無本番・練習日記2021年3月8日~3月14日

2021年3月8日(月)
ジェミニアーニ:ヴァイオリン教本 The Art of Playing on the Violin
F.A.ホフマイスター:フルートとヴィオラのための3つの協奏的二重奏曲
 バロックヴィオラのみ、ジェミニアーニの13番とホフマイスターの二重奏(Vaパート)で音出し。ジェミニアーニの方はそれぞれの調性の音階を、Presto目指して徐々にテンポを吊り上げていく形で練習。大幅なテンポアップも試みたが、あまり効率の良い練習とは思えず。急がば回れということか。
 残りの時間でホフマイスターの二重奏のパート譜をさらう。こちらも個人練習では忘れてしまいがちな「パート譜として楽譜を見る」ことを思い出すよう努める。学生だった頃「個人練習では弾けるのに、合奏になると弾けなくなる」現象の一因は、この辺りにあったのかもしれないと、時々考える。この心がけの効果がいかほどになるかは、アンサンブルの機会がないとわからない。一番近い機会としては(歌入らずオケのみのリハだけど)明日のヘルツォーゲンベルク『受難』のオケ合わせか。

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2021年3月9日(火)
オーケストラリハーサルのため、個人練習お休み。
(余談)昨春の緊急事態宣言から一年越し。ヘルツォーゲンベルク『受難』Op.93のオケリハ。椅子に座って楽器を弾くのは昨年の8月以来なのでどうなるかと思いきや、椅子に座った瞬間頭より先に体が順応し出したので、染みついた感覚は滅多なことでは消えないものだと教えられる。
そして「個人練習の時でもパート譜として楽譜を見る」練習は、とりあえず間違った方向ではなかったようだ。

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2021年3月10日(水)
他用のため個人練習お休み。

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2021年3月11日(木)
他用のため個人練習お休み。

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2021年3月12日(金)
シューマン:『おとぎの絵本』Op.113
カイザー:36の練習曲 Op.43
クロイツェル:42の練習曲
音階(C-dur , a-moll)
音階(C-dur)
F.A.ホフマイスター:フルートとヴィオラのための3つの協奏的二重奏曲(ヴィオラパート)
 気が付いたらレッスン受講の当日が明後日に迫っており、何が何でも練習だけはしなければいけなかった日。バロックヴィオラも久し振りに3日以上ケースを開けておらず、そちらの安否も気になった。
 レッスン当日は事前練習ができないため、準備運動なしで弾くことを想定した順序で練習。『おとぎの絵本』は3楽章から。出だしこそ問題なく弾けていたものの、ある瞬間から頭と体が仲違いを始めたように突然指が回らなくなり、次いで凡ミスが増える。一週間ほど基礎練習方面が手薄になっていたので、そろそろ来るかと予想はしていた。20代前半の頃はこういうことはなかったように記憶しているが(単に気付いていなかった可能性もある)、音階や練習曲をお留守にしている効果が如実に表れるようになったのは30代手前辺りからだろうか。演奏中その瞬間が急に来るので怖かったが、ここ数年間でパターンが掴めた気がする。私の目安は一週間。とはいえ今日は優先順位も考えるとシューマンを先に持って来ざるを得なかったので、バロックヴィオラの時間を減らし、モダンでの基礎練習に充てることにした。
 シューマンの後はカイザーの18番~22番。頭の回転が演奏速度に追いついていない感もあり、耳を含めた現状把握の感覚も恐らく鈍っているであろうことを感じる。音量の変化などは、シューマンと同じく楽器が自然に鳴ってくれる音量やバランスに任せ、私自身は五感の情報収集に専念することにした。楽器の判断を信じるだけでp(ピアノ)やf(フォルテ)が小手先だけの音量調節からの脱出を可能にし、音楽も滞りなく進むようになるのは本当に不思議。
 クロイツェルは2番を、基本のデタッシェと4つスラーのボウイングで。最後に音階を弾いてモダンヴィオラは練習終了。
 バロックヴィオラは音階から。カール・フレッシュのC-durを弾いてホフマイスターの二重奏を見る。こちらは耳と腕の感覚を取り戻し、楽器のご機嫌を伺うための時間。3日間のほったらかしに御立腹でなかったのは幸い。恐らく4月になったらまたバロックをさらう時間が徐々に増えていくことだろう。

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2021年3月13日(土)
シューマン:『おとぎの絵本』Op.113
カイザー:36の練習曲 Op.43
クロイツェル:42の練習曲
 雨のため、中に干した洗濯物の湿気対策として扇風機と除湿器の動作音が鳴り響く中での練習。この五月蝿さが練習に適さないのは百も承知、しかし過去に同じような状況で、除湿器を止めたことによって楽器の側板がかなり広い範囲で剥がれてしまったことがあるので、選択肢はない。楽器の調子が悪くなるよりはマシと思うことにした。
 繊細な練習は諦め、目的は「楽器を弾くこと」に絞られた。周りで鳴っている音が大きいので、自然と演奏音量も大きくなる。騒がしい場所で喋るのと一緒か。
 シューマンを弾き、カイザーは1番と、昨日弾いた18番~25番辺りまでを弾く。クロイツェルは2番。明日に向けて対策をするはずが、実際はカイザーとクロイツェルを弾いただけで終わってしまった。これ以外に方法が思いつかなかった。
 シューマンはピアノパートも弾こうと試みるも、10分も経たないうちにお手上げ。

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2021年3月14日(日)
公開レッスン受講+聴講のため個人練習お休み。
 (余談)とうとうその日はやって来た。小林道夫先生のウィンターアカデミー2021in東京。形式は声楽・器楽異種混合の公開レッスンで、レッスン受講生の専門分野が自分と違っていたとしても、聴講するだけでも受講の甲斐があるという、得難い時間。今回はコロナウィルス感染防止のため器楽のレッスンだけになってしまったけれど、どの分野にも通じる内容ばかりなのでメモ帳は必携。今日はヴァイオリン、ヴィオラ、オーボエが2人、フルートの計5人がレッスンを受講した。
 シューマン『おとぎの絵本』は演奏者の好みにより、かなり表現が変わってしまう作品であることが判明。譜面の解釈がそもそも異なってくるらしい。緊張のあまり、練習したこと全ては頭から吹っ飛んだ。百戦錬磨の先生が「この曲は難しいよね」「ここのこういうところが楽譜を読むときに困るよね」と仰った時の、共感を得たとも安心したともつかない嬉しさ。今日のレッスンは15年前に弾いてから一向に腑に落ちなかった数々の問題点に風穴を開けてくれた。ついでに新しい課題もたくさん浮上した。
 「強弱記号は厳密に書いてある場所からではなくて、その範囲全体がそういうイメージなら良いんじゃないかな」
 目から鱗が落ちました。
 前回(2年前)の受講から進歩したところもそうでないところも含めて、小手先の演奏技術の指摘だけでは終わらない、楽しい時間だった(ただし演奏が終わるまで本番とは違った緊張でストレスフル)。
 今回の反省を踏まえて、次回『おとぎの絵本』演奏の機会があった時は、楽譜を買い直すことにした。古い書き込みはやはり、思いもよらぬ瞬間に縛られる。
 ご時世柄2日間から1日のみに短縮されたアカデミーは無事終了。これで頭をヘルツォーゲンベルク『受難』へ切り替えることができる。

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