見出し画像

劇リンピック2023を終えて

無事2月25日&26日に劇団Z・A &SPAC主催「静岡演劇フェスティバル劇リンピック2023」が無事終演いたしました。
2021年から毎年開催し、今年で 3回目となり4団体さんが参加し短編演劇を連続で上演してくれました。
僕たち劇団Z・Aは運営側として制作に回り、各団体のサポートや公演の準備を主に務め、僕はプロデューサーとして全体の取りまとめを行いました。
課題も多い企画ですが、まずは今回の感想などを綴っていきたいと思います。

まず全体的なバランスは良かったなと思っています。
出演順も、内容を知っていて決めた訳では無いんですが、結果としていい順番だったなと思います。
前半は、コミカルな作品が2つ続いて盛り上げ、後半少しずつ空気感のある作品に移行していくと言う流れができていたのかなと感じました。
クオリティに関しても、昨年よりも団体ごとの大きなレベルさを感じないようになっていたかなと思います。

少しずつ各団体について書いていこうと思います。

unit.F「余命宣告」

まず今年もトップバッターを飾ったのは「unit.F」。水沢さんの一人芝居で毎年出演してくれているんですが、今年は脚本も自身で執筆したと言うことで、非常に注目していました。聞けば、初めて執筆したそうで、初脚本とは思えない完成度だったと思いました。
昨年度も澤根さんの面白い作品を上演しましたが、今年はよりパワフルで、それでありながら琴線にも触れるような要素も含まれており、10分の芝居でここまで上手にまとめられるのかと感心しましたね。
イベントのトップバッターとして会場を温めてくれたし、元気を与えてくれる作品でした。

猫熊×ザ「お父さんをください」

2番手は昨年から出演してくれている「猫熊」。
昨年から様々なイベントに出演しているユニットで、僕の主催するイベントにも度々出演してくれていますが、いつも小塩さんの執筆した作品でした。
しかし今回の劇リンピック2023出演作品は「アガリスクエンターテインメント」さんの「お父さんをください」。団体として初となる既成台本への挑戦だったそうです。
これは今回功を奏したのではないでしょうか。まだ経験の浅い団体なので、全体的な演技バランスが昨年は取れておらず、世界観や空気感の表現に苦労している印象がありました。しかし土台となる脚本のクオリティが安定したことで、全体的なバランスが良くなった印象です。
勢いだけで荒削りな点は多々ありますが、今回はいい作品を選べたのではないでしょうか?
一度既成台本で評価されると、次からオリジナルをやる際のハードルが上がると言う面もあるので、次回以降どのようなスタイルを取るのかも注目ですね。

劇団こいろは「gokko」

 3番手に出演は、今回が劇リンピック初参加の「劇団こいろは」。
しかも、普段はお店や野外などでの公演が多いらしく、しっかりした劇場でやるのは今回が初めてとのことでした。
僕も実際に会場入りするまでどんな作品を上演されるのかご存知なかったんですが、また独特な空気感を持つ団体さんだなと言うのが最初の印象でした。
前2団体と違い、時間を多めに使った進行でお互いの呼吸也気持ちの高まりを確かめ合うような芝居でしたね。舞台上に美術を置かず、身一つ(二人だから二つ?)で表現するのは好感が持てますね。
物語性よりも、空気感や人間性を大切にしているような劇団だなと言う印象を持ちました。まだ今回の作品しか拝見していないので、他の作品がどのような作品なのか気になりますね。またぜひ出演していただきたいですね。

イチニノ「椅子と机(かげうつし版)」

トリを飾ってくれたのは、 3年連続で出演してくれているイチニノ。
毎年茨城から静岡まで来てくれているアクティブな劇団さんです。
昨年は「胴の長い猫」を上演し、その熱量や演技力に多くのかたが圧倒された記憶があります。今年はどんな作品を見せてくれるのか本当にワクワクでした。
つい先日まで下北沢で別の作品の上演もしていたので、タイトなスケジュールだったと思いますが、それでも静岡で作品を上演してくださることには本当に感謝。
今年の「椅子と机(かげうつし版)」は昨年とはまた雰囲気が違い、穏やかでありながら影のある空気が常に舞台上を包んでいて、観客席はその質の高さに贅沢な時間を感じることができたのではないでしょうか?
物語は正直僕はあまり詳しくわからなかったです。なので、物語だけを見ている人には理解しづらい難解な作品に映ると思いますが、僕が舞台で見たいのは人間であり、表現なので、イチニノさんの今回の作品はその両方が見れたと思っています。
質の高い作品を見たい人にはおすすめだと思っています。

 3回目の開催となった今回は、バランスの取れた公演になったのではないかと思いました。
テンション高めのストレートプレイ2団体と、空気感を大切にした少し読解力を必要とする2団体。どこも個性的な作品で盛り上げてくれたと思っています。
もちろん昨年出演してくれたFOXWORKSさんも先日いい公演を打っていたし、少しずつ関わってくれる団体さんが増えて、「劇リンピック」がより良いイベントになっていければいいなと思います。
運営としてもまだまだ課題が山積なので、人員を増やしていきたいなと思っています。一緒に運営もしてくれる人も募集中です!


気に入っていただけたらサポートも嬉しいです サポートしていただいた分は全て演劇界の発展のために使わせていただきます