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僕の七草(ナンセンス小説 2023/10/10)

春の七草とか秋の七草とかあるだろ?
それに対抗して自分のオリジナルの七草、つまり僕の七草を作ってみたんだ

一つ目はクローバー

クローバーといえば「四つ葉のクローバーを見つけると幸せが訪れる」という迷信が知られているけど、僕の七草のクローバーはごく普通の三つ葉のクローバー
なんでもないものにこそ価値を見出すのって、なんだか素敵なことだと思わないかい?

二つ目はサトウキビ

砂糖ってのは人類の食生活には欠かせない大事な調味料だけど、砂糖の多くはサトウキビのような植物から精製されているからね
砂糖の原料となる植物はサトウキビだけじゃないけど、自分にとってはやはりサトウキビの印象が強いのでサトウキビにしたよ

三つ目はズンズングサ

見た目はペンペングサに似ているけど、このズンズングサは特定の音楽を聴かせるとズンズンと踊りだすことで知られているんだ
ただし音楽ならなんでもいいわけではなく、クラシックならベートベンの運命のみ可、ロックはおおむね不可だが16ビートの曲はまれに可、電子音楽は中田ヤスタカが作曲に関わっていなければ基本OK、ただし中田ヤスタカ作曲であってもperfumeのレーザービームは例外的に可、というふうにかなり好みがあるらしい

四つ目はハイパーマキシマムエナジーフィジカルムッキムキ草

滋養強壮の効能が凄まじい薬草で、この草を使った薬膳を食べた者の右腕には至高の上腕三頭筋が宿ると言われているが、その代償として左腕の上腕三頭筋には爆弾が宿り三十五年以内になんかの拍子で爆発すると言われているんだ
日本ではハイパーマキシマムエナジーフィジカルムッキムキコンタルタントの資格がないと購入できないから注意ね

五つ目は8000000つ葉のクローバー

別名ヤオヨロズクローバーと言われるこのクローバーは、小さな株に凄まじい数の葉が密集した非常に珍しいクローバーで、あまりに葉が密集しているため傍目にはマスカットの粒にしか見えないんだ
最近の学説によれば、8000001つ葉になると密度が高すぎて核分裂が起こるためこの8000000つ葉のクローバーはこの世に存在する最多の葉のクローバーなんだそう
当然ながら幸運作用は格別で、3つ葉のクローバーをいくら束ねようと8000000つ葉のクローバーに及ぶことはない
なぜなら、8000000は3の倍数ではないからである

六つ目はショウガ

生姜焼きにするとおいしいね

七つ目を紹介する前に、少し小話をしよう

一つ目のクローバーと五つ目の8000000つ葉のクローバーの例から分かるように、僕の七草は並列な関係性ではなく、その中には明確な序列が存在する
例えば、8000000つ葉のクローバーは序列の上から二番目にあたるんだ
この序列は絶対的なもので、序列が下の草は序列が上の草に媚びへつらい、隙あらば「いや~あなた様がいれば100草粥でっせ~」などと七草ジョークを交えてお世辞を言わなければならないのさ
言うまでもなく序列のトップは崇高な役職とされ、支配的な権限を持つ
そんな序列のトップである七つ目の草は、その名に相応しいものが担うべきだと思わないか?

ここまで言えば分かるよね

最後の七つ目はそう、僕だ

僕自身が七つ目の草となることで、僕の七草は『完成』する

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