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ガゼットはネオ・ヴィジュアル系ではない〜MIYAVIがヴィジュアル系に残したモノとは?〜


ネオヴィジュアル系とは雅-miyavi-ではじまり、雅-miyavi-で終わったのである


■はじめに

メンヘラを開放したので昔から思っていることをぶちまけたいと思う…(ごめんなさい)

ネオ・ヴィジュアル系という言葉が大嫌い

便宜上つかうことはあるが、なにがネオ"新しい"だよと心の中でずっと思っている
具体的に嫌いな点を挙げると(ごめんなさい)、

① キラキラしてるバンドを挙げておけ精神

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御三家、バロック、事務所(フリーウィル/P缶/地下線)などはまったく無視されることが悲しい…
そして御三家の前にテレビ番組「SPARK!!」世代のPsycho le Cémuを飛ばすのもやめてほしい

②なぜ年代でカテゴライズしてしまったのか謎

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現役で活躍しているバンドを、例えば90年代のDIR EN GREYなんて呼ぶ人はいないのに、ネオヴィジュアル系のthe GazettEと呼ぶことについて失礼にあたらないのか
わざわざ年代をフォーカスする必要はあるのか…

そんな負の感情かと思いきや、真面目に調べているので、もしよろしければお付き合いください笑

■ネオ・ヴィジュアル系とは何か?

まずはネオ・ヴィジュアル系とは何かの定義付けから確認していくことにする
この言葉については検索しても曖昧な表現しかヒットせず、唯一そこに触れていたオリコンの記事(2006年6月7日)を引用させてもらう

ネオ・ヴィジュアル系とは…

「04年前後に活動をはじめて、04年前後より頭角を現したヴィジュアル系バンド」

容姿:まず先にルックスの良さがあり、ある意味でアイドル的な盛り上がり方をする
ライブ:よりエンターテインメント性が強く、芝居の要素を取り入れるバンドも存在する
音楽性:ハードなものからキャッチーなものまで、一言では括れないほど様々な種類が存在する
特記事項:サウンド面よりもヴィジュアル面を、ファンは重要視している

ちょっとなに言ってるかわからない…笑
おそらく90年代のコテ系との対比として、バロック結成以降の「オサレ系」「コテオサ系」「キラキラ系」のバンドのことを指してると推察する。
芝居の要素はどなたのことなのだろうか。
しかし、サウンド面よりヴィジュアル面を重要視していたわけではないと個人的に感じます。
(この当時、"顔ファン"は嫌われていたため)

この言葉における致命的な問題点は、拡大解釈し放題な"曖昧な定義付け"をされたことにある。

■代表されたバンドたちの経歴
(ネオヴィジュアル系四天王を含む)

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"ガゼット"
結成日:20023102004年の動向:
728日「ザクロ型の憂鬱」「舐〜zetsu〜」「未成年」
同時発売
1013日「DISORDER」発売

"シド"
結成日:200352004年の動向:
114日 しんぢとゆうやが正式加入
328日、44日、66日「会場盤/通販盤/流通盤」発売
1222日「憐哀」発売

"ナイトメア"
結成日:2000112004年の動向:
421日「Varuna」発売
722日「東京傷年」発売
1021日「シアン」発売
1221日「リヴィド」発売

"アリス九號."
結成日:200442004年の動向:
75日「「名前は、未だ無ひ。」」発売
1117日「祇園盛者の鐘が鳴る」発売

"アンティック-珈琲店-"
結成日:200352004年の動向:
324日「キャンディーホリック」発売
69日「√69」発売
1124日「孤妄〜コスモス〜」発売

"SuG"
結成日:2007112
2004年の動向をみると、ガゼットシドに忖度された年数だと個人的に感じます。
ナイトメアはインディーズのベストアルバムや、「- Believe -」「茜/HATE/Over」を発売した、03年には十分に頭角を現している気がしますが…
そしてSuGに関しては、範囲外となりました。

年越しイベント<Over The Edge '09>では「"ネオ・ヴィジュアル系第二世代”の精鋭バンドたちが大集合」と告知を打っており、次第に乱用され始めて形骸化した言葉になっている。

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■バンドマンたちの本音

逹瑯「ムックとナイトメアはネオヴィジュアル系ではない」

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―MUCCはなぜ"ヴィジュアル系戦国時代"といわれたネオヴィジュアルシーンで勝ち残ったのか?

逹瑯:何それ、アイドル戦国時代みたいな、"ヴィジュアル系戦国時代"って初めて聞いたってば(笑)
まぁでも、その言葉を使うとするならば、MUCCはネオヴィジュアル系じゃないからなんじゃない?そう呼ばれるようになってから出て来たバンドよりも、MUCCはちょっと早いからね。ネオヴィジュアル系って、Alice Nineあたりなんじゃない?ナイトメアはもうネオヴィジュアル系ではないと思うからね。ほとんど同期に近いからね。
(BARKSインタビューより引用)

流鬼「ネオヴィジュアル系にくくってくれるな」

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─活動15周年を迎えますが、the GazettEはシーンの浮き沈みにあまり左右されない、孤高の存在のように感じられます。

戒:そう見られてるのかな?(笑)
RUKI:俺は昔からそういうふうに思ってました。昔「ネオヴィジュアル系ブーム」みたいに言われていた時期は「あまりそこにくくってくれるな」ってことはチクチク言ってましたし。「なんだよ、ネオって?」みたいな。ブームにすがるとよからぬことが起きるというか。
─よからぬこととは?
RUKI:単純にブームが去ったら終わるじゃないですか。それに、僕らのスタンスがほかのバンドとガンガン絡むって感じでもないしね。
(ナタリーインタビューより引用)

■致命的なテレビ番組での拡散

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NHK総合テレビの音楽番組『MUSIC JAPAN
(2007年4月7日から2016年4月3日まで放送)

この音楽番組では通常のレギュラー版以外にも、年に数本程度で趣向を凝らした特集番組(アニソンなど)を放送している
その一つとして、ネオ・ヴィジュアル系の若手バンドがNHKホールに集結してライブパフォーマンスを行う特集番組を、2007年から2010年まで(2009年を除く)年に1回開催して、放送された

"第1回「ネオ・ビジュアル系 真夏の宴2007」"
2007831日
出演:アリス九號.、the GazettE、シド、jealkb、
ナイトメア、Plastic Tree、ムック、メリー 計8"第2回「ネオ・ビジュアル系 真夏の宴2008」"
2008828日
出演:アリス九號.、アンティック-珈琲店-、LM.C、
the GazettE、D、ナイトメア、Plastic Tree、
ムック 計8"第3回「ネオ・ビジュアル系 春爛漫の宴2010」"
2010418日
出演:彩冷える-ayabie-、Alice Nine、
Versailles、cali≠gari、girugämesh、シド、
Plastic Tree、ムック 計8
この番組だいすき!!!!!
雑誌メディアがネオ・ヴィジュアル系をゴリ押しして煽ったなかで、テレビ番組にまで発展した。
しかし、筆者を含む当時のファンからは、Plastic Tree(93年)、cali≠gari(93年)、ムック(97年)の90年代結成組が入っていることに違和感を感じていた。

これについてもお流鬼先生は「ずっとやっている人たちに "ネオ・ビジュアル系" って失礼じゃないか」と当時の雑誌で苦言を呈してくれている。

■まじでネオってなんなの?

ネオ(Neo):ギリシア語で「新しい」を意味する
英語では「復活〜」などの意味をもつ

一般的なイメージ
90年代のヴィジュアル系の音楽性に少なからず影響を受けていて、その初期の頃の色を引き継ぎつつ、全く新しい容姿・音楽性を持っているバンド

界隈で噂されるイメージ
マスメディア(ヴィジュアル系の専門媒体・専門レコード店・専門ライブハウス)を中心に、購買意欲の高いバンギャに目をつけて、音楽業界のなかで意図的にムーブメントを作り出そうとした
新旧バンドの区別をつけるため、その当時MIYAVIが「ネオ・ヴィジュアリズム」を提唱していたので、そのネオから拝借したとされている
(ネオ・シティポップやネオ・ソウルなど音楽ジャンルのミクスチャーからきている説もあるけどね)

■ネオ・ヴィジュアリズムとは…

メジャー1stアルバム
"雅-miyavizm-主義"
(200561日)

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MYV★ROCKS 第一章:ダンシングロックショー
(ネオ・ヴィジュアリズムと称した唄にダンス、ギタープレイと魅せて聴かせるエンターテイメント)

ビジュアル系をルーツとしてやっていく上で、やる意義を見いだすべく"ネオヴィジュアリズム"、聴く音楽から魅る(=視覚としてとらえる)音楽っていうのをやろうとしていて。そのひとつとしてダンサーを入れてみたんです。
ギタリストである前にアーティスト。表現者として、自分の表現ツールすべてを使ってパフォーマンスできるようになりたい。
(BARKSインタビューより引用)
メジャー3rdシングル
"結婚式の唄/Are you ready to ROCK?"
(20051012日)

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MYV★ROCKS 第ニ章:独奏家スタイル
(アコギを弾きながら足でタンバリンを鳴らし、首にぶら下げたハーモニカを吹き鳴らす、ヴィジュアル系のスキルの証明)

俺はずっと“独奏家”としての自分を確立したいと思ってきた。どうしてもヴィジュアル系というものに対して偏見、先入観というものがあるから、上からどつくためには自分のスキルやアビリティーを示していかないといけない。

<Peace & Smile Carnival tour 2005>の趣旨は3つあって、①音楽事務所の対外的な立ち位置を広げること、②アーティストが各々クリエイティビティーを持って、このツアーで何を言いたいのかパッケージを作り上げること、③ヴィジュアル系っていうものを俺たちなりに再定義すること。
キーワードとしてあげてるのが“インディビデュアリズム”、個人主義なんです。
(BARKSインタビューより引用)
メジャー7thシングル
"咲き誇る華の様に-Neo Visualizm-/歌舞伎男子"
(2007620日)

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新章:歌舞伎スタイル
(日本人としての誇りと自らの生き様を表現した、ネオ・ヴィジュアリズムの一つの到達点)

2006年にシングル「君に願いを」をリリース後、世界を舞台に活動することを思い描いており武者修行のため、単身アメリカ3か月間留学する
帰国後、ペインターや、ビートボクサー、ターンテーブル、タップダンサー、ベース、ドラムからなる異色バンド「KAVKI BOIZ(歌舞伎男子)」を結成し、さまざまな刺激を吸収したスタイルへと進化した

ただ当時のマスメディアでは公表されていなかったことだが、MIYAVIは大阪府で在日二世の韓国籍から帰化した父(韓国名は「李(lee)」)と、日本人の母との間に生まれた日韓ハーフである
MIYAVIは父のことがあまり好きではなく、韓国の血が入っていることを大人になるまで知らされていなかった
そのような背景を考慮すると「歌舞伎男子/サムライギタリスト/三味線」など、MIYAVIが自身のアイデンティティに悩み日本人としての誇りと、ヴィジュアル系での生き様を投影した2つのルーツと向き合った作品といえる

X、ルナシーに黒夢、先輩方が残した道しるべ
絶やさない様に 壊せ Irony
俺らが守らなきゃなんない未来(dream)

鹿鳴館、AREAにサイバー&ON AIR WEST気づきゃ青春も迎春もいずこへ
進め西へ東へ 夢も希望も機材車(van)に乗せて走ったHighway
あれから何が変わっただろう 逆に何か変わらず残っただろう
あの頃に戻れねーならもう一度作るしかねーだろ?
(「咲き誇る華の様に-Neo Visualizm-」の歌詞)

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■余談

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当時はじめの「雅楽-gagaku-」から購入してたけど、メジャーになったあと正直なにやってるのかわからなくて上がってしまった…
しかし、現在成功したMIYAVIからひも解くと、この当時の発言の意図がようやく理解できてきたし、ネオ・ヴィジュアリズムの延長線上にいまもMIYAVIがいるんだなと再発見できて嬉しかった

残念ながらMIYAVIのまとめ記事ではこの時期を黒歴史のように飛ばされるが、実はここが『真髄』

2004年のアウストでグッズの巻きスカートを穿かせてラブホ街を走らされたり、ツーショ撮影のために雨の中でウェディングドレスを着てきたり…
あの頃の"俺様"がいちばん最強だよね、仔雅さん!!

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■おわりに

まさかMIYAVIをこんなにも掘り下げるとは笑
ただ「ヴィジュアル系とは何か」をこれほど考えて、ネオ"新しい"を追求したバンドマンはいない
例えば現在でも90年代のヴィジュアル系に影響を受けてバンドをはじめた人はいるが、ネオヴィジュアル系第○世代と呼ばれてしまうのだろうか?
近年では「ヴィジュアル系は聴いたことがない」というバンドマンの方が売れてしまう悲しさよ…

<まとめ>
定義付けが曖昧なせいで、ネオ・ヴィジュアル系の終わりがないままゴールデンボンバーが本物のブレイクを果たしてしまい、それ以外のヴィジュアル系バンドは完全に焼け野原となった
これがヴィジュアル系が衰退した要因の一つだと思っていて、火付け役のマスメディア(ヴィジュアル系の専門媒体・専門レコード店・専門ライブハウス)は現在どこも潰れており、意図的なムーブメントはただ自分の首を絞めていたのかもしれない

おしまい

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