『正チャンの冒険』読者投稿欄のご紹介(3)
こんにちは!!災厄級の暑さが続いておりますが、皆さまご無事でしょうか?今週も読者投稿欄についてご紹介して参ります。
前年に関東大震災があり、まだ余震の影響があったのでしょうか。あれだけの地震だったので、当時の皆さまはかなり敏感になっていたことが想像できます。
そんな中、編集部宛に正チャンへの地震のお見舞いが届いたようで、記者の方が代わって誌面上でお礼を述べています。わざわざ誌面でということなので、おそらくは数件ということではなく、何十件と届いたのではないでしょうか?正チャンの人気の高さをうかがわせるエピソードであると同時に、当時の方々が、正チャンというキャラクターに対して、何か実在性のようなものを感じられているような気がしてほっこりします。
今でこそ推しの生誕祭には各方面から多くのプレゼントが届くということが珍しくはなくなりましたが、そういった運動の走りと言えるかもしれません。正チャンを推されている方が多かったのですね。
こちらの投稿も、お子さん(だと思います)正チャンを実在しているかのように感じて、正チャンの体調を心配されているものです。
心配しているんだけど、床につくとすぐ寝てしまっているところが愛くるしいですね。翌朝の朝日新聞誌上で正チャンが冒険を続けていて安心したということですが、このマンガがどこかで実際に起こっていることをリアルタイムにレポートしているものと感じている様子がうかがわれます。
その隣の投稿では、リスが微妙にディスられていてちょっと面白いです。
この頃から、このような正チャンを実在するかのように捉えていると思われる投稿がかなり増えてきます。以下、一部印象的なものをいくつかご紹介します。
花月園というのは、かつて横浜の鶴見区にあった遊園地です。一説によるとフランスのフォンテーヌブローにあった遊園地をモデルとし、当時は珍しかった観覧車やメリーゴーランドもあったそうです。広さも2万5000坪(1925年に7万坪に拡大)で、当時は東洋一と言われたそうです。
いいですね。楽しそうで。現在の京急・花月総持寺駅が最寄駅だったそうで、品川で乗り換えての有楽町通過だったのでしょうか。ちなみに「大きなお家の屋根に赤い太陽の旗」というのは朝日新聞社の建物のことですね。少なくともお子さんの間では「朝日新聞=正チャン」の構図ができていたんだなと感じられます。
こちらの投稿者の方、「馬鹿ッ」など小さい「ッ」の使い方などにJOJOみを感じますが、それはさておき、ヤンチャン坊も皆、正チャンの実在を信じていたように思われます。
そして隣の投稿では、いわゆる「正チャン帽」についての投稿が見られます。
さすがにこちらの記事を読んでいる方の中で「正チャン帽」を知らない方はいらっしゃらないと思いますが、念の為ご説明しますと、「正チャン帽」とは、毛糸のボンボンが頭頂部についたニット帽のことで、正チャンが作中でよくかぶっており、子供たちに大ヒットしたことからその名が付けられています(本記事トップのアイキャッチ画像をご参照)。
実はこちらの投稿が掲載された号の前後では、正チャンは麦わら帽っぽいのをかぶっていたりして、必ずしも「正チャン帽」一辺倒ではなく、TPOをわきまえた服装だったのですが、この辺りから帽子が子供たちの間で人気となり、アイコン化していったのかもしれません。
新事実が発覚しています。
正チャンの正チャン帽は伯母さんがあんでくれた
大阪で「正チャン帽」というのが売っている
その後、こちらの投稿者・マモルさんですが、約3週間後、再度投稿してきてくれています。
早速大阪のお姉さんに連絡して買って送ってもらったようですね!!!しかもマモルさん、正チャンファッションにすっかりやられているようで、ハーフコートまで注文されたそうです!
最近でこそ、マンガのキャラクター等に扮するコスプレが広まってきていますが、そういった動きの萌芽がここに見られます。
さて、いかがでしたでしょうか??この時点で、アサヒグラフでの連載からおよそ1年強経っているのですが、正チャンの人気が広まり、そのキャラクターに愛情を持つあまり実在するかのように感じるお子さんが出てきたり、また、そのファッション(とりわけ正チャン帽)が子供たちの間で話題になっていく様子が感じられました。
マンガ本編だけでなく、こうした読者投稿欄も併せて読んでいくと、より一層趣を感じられますね!というか今の今まで忘れていたのですが、私、某少年誌の読者投稿欄が好きで、コミックス(信じられないかもしれないのですが読者投稿欄をまとめたコミックスが当時出てたのです!)も持ってました。