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人材マネジメントの動向⑤

ビジョン・クラフティング研究所(VCラボ)のデリバラブル(目的・提供価値)を手作りするにあたり、人材マネジメントのデリバラブルをおさえておきたいと、VCラボのメンバーに提案しました。
そのときに参考にしたのが、人材マネジメント観で重なりがあると感じている学習院大学守島基博教授の「変革迫られる人材マネジメントと人事部」です。

人材マネジメントのデリバラブルとして、以下の3つが挙げられています。

1.戦略達成に必要な人材確保によるビジネス支援
2.働き手支援
3.組織開発

1つ目のデリバラブルである「戦略達成に必要な人材確保によるビジネス支援」は、人材開発を通じた人づくりと言え、株式会社ジャパンイーエーピーシステムズ(JES)やVCラボの考え方と重なります。

2つ目のデリバラブルである「働き手支援」は、「働き手が持つ価値観や人生上のニーズを的確に捉え、対応していくこと」とし、顧客の個別ニーズを重視したサービス提供にこだわってきたJESの考え方と重なります。

3つ目のデリバラブルである「組織開発」は、「組織開発を通じた強い組織づくり」としています。
個人の能力に還元されない組織力、職場力をどうとらえるのかについて
私たちには、まだ結論がでていません。
学びを継続していく必要があるのですが、組織社会化を戦略上必要な組織力のひとつとしてあげられている「文化・価値観の共有」ととらえると、「ビジョン・クラフティング」に込めた思いと重なります。

そして、守島教授は、注力すべきこととして、以下の4種類のアクションを挙げられています。人材マネジメントのデリバラブルを実現するためのアクションと言えます。

1.全員対象のタレント・マネジメント
2.人事評価から個別フィードバックへ
3.個の尊重
4.組織力を高める組織開発

1つ目のアクションである「全員対象のタレント・マネジメント」は、メンタルヘルスの問題を一部の人の問題ではなく、みんなの問題としてとらえる
僕の考え方から共感できます。
また、「誰一人取り残さない」というSDGsの考え方と重なります。
そして、3つ目のアクションである「個の尊重」と関連すると思いますが、「支援は可能な限り個別対応」となると、人材をカテゴリー分けで集団ととらえるくせがついている僕にとっては、難易度が高いアクションとも感じています。

2つ目のアクションである「人事評価から個別フィードバックへ」については、「ノーレイティング(No Rating)」の背景にある考え方が示されています。
「現場の人材マネジメントを活性化し、上長によるマネジメントの本来の姿を取り戻そうとしているのが、ノーレイティングの動きなのである。」
「現場でのマネジャーによる人材マネジメントの強化」は、EAPのマネジメント・コンサルテーションを拡張していきたいVCラボの考え方と重なります。

3つ目のアクションである「個の尊重」は、僕を除く他のメンバーは、「日ごろからやっていることと重なる」ということでした。
人材マネジメントのデリバラブルである「働き手支援」や、デリバラブルを実現するためのアクションである「個の尊重」は、僕自身の学習課題ということになります。
例えば、在宅勤務、テレワーク、時短勤務、柔軟な労働時間設定といった施策は理解できますが、いざ運用となるとイメージがつかめないのです。
個を尊重するとはどういうことか、理解を深める必要があります。

4つ目のアクションである「組織力を高める組織開発」は、デリバラブルの「組織開発」でふれたように、個人の能力に還元されない組織力、職場力が現状ではとらえきれていません。
「これまでのような、単に組織としてのまとまりやコミュニケーションの促進といった、組織としての最低限の条件を整えるための施策から組織開発は進化し、戦略人事の一部へとその姿を変えている。」とあるように、「ビジョン・クラフティング」に込めた思いと重なる部分もあります。
学びを継続していく必要があります。

次回も、「何がもたらされるか(デリバラブル:deliverable)」の視点からということになりますが、「人材マネジメントは利益にフィットさせるのか」について取り上げます。

守島基博(2020)「変革迫られる人材マネジメントと人事部」労務行政研究所編『企業競争力を高めるこれからの人事の方向性』労務行政研究所

小西さんコラム11月

■ プロフィール
小西 定之(こにし さだゆき)
ビジョン・クラフティング研究所 シニアコンサルタント

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産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、証券会社で企業金融に従事、その後、独立系コンサルティング会社において人材マネジメント分野のコンサルティング業務(主に人事評価制度)に従事、そして株式会社ジャパンEAPシステムズで会社におけるメンタルヘルス対策のあり方について探究。

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