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山田生存ルート(ナンセンス小説 2023/11/10)

民衆「山田!山田!山田!山田!」
(ボコスカボコスカ)
山田「ああー、殺されるー!!」

?「そこの君!こっちだ!!手を伸ばせ!」
山田「うう……ふん!」
?「そうだ、離すなよ……発進!」
ブーーーーン……
民衆「山田!?山田!!!山田ー!山田ー!」

山田「あの……あなたは一体……それに、今日っていったい何が起きてるんですか?」
?「俺は通りすがりの山田だ。今日は多くの山田が血祭りにあげられる日……犠牲となる山田を一人でも減らすために、毎回こうやってバイクを走らせている」
山田「あ、ありがとうございます。これって今どこに向かってるんでしょうか?」
山田「隣町の大型家電量販店へ向かっている。心配するな。あそこは安全だ。」

山田「……着いたぞ。案内はそこにいる山田に任せてある。俺はまた生き残りを探しに出発するから、達者でな!」
山田「ありがとうございました!お気をつけて!」
山田「山田の生き残りだな?こっちに来い、裏口から入る。」

山田「……ここにいるのはみんな山田だ。明日になるまでここで過ごすといい。」
山田「この人たち、みんな山田……?」
山田「見ない顔ね」
山田「生存者か!」
山田「こっちに食料あるぞ!」
清水「山田同士、仲よくしような。」
山田「ああ、今日は最悪の日だが、山田同士の連携をしっかり固められれば良いな」
山田「でも、ここって本当に安全なのかしら?山田が集まっていることが民衆にバレたら包囲されてしまうんじゃ……」
山本「まあ心配するなって。これだけ山田がいれば、侵攻されてもなんとかなるだろう。」
高橋「それもそうよ。今日一日の辛抱じゃない。」
山田「おい!こいつ山田じゃないぞ!侵入者だ!」
清水「(ドキッ)」
山本「(俺か!?)」
高橋「(私のことじゃないよね?)」
田辺「(おっと?)」
大野「(俺の他にもいたのか!?)」
?「いや、僕は山田です!信じてください!」
山田「ふん、なら身分証を提示しろ。ポッケのその膨らみ、財布だろう?」
?「うう、わかりました……これ、免許証です」
山田「これは……細山田???」
細山田「細山田です。」
山田「これってどうなんだ?」
山田「いや、でも山田ではないだろう」
山田「珍しい名字してるのね」
細山田「絶対に迷惑かけませんから!民衆に間違えて襲われるんじゃないかと思うと恐ろしくてもう……」
山田「うむ、君の処遇は委員会で持ち帰らせてもらおう。結論がでるまでは拘束させてもらう。」

細山田を山田に含むかの議論はなかなか結論が出ず夜中までもつれ込んだが、その間に日付が変わり全員生存した。


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