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コンテストはきっかけに過ぎないのかもしれないけれど #教養のエチュード に参加して

既に一週間も経ってしまいましたが、文筆家でありラジオDJとしてもご活躍中の嶋津亮太さんが主催された非公開コンテスト#教養のエチュードに参加させていただきました。

私が嶋津さんの作品を読ませていただいたのは、下の作品が初めてで、大切な義理のお父様、お母様への想いを丁寧に綴られていました。「ぶっきらぼうな義理と不器用な僕」と表現される中には、誠実で敬意と愛の溢れるエッセンスが言葉の端々から滲み出ていて、迷わずフォローボタンを押させていただきました。


コンテストを開催されると知ったのはその後、間もなくのことでした。個人的な賞であり、字数制限も2000字から5000字と緩くテーマもない。嶋津さんの新しい『好き』を見つけるコンテスト。

このコンテストに応募するということは、ある意味、僕への手紙だと考えることができます。宛先のある手紙には、読む責任が生まれます。
それらの手紙を読む中で、自分が何に「好き」と思うのかを探っていきたい。それが自分の新しいクリエイティブに繋がるだろうなと想像しました。
きっとそこには一万円以上の価値があるんですよ。

加えて、「必ず読みます」と公言してしまう主催者、嶋津さんの誠実さ。コンテスト受賞者に対して賞金までご用意されていたのですが、それ以上に「嶋津さんなら絶対に読んでもらえる」という安心感から、「もし、嶋津さんの新しい『好き』になれたら」と思ってしまったんです。

一方で、嶋津さんのnoteのコメント欄でご挨拶した程度の私が、図々しくも参加してよいものかと迷っていました。そして、その迷いが仇となって、一時はコンテストの参加締切時間切れという、大マヌケをするという失態まで犯してしまいました。

日本と私が住むスペインに時差があるのをすっかり忘れてしまっていたんです。昼食後に最終チェックをしてアップしようとふとツイッターを見ると、嶋津さんからコンテスト終了のお知らせが。直後に思わず「時差があるの、忘れてた~!!!」とリプしてしまいました。

普通のコンテストならここでオシマイです。テストと同じで、終了時間は絶対です。自分が悪いのだから。それでも、せっかく書いた物だから、嶋津さんには読んでもらえなくてもアップしようと、遅れてアップしました。


すると、illyさんこと入谷聡さんが「あれ、これもしかして #教養のエチュード賞 に来るはずだったやつ?」と、言及してくださり、マリナ油森さんが「何とかなりませんかね?」と応援リプしてくださったのが嶋津さんに届き、驚いたことに、特別にコンテストに参加させていただけることになったのです。読んでいただけるんです、嶋津さんに!

注:ちなみにillyさんはプリマドンナ賞を受賞されました。
おめでとうございます!

さらに、嶋津さんに、コンテストの締切時間を日本時間と指定しなかった自分に落ち度があるとまで言っていただいて、飛び上がるほど喜びました。同時に、どう考えても落ち度は私のもので、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

その後、ツイッターを通して、感想をいただきました。「あぁ、本当に読んでもらえた!」と、この時点で私としては満腹状態でした。

それが、最終的に155作品もあった中から20選の一つとして選考していただいたのです。全ての作品を3回以上、中には10回以上読まれたものもあると知り、嶋津さんのコンテストの主催者としての覚悟と責任感、意思の強さ、熱意に頭が下がる想いでした。

更に、下記のようなコメントまでくださったのです。

食卓には物語がつきもの。二人の間に紡がれた物語が、ぬくもりある料理を忘れられないものにします(たとえば「おあずけ」という散々なものであっても!)。物語が人物と料理へ奥行きを与えます。どちらが主役かなんて野暮な問い。全て含めて一つの味となる。

小説の中で料理が行われ、最後にレシピの紹介をするというおもしろい構成。物語に想いを馳せながら料理し、味わうこともまた、すてきな食卓の楽しみ方です。そこに新たな物語が生まれます。
構成だけでなく、物語ももちろんすばらしいです。料理のシーンはまるで音楽のように心地良いメロディが聴こえてくるようでした。

嬉しかったんです。本当に。嶋津さんの「新しい『好き』」になれたのかもしれないと。

私の参加作品は、レシピ小説というオタク的なもので、教養のエチュードの軸である「教養とユーモア」からズレがあるのではという思いと、小説らしきものを書きはじめて間もなく、自分自身、評価を受けうるべき作品なのかどうか分からないという不安が、ソフトクリームみたいにゆっくりと溶けていきました。


「このコンテストに応募するということは、ある意味、僕への手紙だと考えることができます。」と嶋津さんは最初に言われ、

「知らない人の文章をここまで集中して読んだのは人生で初めての体験かもしれません」とコンテストのあとがきに書かれています。

嶋津さん宛てに送られた手紙を何度も真剣に読み返し、責任を持って選ぶ。想像以上に大変な作業だったと察します。だからこそ、嬉しさもひとしおなのです。

私が締切から遅れての参加を許可いただいた際に、実は「私の他にもタイミングを逃した方がいらして、文句が出るかもしれませんが、その時は公正に、カットしていただいて結構です。ご迷惑のかかりませんように。」とDMをお送りしたのですが、これに対してお返事がなく、それが逆に嶋津さんの責任感の強さを示すものだと感じました。

今回20選に選んでいただいたことで、喉につっかえていた物が小さくなりました。コンテストに対しては賛否両論があるようですが、私にとっては感謝しかありません。

12月には第二回の#教養のエチュード賞 コンテストが開催されるようですが、また新たな『好き』を見つけてもらえるように心を磨きます。

素敵な企画を本当にありがとうございました。


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