

それはまだ私が洗練された女性になれてないから。。






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