2-3 タダでは起きぬ
眠眠スネークの東京サバイバル
２０２４年２月１９～２５日
１９月曜、うちはクローゼットがない。押し入れはあるが服をかけるところがなく結局カーテンレールにこれまで洋服をかけまくってた。見栄えも悪くカーテンも開けれないのでちょっと考える。
閃いた。引っ越してきてからずっとハンガーラックの置き場所ばかり探していた気がするがどうして突っ張り棒の頭にならなかったのか。近所のホームセンターへ行き１メートル強の頑丈な突っ張り棒を購入してきた、８７７円也。押し入れの上段に設置すると普通にクローゼットになったわ。一年半もこのアイディアに辿り着かなかったのは間抜け。スッキリした。
昼も夜も雑炊を作って食べる。歯がないおかげで粗食や。缶酒買ってきてちびちび晩酌してるがそれがテレワーク後の唯一の楽しみ。どうせこの顔では一人で飲み歩くこと出来ず、深酒のリスクもない。これくらいは良いやろ。
口元の傷は癒えたがすりむいた部分の口髭が急に白髪になった気がするのはたまたまか？毛根に強い衝撃を与えると黒から白に変わったりするのかな。右手の痛みは日々マシになってきてるが傷のかさぶたは残ってる。口の傷より治癒が遅い。
２０火曜、佐川さんにこれ見よがしに「ハアハア」言われるほど重たい組み立て式の本棚６個が届く。
しかし開梱してみてびっくり。ファンシーすぎるショッキンググリーンが目に飛び込んできたんや。眠眠堂はそんなコンセプトカフェじゃない。すぐに注文サイトを確認すると商品画像が間違ってた。通常のカラーを選択するとショッキングピンクかグリーンが届くという凄い罠。皆驚いてるやろうな買った人は。
クレームを入れ勿論交換してもらうことに。めんどくさ。また佐川さんにハアハア言われてしまうわ、ごめんね。
昼の気温は２０度を超え暖かいというよりももう暑い一日。午後仕事を切り上げ歯医者へ行く。遂に治療を開始する。
僕の折れた歯は神経がむき出しになっていた。歯の中心にちょっと柔らかな骨髄のようなものが詰まっていて触るとズキズキする。チーズちくわのよう。字面から全くイメージ出来てなかったが歯の神経とはチーズやった。
差し歯にする前の根管治療ということで歯髄と呼ばれるそのチーズを全て掻き出す。麻酔しているので痛みはなかったが穴を針金でガリガリほじくられるのは中々怖かった。歯の神経を抜くとはこういうことなのね。
しかしおかげで触れてもズキズキする感覚は消えた。これでようやくしっかり歯みがきが出来る。念のためロキソニンを処方され会計は３０００円也。治療が進むのは嬉しいがやはりお金がかかるな、トホホ。
夜はキネカ大森でクローネンバーグの古い映画『ビデオドローム』を見る。ブラウン管のテレビ画面が生き物のようにぶよぶよになるシーンは見てて面白かった。内容は、とある過激なビデオ映像を見ることで脳に腫瘍ができ死に至ってしまうというホラー。アイディアはまるで貞子やった。
表現方法がユニークなので怖くはなかったがディスクと違いビデオテープのフォルムってどうしてあんなに不吉なんやろうね。終盤の哲学的なシーンでついつい眠ってしまったので肝心なところの記憶は無し。リングらせんループを読み返したくなった。
スーパーで食材買って帰り麻婆茄子を作る。辛い料理というイメージがあるがしっかり甘くないとこれが美味くない。甜面醤や砂糖の分量が肝心と学ぶ。甘味は旨味に直結するよ。ハイボールで乾杯。
２１水曜、最近何故だかぐっすり眠れない。テレワーク続きで運動不足なのかしら。一日中雨で寒さが戻る。
仲の良い総務の人と話していて傷害保険の存在を知る。これまで意識したことなかったが給与から毎月３００円引かれているのがそれやった。今回の僕の怪我がその対象となるのか調べてもらうことに。知らないと肝心な時に使えないな。無知は怖い。そもそも具体的な仕組みがイメージ出来ないのよ。保険とは一体なんなのか。お金に関する事なので急に興味が湧き出した。
夜、届いた本棚のうち２つは注文通りの色やったので組み立てを開始。押し入れの中で山積みにされていた漫画達がこれでようやく整理出来ると思うと気分が良い。力を込めてドライバー回し組み立てていたら指の皮がめくれてしまった。痛い。本棚ひとつで早々にギブ。非力過ぎるわ。
京都のマー君が獲れたての鹿肉をもらったらしく羨ましくてつい山賊ダイアリーを読みながら寝る。サバイバルへの憧れはいつでも胸の中に。すぐにうとうとしかけたもののやはり寝付けず何度も起きてしまう。辛い。眠れないのでマーガレットステークスの登録馬を見ていったよ。僕は断然クランフォードが買いたい。
２２木曜、テレワーク生活も二週目になるが昼食は前の晩から考えて作り置きしておくようにしてる。昼食代として会社から５００円支給されるのも有難い。昼休みは３０分で食べ、残り３０分は昼寝する。出社時と全く同じルーチンに寄せてる几帳面さよ。
保険と言えば僕はアフラックに毎月一万強払い続けている。約十年前無理矢理おかんに加入させられたので内容全く理解していなかった。ずっとお金に余裕がない生活をしているのにこの一万はデカすぎたし、保険よりリスクとギャンブルが好物の自分にとってただただ不愉快な存在やった。
昨日の３００円の傷害保険が今回の怪我に適応されるなら３０倍以上の金額を掛けてるこっちこそ本気出してくれないと困る。４０年に一度の大怪我が適応されないのであればもう今後掛ける意味ないやんとすら思えた。
早速アフラックにアポを取り電話で話を聞く。ネットのマイページでは全く要領を得なかったが、担当と話し初めて理解できたよ。
僕の契約では怪我での通院１回につき３０００円支給されるとのこと。驚いたよ。今回の通院も勿論適応範囲内。そんなこと意識してこない人生やった。
「え、じゃあフットサルで足ぐねって整形外科行っても適応されますか」と聞くと「勿論でございます」とのこと。知らんかったなぁ。それくらいの怪我ならちょこちょこあるぞ。ついでに色々話を聞くとどうやら今度の入院と手術でもいくらか出るらしく急に色めき立ち出した。
がんになったり死亡しないと捨ててるだけと思ってた保険も内容知ってるとここまで使えるのか。場合によっては回収率１００超える。勝てる。
後は会社で加入してた傷害保険でも相談してること伝え、両方受け取るのってセコくないのかと聞いたが問題なしとのこと。そりゃそうか。同じ馬券をパットと紙とで買えば両方有効やもんな。これが保険か。マジで理解した。そして希望が見えてきた。詳しい資料を全て郵送してくれと頼み電話を切る。
日経平均が過去最高値を叩き出す中僕のＪリートはもうどん底。海外投資家達は一体どこに目を付けてるのか。早く波よ来いって。
眠すぎるので早々に就寝。
２３金曜天皇誕生日で祝日、何度も目は覚めるが延べ十時間以上寝れて復活。
１１時、小雨降る中近所の八幡さんへ行き厄払いをしてもらう。前回１７年前の厄年でも経験あるので勝手は知っていた。
「祈祷料は５０００円からお気持ちで」とのことで諭吉を差し出す。ここも１７年前と変わらず。つまり成長していない。
十分程度で終わったが神主さんにしっかりお祓いしてもらったよ。これで怪我無く一年過ごせれば。
雨が雪になっても不思議じゃない程寒い日。ここのところの気温差のせいで鼻炎がやたらひどい。軽い鼻風邪かと思ってやり過ごしてはいたがどうやら軽くない。多分蓄膿症なったクサい。実際臭かった。
昼過ぎ佐川さんから着信アリ。「先日本棚を届けた者ですが今日もまたあるので今から伺っていいですか」と。僕は夜に時間指定していたのに、来ちゃましたとのこと。別にいいけどさ。
一応中身が間違ってたことを説明しその４個は回収してもらう。この重量持って階段上り下りはキツイよな。ハアハアもなる。流石に佐川さんは一切悪くないので重いのに何度もすみませんと謝っておいた。頑張ってくれ。この仕事僕なら倒れちゃう。
今度は指定通りの色の本棚が届いたことを確認。指の皮を気にしつつゆっくりと組み立てていった。
夕食はＭリーグ見ながらまた麻婆茄子を作る。アボガド入り。前回より断然美味く出来て満足。
空の本棚に大量の本を埋めていく作業は楽しいよ、深夜に一杯やりながら。
ジグソーパズルの佳境、もしくはゲームの『倉庫番』やってるような楽しさで性に合っている。
２４土曜、僕がギャンブルで勝てないのには明確な理由がある。それは『予想を楽しむより、勝利を嚙みしめるより、ベットする瞬間が一番好き』だから。極論を言えばお金を賭けられるなら何でもいいってこと。ほとんど勝てないと判っている勝負でも賭けること自体が好きなので盲目的に賭けてしまう。
予想する時間も謎解きみたいで勿論好きやし、お金を増やすことも性格上大好きやが、賭ける楽しみがギリギリ勝っているのでもれなく毎回破滅してしまう。よほどの縛りを課さない限りおそらく改善は無理やろうな。僕みたいな人はギャンブル向いてないよ。特に一人で気軽に出来てしまうギャンブルは。
良い天気。まだ風邪気味。フェブラリーステークスの眠眠をようやくアップ。ペースが徐々に遅れてきてる。
２５日曜また雨、クランフォードの馬券を買いたくなり東銀座へ行く。紙馬券購入しすぐ帰宅。そしてレース中継見るもこれまで逃げて強さを発揮してきた馬が先行もせずに７着敗退。なんでやねん、どういうことやねん、ルメートルさんよお。
随分後で知ったがどうも返し馬で放馬してたとか。それはあかんて。中途半端に走らず取り消して欲しかった。グリーンチャンネルがないとそういう情報一切判らない。
週中から予想を楽しみ、家で自由に買わないという縛りまで課して挑んでもこの仕打ち。勝てない理由もう一個あるの忘れてたわ。僕は運命から勝てないように仕組まれてるんやった。
夕方また頼んでおいたものが届く。今度は衣類等を仕舞える軽量ラック３つ。早速設置する。本棚も追加で２個組み立てた。部屋の大改造が続く。
怪我したことがきっかけでこんなに急に動き出したのか。怪我する前からやったか、いや会社辞めるからか。ちょっともうよくわからないが、変化が変化を呼んでる気がする。
『転んでもただでは起きぬ』とは、保険はちゃんと受け取ろうよという意味と知った週。終わり。
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