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対話から見えてきたわたしたちが感じるもの

みなさま、こんにちは。
ビジョン・クラフティング研究所 特別研究員の山本美香です。ようやく、こちらに顔を出させていただくこととなりました。これからも、ちょこちょこ登場する機会があるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

今回は、ビジョン・クラフティング研究所 所長である松本桂樹と、私 山本との対談をお届けいたします。
とはいえ、ビジョン・クラフティング研究所の「ビジョン」は何ですか?なんて、堅苦しいものではなく、松本所長と私の感じていることの対話を通して、当研究所が目指すものなどをイメージしていただけると、大変嬉しい限りです。

変わるもの、変わらないもの

山本:松本さん、改めまして今日はよろしくお願いします。

松本:よろしくお願いします。

山本:昨年から私たちはテレワークや不要不急の外出を避けるなど、様々な変化を受け入れてきました。松本さんは、どんな変化を感じてますか?

松本:そうですね。コロナ禍でテレワークが進んで、他の人の働きぶりが見れなくなったみたいなところはありますかね。
真似する人やモデルになる人が、見えなくなっちゃった。

山本:見えなくなったら、見えるためにどうするか?ですよね。

松本:見える化が必要ですね。

山本:テレワークになって、雑談の機会が取りにくくなった、なんて話を聞きました。雑談って、仕事をするためには必要ないかもしれないけれど、うまく仕事をするための関係性を築くためには必要だと思うんですよね。
雑談の時間をつくるために、テレワークの中でどうしたらいいでしょうか。

松本:Clubhouseって、一時期がっと盛り上がったじゃないですか。でも、がっと盛り下がったというか(笑)。

山本:私も全然聞かなくなりました(苦笑)

松本:雑談ができる場ができて、しかも「結構、話せるじゃん!」っていうところだったんでしょうけど、でも「人の雑談聞いてもつまんないね」って、盛り下がったというか。
雑談って、目的を持って雑談しませんよね。だから、雑談なんですよ。
あえてそれは聞きにいかないというか。身近なところで、気軽にちょっとしゃべる。それが大事なんでしょうけど、「雑談しましょう」って集まっても、なかなか雑談にならない。「雑」じゃないですもの。計画されたものになっちゃいますもんね。

山本:そうですね。

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当たり前も変わる

山本:知り合いが、テレワークで全員が職場に集まる機会がないので、週に30分から1時間くらいオンライン上で雑談の時間を作っていたと言ってました。
どんな話が出たのって聞くと「会社の椅子って長時間座るのによくできてたんだね」とか「体がガチガチなんだけど、何かやってる?」なんて話していたそうです。周りには、一生テレワークになりましたとか、オフィスを縮小したなんて話も聞いてます。
今までは上司が仕事ぶりを見れたし、部下は上司が空いているタイミングを見て聞きにいったりがしやすかったと思うんですよね。
これから新卒で入社する世代は、デジタルネイティブの皆さんなので、スマホに登録している人しか電話に出ないので、知らない人の電話に出るって経験がないんです。だから先輩がやってるのを見て自分も真似してみるっていう、先輩の背中を見て学ぶ昔からあるOJTみたいのができなくなってきてるのかな。
とはいえ、今までとやり方を変えればもちろんできる方法を考えることが課題なのか、先輩の姿を見て学ぶっていうこと自体が、時代が変わってきてるのかもしれませんね。

松本:私も大学(神奈川大学人間科学部 特任教授)で授業を持っているのですが、今授業なんかでもオンラインネイティブの学生が主流になってくると、「別に雑談なんていらないし」みたいになってくるかもしれないです。

山本:そうですね。

松本:逆に出社した時の方が、何したらいいかわからないとか、逆転するかもしれないですよね。
学生も、「オンラインの方が話がしやすい」と言っている人が多いんです。大学に来ると皆マスクしていて、顔が見えないし、話しにくい。オンラインはマスクしてないから。

山本:なるほど。
私たちが今まで当たり前だと思っていた前提が変わってきてるんですね。
前提が変わるに、もし意味があるとしたら、どんな意味があるんでしょうね。

松本:意味があるとしたら、感染しないですむ、とかですか?

山本:そうですね、自分の健康を守ることができますから。

松本:大学生は、「感染しても、どうせ軽症なんでしょ」って、あまり新型コロナのことを気にしていないように、感じてます。

山本:今の大学1回生、2回生はオンライン授業が当たり前からのスタートですものね。逆に対面の方が、緊張するかもしれません。

松本:対面でやっていた授業を後期はオンデマンド(録画配信型の授業)にしたら、学生にガッツポーズされました。対面授業の方がいい訳でもないんだなと。
ただ、1限目で、朝早いこともありましたけど(笑)

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芸もキャッチボール

山本:誰もいないところでしゃべるって、どのように感じていらっしゃるんですか?

松本:そうですね、もう慣れましたね。

山本:私の知り合いの落語家さんから聞いた話なのですが、昨年寄席も閉まって高座に立てないので、YouTubeで落語の配信を始めたそうなんです。
でも、少しして配信をやめたんだと。
どうしてやめたんですか?と聞いたら、お弟子さんたちの芸がおかしくなってきたからと、師匠はおっしゃっていて。

松本:へえ、興味深いですね。

山本:落語は一方的に落語家が話すものではなく、お客さんの顔や反応を見ながら、その日の芸を変えているんだそうです。ある程度、芸ができている人はいいけれど、相手がいない無人の場で芸をすると、なんだかおかしくなってしまった。だからやめたんだって、きいたんです。
それを聞いて、芸の世界もお客さんとのキャッチボールなんだなって、私は感じたんですよね。

松本:なるほど。芸も変わっていくものとして文化を捉えるのか、変わらないものが伝統芸だと捉えるのか、方向性の問題ですね。

まとめ

今回の対談を通して、人は変化に対応しながらも、変わらないものもあること。人を磨く、成長させるのも、また人なのかなとも、私は感じました。
何かを変えても、そこが最終ゴールではなく、また変えてもいいのではないか。何かが変わることを受け入れるには、少し抵抗を覚えることもありますが、その抵抗を拒むのではなく、体験してみることで理解できることもある。当たり前を少し脇に置いて、まずは体験してみる、味わってみることも、自分の中に取り入れてみたくなりました。
人に関することは絶対的な答えはなく、そこにあるのはその時の納得解。
数多くの事例という資源も活用しながら、これからもみなさんと納得解を探してまいります。


■ 所長プロフィール
松本 桂樹(まつもと けいき)
株式会社ジャパンEAPシステムズ 取締役
神奈川大学人間科学部 特任教授

松本さんpro


精神科クリニックにて心理職として勤務後、ジャパンEAPシステムズにて相談サービスの立ち上げを担う。 現在もEAPコンサルタントとして、勤労者の相談を数多く受けている。 
臨床心理士、公認心理師、キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、日本キャリア・カウンセリング学会認定スーパーバイザーなどの資格を保有。


■ 特別研究員プロフィール
山本 美香(やまもと みか)
ビジョン・クラフティング研究所 特別研究員
社会保険労務士
キャリアコンサルタント
Gallup認定ストレングスコーチ

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派遣先が労働組合本部だったことをきっかけに、人事業務のおもしろさを知り、人事を一生の仕事にしようと、人事専門職としてメーカーに転職。12年間人事担当をつとめ、2021年4月社会保険労務士事務所を開業。
誰もがイキイキと働ける世の中を目指しながら、人事担当者に寄り添えるように、今の人事や労務のトレンドなどを研究している。


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