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第四回こむら川小説大賞 中間ピックアップ5選

 進捗どうですか?
 第四回こむら川小説大賞も締め切りまであと13日になりました。
 下限は3000字なので当日まで足掻けば間に合う!とは言っても最終日は本当に大変なことになる予定なので、ここ一週間くらいが狙い目です。
 みなさん執筆は計画的に!

 それでは、8/1から8/14までにエントリーしているレギュレーションを満たした作品の中から5作、主催者の独断と偏見で推していこうと思います。
 投稿されている全61作の中にはこれ以外にも面白い作品はたくさんあるので、是非気になったタイトルでもいいし、他の人の感想を見てからでも良いので読んでみて、ポジティブな感想や☆を入れてくれるとうれしいなと思います。

黒咲深白の異能/桜居春香

 自分にだけ「殺せるよ」という声が聞こえる少女が主人公のお話です。
 こちらの作品は、以前投稿していただいた「ただ君を救いたくて」と少しだけ関連しているお話なのですが、作品単体としてしっかりと独立していて面白かったです。
 自分に声をかけてきた黒い噂はあれど、周りから人気のあるお嬢様に呼び出された少女と主人公である黒咲深白が関わり合ったことからお話が動きます。
 バトルシーンもおもしろかったのですが、敵の正体を探るシーン、そして主人公の頭の中に聞こえている「声」がもうめちゃくちゃアツいのであやかしとかが好きな人は是非読んで欲しいと思いました。
 お話の規模も余計な人物は出てこなくてコンパクトだけれど、きちんと盛り上がりがあって一段落付くという綺麗な構成なので参考になる方は多いのではないでしょうか?
 こういう規模で物語を動かしたり、ギミックを仕込んでいるのはすごく上手で、読んでいてすごい面白かったです。

蛞蝓うらない/濱口 佳和

 初参加の方の作品です。
 じっとりとした時代小説や、伝奇小説のような雰囲気を持つ一作です。
 物語は、日比谷稲荷近くの源助長屋に、おそろしく当たる八卦見がいると聞いて尋ねた一人の男を中心にして始まります。
 助六と名乗る男の妙に妖しい魅力を孕んでいるところや、作品全体をじっとりと覆っている湿った空気、こういう時代の長屋という場所に漂う程よい不潔感がしっかりとした筆致で描かれていて、読んでいて世界にぐっと引き込まれます。
 色鮮やかな描写や、なまめかしい描写、そして、タイトルにもなっている「蛞蝓うらない」がどのようなもので、一体助六と名乗る男は何者なのか、彼の元を訪ねた武家の男はどんな目的だったのか……。
 作品を読んで楽しんで欲しいなと思います。
 ジメジメとして暑い季節に読むと、ちょっと涼しい気持ちになれる作品でした。

明日の話/味付きゾンビ

 避けようのない未来視を持つ少女を描いたお話です。
 参考にしようと思っても出来ない作品なんですけど、この淡々と描いているのにどうしようもないつらさだったり、諦めを読者に叩き付けてくる描写や情報の取捨選択、そして欲しいと思ったときに開示される情報のタイミングなど全部「お見事」となる作品でした。
 人の心がないのか。
 結末で読者の心をめちゃくちゃにしたい場合、ここまでやると頭一つ抜けるんだなと言うのがわかりました。
 今回のこむら川小説大賞は、結構バッドエンドにも取れる作品が多いのですが、現時点では一番「うわー」となりました。
 うまい。人の心がない。すごく良い作品です。

Disaster Red/草食った

 レッドきゅんかわいいね。いや、かっこいいですね。
 正気を失ってしまったのですが、本当にめちゃくちゃに良いSFでした。
 とある事情で人間から隔離された少年レッドと、彼を管理するために部屋に備え付けられたAIのルベールという少年×AIの密室コミュニケーション物語です。
 密室なので派手な出来事は起こらないのですが、毎日のルベールとレッドのやりとりが丁寧に描かれていて、日常を描いているけれどだれずに読めるのが本当にすごいなと思いました。
 その日常描写が後半にしっかりと伏線になっていくという構成もすごい美しい作品です。
 終始派手に物をぶっこわさなくても、ポイントポイントでキメれば最高にエモい……そういうことを思い知らせてくれる作品でした。
 キャッチコピーにある「おれ」って一人称なのに二人称は「あなた」なのがね……良すぎる。五億点です。おのれ草さん!
 不遇少年が救われる話が好きな方には特にオススメの一作です。

コンバットレディ/大澤めぐみ

 うまいに決まってるんだからぜっっっっったいにピックアップしないぞくらいに思っていたのですがこれは僕の全面敗北です。最高でした。

-We're Combat Ready-

よく冷房の効いた気だるい完璧な夏の終わりの午後。
外から窓をブチ破って対戦車擲弾が教室の中に飛び込んできた。

 キャプションに書かれたエモ概要、そして開幕飛び込んできてめちゃくちゃになる教室、そこに立っていたのは五人の少女だった……。
 スピード感のある導入、そしてぐいぐいと進んでいく展開、吸血鬼、不死、そして散りばめられた伏線がぎゅいーってまとめられていく快感……。
 アツいバトルシーンが本当に好きで、めちゃくちゃに楽しかったです。
 やっぱり物語を読むのは楽しいなとか、こういう書き方僕もしたいなって思える作品でした。
 物語に対する納得度、そして読者にとっての快感をどう作るかということがしっかりと意識されているであろう構成も美しかったです。
 よちよち赤ちゃん達に容赦の無い投球をしてくれてありがとうございました。
 KUSO勢でも赤ちゃんでも、練り上げた刃で一太刀を浴びせることは可能なので、真似をしたい部分とかと見つけて良い栄養にしていきましょう!

 以上5作の推し作品紹介でした。
 闇の評議員は三人いるので、別に僕が推した作品が必ず受賞するとは限りません。
 まだ作品を完結させていない方、これから二作目を書きたい方、全読みチャレンジをしたい方などみなさん残り13日間よろしくお願いします!

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