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噓日記 7/3 映画のタイトル

テレビをなんとなく眺めていたら驚くべき文言が私の耳に飛び込んできた。
映画、交換ウソ日記。
おい!
まじかよ!
一人で噓日記書いてるのがバカみてーじゃねーか!
調べてみたら原作二〇一七年の小説じゃねーか!
こっちの嘘日記は今年の三月からだぞ!
年季がちげーじゃねーか。
ずるいよ、そんなのずるいよ。
最近何かとワイドショーでも交換日記がウケてる中でさらに俺の土俵の嘘まで盛り込まれてもうたらもうズルやないですか!
あらすじを読んでみたらまぁ、ええ話やないですか!
自分がついた優しい嘘とそこで芽生える葛藤、そして青春。
一方で俺の嘘日記を読み返してみたらどうでっか?
全部嘘の日記にチンパンジー、怒り、仕事、死、大江裕、老人、ハイボール。
それしか出てこんやないですか!
この対比。
母親もそんなふうに育てたつもりはないでしょう。
俺だってな、切ない恋心とかを巧みに描写して中高生の必読書になりてぇのにさ。
紡ぐ言葉は愚痴と倫理観の反復横跳びよ。
祖母の遺影の前で何度首を垂れたでしょう。
青い春を描く作品があったかと思えば、俺の鈍色の日常を嘘でさらに彩った碌でもない作品だってあるんやな。
伊達にあの世は見てねぇぜ。
作品の通販サイトのレビューを見てみたらなんかみんな優しい。
青春の最中で抱える無力感とそこから芽生え始める後悔、若さゆえの万能感を否定されたような感覚、それをしっかり描写してるとのこと。
一方その頃、夜になったらスマホをポチポチと弄くり回しては嘘に嘘を重ね続け、死ぬ間際には思想犯になっているであろう男は、チンパンジーにタイプライターを打鍵させるが如く誰かに何かを感じさせたいだとか、自身で思想を確たるものにしたいだとか崇高な理想を掲げることもなく意味もない千字をただひたすらに紡ぎ続けていると考えるとこの世ってすげーよね。
妖怪大戦争じゃん。
すねこすりならぬ板こすりが俺だよ。
板を擦って文字を出す。
そこにあるのは偶然と結果だけ。
でも、なんとなく書きたくなるんだよね、文章って。
書いた末に俺ってこうなんだなってちょっと諦めるようなそんな時間、俺好きなんだよね。
でもこうして俺が書いてる文章もさ、青春を描く人の文章もさ同じなの。
だって、繋がってんじゃん。
俺らの上の空。
俺たちは青い空の下で繋がってるわけ。
蒼井空。
つまり何が言いてぇのかってーと、こっちは一人でずっと嘘ついてんだから狂い具合ならこっちも負けてねーぞっつーこと。
映画化お待ちしております。

どりゃあ!