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両眼視検査5【実践暗算・AC/A比】/両眼視を理解しよう!!処方値の考え方

メガネ作りやビジョントレーニングにおいて、斜位と両眼視の関連性は非常に重要になります。一般的に眼科や眼鏡店で処方を受けメガネを作る場合は、「完全矯正値から一段階、二段階軽くしておけば問題ないでしょう」などといったあまり根拠がない処方が一般的に浸透していますが、このような度数決定でメガネを作っても60%前後の人は問題ないのですが、残りの40%の人は、満足を得られていないのが現実です。

なぜでしょうか?

それは屈折異常(近視・遠視・乱視)のみの検査しかされないためです。両眼視を熟知している検眼士は、遠方眼位と近方眼位の斜位を計測後、「調節性輻輳 AC/A比」を算出してレンズの強弱で眼位コントロールを考え提案します。場合によっては、10代~20代の人でも近方用レンズを処方します。

例を出しますと、(実際の症例です)

【20歳 女性 事務仕事(1日6~7H PC作業)】
● 旧メガネ度数:R -4.00D/L -4.00
● 問診:仕事中、眼精疲労がひどくPCの文字にピントが合わなくなる、中度の近視がありメガネ使用中
● 予備検査(旧メガネ装用後):調節近点・10cm/輻輳近点・9cm/カバーテスト・遠方・軽度外斜位、近方・軽度内斜位
● 完全矯正値:R -4.25/ L -4.25 左右ともに矯正視力は、1.5
● 遠方水平眼位 2△プリズム BIベースイン(外斜位)
● 近方水平眼位 5△プリズム BOベースアウト(内斜位)

読者のみなさん、この女性の目はどこに問題がありどのような眼鏡を提案しますか。


検査結果からこの女性の問題点を解説いたします。
まず旧メガネの度数は、検査結果より完全矯正値から左右とも-0.25軽い程度でまったく問題ないことがわかりますね。

予備検査の段階で調節力や輻輳力にも全く問題ありません。ただ近方カバーテストで軽い内斜位が気になる点ですね。

実際の斜位検査で、遠方斜位2△ベースインは期待値通り問題なしですが、近方斜位で5△ベースアウトがあり、比較的大きな内斜位です。これがこの女性の視機能の問題点だと予測がつきます。

ではどのようなメガネを提案しますか?

常用眼鏡は旧メガネの度数で問題ありませんが、このような眼位の人はPC作業用の眼鏡が必要になります。
この場合は球面度数を決定するに調節性輻輳値(AC/A比)を即座に暗算で算出します。

実践に即した計測方法は、今後PDF形式で紹介いたします。

実践暗算では、下記のような計算を頭のなかで計測します(笑)

遠方:2△ベースイン 近方5△ベースアウトAC/A比計算:15△+2△+5△=22△ / 22△÷2.5D=8.8△
AC/A比=8.8△となります。

AC/A比が高く(High)1D(ディオプトリー)度数変化することで8.8△眼位が変化するということです。

現在の眼鏡(旧メガネ)・・・左右とも(-4.00)、この度数にプラスレンズを加入することで眼位が開き斜位が減りますね。すなわち(+0.50)加えることでAC/A比8.8△の半分4.4△内斜位が改善されます。

このデータをもとに下記度数の近用メガネを勧めます

● PC作業用メガネ R -3.50 / L -3.50 この度数によっての斜位は、

● 近方斜位は、「5△BOベースアウト」から「1.6△BIベースイン」に変化し近業作業用(PC)メガネとして快適眼鏡に大きく変化する。

信じられますか。この(0.50D)変化で全く疲れを感じないピンぼけしないメガネに変化するのです。これが両眼視と斜位をコントロールする検眼方法です。特に内斜位の人は、眼精疲労がを感じやすく近方文字が二重に見える症状の人が多いため、検眼で原因をつかみ理論に即した処方度数を考えましょう。

■ AC/A比とは

目の機能には調節性輻輳(AC:accomodative convergence)があり単眼の度数測定では、お客様の主訴を解決できないケースが、約30%~40%あるといわれてます。ACとはその個人特有のもので、原則として人の生涯を通じて不変であり、視機能訓練などによっても余り影響を受けません。しかし一人一人の値は大変ばらつきがあります。AC/A比は視機能の分析に際して重要な役割を果たします。

続きは下記PDFを確認してください

両眼視のしくみ/ AC/A比(調節性輻輳)解説

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