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葛藤を下げるために~離別のグリーフケア


離別のグリーフケアってどういうこと?

グリーフ=悲嘆とは、大切なものを失った深い悲しみのことです。
一般的には、家族を死別で失った方が、苦しみから立ち直るためのケアが、グリーフケアと呼ばれます。
最終的に悲しみを受容し、立ち直ることを目指します。
このプロセスをグリーフワークと言い、ドイツの哲学者アルフォンス・デーケンによって、12段階に分けられていますが、全ての人がこのプロセスをたどるわけでも、順番にたどるわけでもありません。プロセスを行ったり来たりすることもあります。

別居・離婚などで家族の形が変わった場合も、本当は誰もが「喪失」の悲しみ、苦しみをかかえています。
でも、別居などの場合は、自分で決めたことなので、悲しみを感じないように自分の気持ちにフタをしてしまっていることが多いのです。
この状態では、悲しみを昇華していくプロセスをたどることができません。
離婚後の葛藤が高いままの人は、この「気持ちにフタ」をしてしまっている状態なのだと思います。

どうやったら受容に向かえる?

まずは、自分が「喪失」の苦しみをかかえていることを、受け入れることが第一ステップです。
元パートナーに対する怒りが強すぎて、自分の「喪失」を認めることは難しいかもしれません。
でも、一旦は結婚までした相手、一生を共にしようと考え、決断した相手との別れに、喪失の苦しみがないわけはないのです。
結婚の判断をした自分に対しても、落胆し、自信を喪失します。

怒り、自信の喪失、無気力、イライラ、相手に対する恨みや憎しみ、全てグリーフワークの一部です。
いづれ、受容に向かえます。

具体的にどうすれば良いの?

死別の場合は、お葬式をしたり、写真を見返したり、法要があったり、故人について話したりすることが、グリーフケアの一部になっています。
でも、離別の場合はそういうわけにはいきません。

そもそも、グリーフが起きる原因は、生存本能による防衛反応で、正常な反応です。
まず、上に書いたように、自分の現在のつらさを「これは回復に向かうプロセスなのだ」と知ること。
いつか、受容に向かえるのだと知るだけで、ずいぶん違います。
また、人に気持ちを話したり、文章に書いたりして、気持ちを昇華させること。このときも、「これは回復に向かうステップだ」と意識すること。
別居・離婚記念日を作るのも良い方法です。
時間は勝手にどんどん流れますが、敢えて区切りをつくることで、気持ちにも区切りがつけられます。
同じ立場の人と話すことは、とても有効です。
ほかの人の話を聞くことで、客観的になれたり、気づきが得られたりします。

苦しみは、二次感情であり、一次感情があると知ることも有効です。
相手に期待しないこと、既に別居していて、目の前にはいないということを自分に言い聞かせること、視野を広く持つこと。
いろんな方法はありますが、この苦しみからいつか抜け出ることができるんだ、抜けだすんだと意識することが重要です。

そして、もう一緒に住んでいない人に気持ちをコントロールされることをやめること。この方法は、長くなるので別の投稿で書きます。

受容にかかる時間

受容に至る時間は、人によって本当にさまざまです。
離婚の理由や、離婚に至るまでの期間が違います。
また、その人自身の受け止め方も大きく違います。
人によっては、別居の直後に受容の状態になる人もいます。
同居時に既にグリーフワークが進んでいるケースで、多く見られます。
死別の場合も、長く患った末の死と、事故や急病などの突然の死、また遺体の発見されない死などによって、受容に至るプロセスや時間が違うのと同じです。

子どものいる両親の場合

子どものいる両親が別居・離婚した場合、問題はさらに複雑になります。
子どもがいる場合、離婚したから相手と関わらずに済むということにはなりません。
受容に至る時間が人によってさまざまなため、自分は受容のステージにたどり着いても、相手がまだ苦しみの段階にいるということもあります。
離別特有の問題点です。

子どものグリーフケア

また、子ども自身のグリーフケアについても考える必要があります。
子どもが一見明るく振舞っていても、「一緒に暮らしている人と住めなくなった」という喪失感を必ず抱えています。
別居後、子どもがイライラしてり無気力になったりしても、親は落ち着いて対応することが必要です。
親が、やはり離婚しなかったら良かったのではないか?と自分を責めても、問題解決にはたどりつきません。
子どものグリーフケアに必要なのは、主にこの4つです。
・じっくり子どもの話を聞くこと
・受容に至る過程だと親が知っておくこと
・別居という大きな出来事があっても、人生は続いていくし、楽しく生きていけるのだということを、親が身をもって子どもに知らせること
・面会交流をして、喪失の痛みを和らげるとともに、別居した親との新しい関係性を構築すること

おわりに

子どものいる両親の場合、一番に子どものグリーフケアを考えるべきです。
それには、面会交流が一番です。
ただし、受容にかかる時間はひとによってまちまちなので、相手に連絡をとることで双方、再び傷ついたり、葛藤が高まったりすることもあります。
面会交流のための連絡で、受容に至るプロセスが途切れることのないよう、びじっとの連絡調整をご検討ください。

また、びじっとは利用者様ではなくとも、ご相談を受けることも可能です。
気持ちをお話頂くことで、気持ちの昇華がのお手伝いができれば、うれしく思います。



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