雨の世界

雨降りの朝。


TVを止めて電気も消すと、
幽玄な音の世界が訪れる。

車が水飛沫を上げて走る音。

地下鉄は轟音と共に走り去り
。

キーン…キーン
雨垂れの音が、金属音のように響いてくる。

空からはジェット機の微かな
響き。

風は雨と混じり、悲しげに泣く。



雨の世界が時間を止める。

ただただ音の中に漂う私。

トットットッ…
邪魔をするのは時計の針。

1秒毎に私を急かす。

邪魔しないで。あと少しだけ。


私の時間。