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資本政策の感想戦「株式会社Gunosy」

「資本政策の感想戦」シリーズを元に書籍として編纂した本『実践スタートアップ・ファイナンス 資本政策の感想戦』を2021/10/7に出版しました。

本noteにおいて取り上げた「株式会社Gunosy」の解説記事は、書籍内では、3章に掲載しています。書籍化に伴い図表を書き直した他、第1期の解説を中心に記述を見直しています。
note版の図表は、個別具体的な取引について、実務で用いる資本政策表に近い形で確認できるようにしています。

2022/5/11 山岡佑

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企業が新規株式公開(IPO)を行った場合、その企業が作成した「新規上場申請のための有価証券報告書(以下「Ⅰの部」という)」を見れば、その企業が上場までにどのような資本取引を行ってきたか伺い知ることができる。
例えば、株式公開情報「株主の状況」の箇所を確認すれば大株主が保有している株数を見ることができ、「第三者割当等の概況」を見れば直前々期から行われた資本取引の内容がわかる。

このnoteは「資本政策の感想戦」と銘打ち、第三者の視点から、創業から資本取引を将棋のプロが行う感想戦のように1手1手振り返り、その背景で動いていた資本政策の意図を考察することで、資本政策に関する学びを得ることを目的として書いている。

取り上げる企業:株式会社Gunosy:

このnoteでは、2015年3月24日に上場承認された株式会社Gunosy(証券コード7049)を題材として検証を行う。株式会社Gunosyは創業第3期で上場承認された企業だ。

株式会社Gunosyは上場に伴い、
(1)会社設立から早期に上場を果たしたこと
(2)共同創業者の持株比率が極端に少なかったこと
が話題になった。

このnoteでは、株式会社Gunosyが創業から上場まで行った、全19回の資本取引の詳細を1取引ずつ背景を追いながら振り返っている。
これら創業からの資本取引を振り返ることにより
・個人で行っていたプロジェクトをどのように法人として立ち上げるか
・初期の資本政策の重要性
を考えるいい機会になるだろう。

会社が公表したⅠの部を主な情報源としており、各回の資本取引について推定を交えた考察は行うが、極力客観的事実の枠内から外れないように記述を心がけている。

第1期の資本政策:

□会社の状況

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