皮膚と活性酸素
皮膚は常に外界に接触し、酸素、紫外線、放射線、細菌、アレルゲン、有害化学物質等にさらされながら、生命を守るバリアの役割を果たしています。
皮膚表面は常に酸素にさらされていますが、紫外線を受けると角質中に存在する鉄イオンが触媒となり、猛毒の活性酸素が発生します。活性酸素は、皮脂膜や細胞間脂質を酸化させ、過酸化脂質に変えてゆき、肌の老化を進めます。
皮膚が強い紫外線を受けると、基底細胞にDNA損傷を引き起こすUVBの侵入を阻止するため、UVB到達より先にUVAが基底層まで到達しメラニン細胞の膜を刺激します。
細胞膜に刺激を受けると、細胞内のチロシナーゼ酵素が銅イオンを取り込み、活性化します。活性化したチロシナーゼは血中の酸素からフリーラジカル(活性酸素)を産生します。
この活性酸素がメラニンの原料である地炉心を酸化重合して、茶色のメラニン粒子を産生させます。
産生されたメラニン粒子はメラノサイトの樹上突起から表皮細胞にまんべんなく分配され、表皮全体に暗幕を張ります。
UVBがこのメラニン粒子に吸収されると、メラニンの色が黒化するとともに、一部熱に変わり肌が熱くなります。
皮膚は有害な紫外線エネルギーを自らつくりだしたメラニンで吸収し、生体を防御しているのです。しみやくすみはその結果といえます。
一方で、余った活性酸素は周辺細胞の脂質膜を酸化し、過酸化脂質に変えていくので、急速に老化が進みます。
皮膚は内と外から酸素ストレスを受け、最も活性酸素の毒に侵されやすいところです。
このためSOD酵素やカタラーゼ酵素が他の臓器に比べ多量につくられています。SOD酵素の力が強ければ余分なメラニンや活性酸素の発生は防げますが、力が弱まるとしみや皮膚老化がどんどん進みます。
皮膚の若さを保つためには、SOD酵素を活性化し、ビタミンE、C、βカロチンなどの抗酸化物質を補うことが不可欠です。