デパート催事出店奮闘記 (スイスでワイン造ってるの#72)
なんの経験もコネもなくスイスワイン輸入業を始めたぼくにとって、起業したばかりの頃はデパートで取り扱ってもらったり、催事出店は憧れの的でした。
「どないしたらバイヤーと知り合え、デパートと取引できるんやろ〜」と悶々としていました。
ということで、今回はデパートの催事出店に至った経緯や出店した時の苦労話をつづります〜
当たって砕けろ
ある日「大阪でワインといえばH百貨店」と言われるH百貨店*のワイン売場にふらっと立ち寄った時のこと。
さすがH百貨店、他店ではお目にかかれないスイスワインが赤白1本ずつ陳列されていました。
もちろん即買い!
他社のスイスワインもやっぱり飲んでみたいんですわ~
値段勝負はでけへんけど、味ならうっとこの娘たち(ワインのこと)のほうが断然上やん❗️
一人でも多くお嫁入りさせなアカンと、日々、娘ちゃんたちのお嫁入り先を探しているお父ちゃんの娘思いの心にボッと火がつきました。
しかし、どないしたらデパートにお嫁入りできるのかさっぱりわからないぼく。
そこは当たって砕けろ!後日また出向いてそこにいらした店員さんに声をかけました。
ぼく 「あの〜、すいません、こちらの売り場のバイヤーさんいらっしゃるようでしたら、お話しさせていただきたいのですが…」
店員さん 「はい、少々お待ちください」
え、え~~❗️❓
そんな簡単に繋いでくれるん❓
なんでもやってみるもんやね〜
そしていよいよ念願のバイヤーさんに自慢の娘ちゃんたちを試飲してもらったら嬉しいことにメチャ高評価!
でも新参者のインポーター、そして決してお安くはない価格・・・
「常時置くことはできませんが、催事出店なら可能性があります」
おお!
H百貨店の催事といえば、春と秋にやってる「大ワイン祭」のことか❗️と夢を膨らませて、H百貨店の連絡をいまか、いまかと待っていたのです〜。
しばらく経って(コロナ禍やったこともあり1年以上待ってたで)くだんのバイヤーさんから連絡がありました。
「地下ワイン売場の週替わり催事はどうですか?」
やった〜、大ワイン祭でも週替わり催事でも、なんでもやりまっせ〜
イケてへんわ〜
デパートに商品を納めるためには、直接卸すのではなく、「帳合(ちょうあい)」と呼ばれる卸売業者を介する必要があります。
その卸売業者と取引をするにあたり、いろんな書類を提出せなあかんねんけど、まあその書類が全然イケてへんのよ(涙)
エクセルで作られたそのファイルは、いーっこもエクセルである必要がないのよ。
見た目を揃えるための全くムダな空白セル、なんでセンタリングすんねんみたいな意味不明なセル、エクセル以外のツールには互換性のない関数、などなど。
エクセルは「表計算」ソフトやのに、計算するとこないやん(ぎゃふん)!
会社勤めしてる時にもよーけおったわ、エクセルをワープロ代わりにつこてたオッサン、オバハン。
もー堪忍してくれよ〜
何十年も前からのファイルが令和の今でもそのまま使われてる感満載!
その書類要るん?
エクセルをワープロ代わりに使うのは百歩譲って、許したろ。
せやけどな、おんなじ様な情報をこっちのファイル、あっちのファイルに何度も入力せなあかんこと満載。
しかも食品卸全般をひとつのファイルにしてあるからワインには全く関係ない意味不明な入力項目がテンコ盛り。
やっとこさ提出したら「ここはこうしてください」と言われたので、修正して提出すると、「この項目はこう記入してください」と!
いっぺんに言うてくれよ〜
一つチェックしては連絡し、二つチェックしては連絡し、っていつまで続くねん。
罰ゲームみたいなやり取りが続くのです。
無駄な作業やめようよ〜(涙)
売れませんよ
わけわからん書類と格闘してやっとこさ催事出店に漕ぎつけた次に待ち受けていたのが、ずーっとおんなじモノ売ってきて、新しいものや異質なものを受け入れられないコンサバな人たちです。(これが一番タチ悪いね)
初めて催事出店するため、売り場の手順やお作法がわからないので、派遣の販売員さん(通称マネキンさん)を雇ったのです。
そのマネキンさんが開口一番に言ったのが「こんな高いワイン、ここでは売れませんよ」なのです。
おいおい、たっかいお給料払うねんから性根入れて売ったらんか〜い❗️
と言いたいところですが、いろいろ教えてもらう必要があるので、グッと我慢(ぼくも大人になったね〜)
「そんなこと言うんやったらわしが売ったろやないか〜」メラメラと闘志を燃やしたのでした。
連日、一所懸命スイスワインの魅力を語ったおかげで、くだんのマネキンさんや他のマネキンさんの予想を大きく覆し、うっとこの娘ちゃんたちはあちこちにお嫁に行ったのでした〜(完売御礼❗️お父ちゃんは幸せ〜)
どや〜、心こめて説明したら売れるやないか〜❗️
ま、最終日に「まさかこんな売れるとは思ってませんでした。売れへん言うてすみませんでした」って言うてきはったから許したろ~
とまぁ、催事出店はいろいろありましたが、ご試飲いただいたお客様に「美味しい〜」「ひとくちで心奪われました〜」と言われ、うっとこの娘ちゃんたちをお嫁に迎えていただくと、涙チョチョ切れるほど嬉しく、一週間ず〜っと立ちっぱなしの疲れも吹き飛んだのでした。
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