見出し画像

スイスワインの輸送あれこれ(スイスでワイン造ってるの? #27)

デジタルマーケティングでお世話になっているコンサルタントの方に「ワインってどうやって運ばれているのですか?」と聞かれたことがあります。
「そうか〜、業界の人やワインマニアの方以外はワインがどうやって運ばれているかあまりご存知ないのか〜」
ということで今回はワインの輸送にまつわるあれこれを綴ります。
ワインマニアの方もお楽しみいただけると思います〜

オツナカ???

オツナカは「乙仲」と書き、ぼくたちインポーターに代わって荷物の引き取り、通関をする業者です。
港町神戸で生まれ育ったぼくは「沖中仕(おきなかし、おきなかせ)」という言葉はなんとなく聞いたことがあったので、「似たようなもんかなー」と思ってました。
「乙仲」は運送業者を兼ねている場合もあり、英語でフォワーダーとも呼ばれています。
単なるワインファンだったぼくには意識したことのない職業でしたが、インポーターの今では乙仲さんにとても重要なお仕事を担っていただいています。
感謝!

まず最初は陸送!

ワインの輸送をご存知の方から「ヘルベティカさんの輸送は空輸ですか、海上ですか?」と聞かれます。
いずれの方法でも生産者さんのセラーから港、もしくは空港に運ぶためにはまず陸送しなければならない事を忘れんとってや〜
(写真は協働ワイナリーからの出荷の様子)

画像1

コンテナ

船便で輸送する場合、コンテナを利用します。
温度管理のないコンテナを「ドライコンテナ」、温度管理されているコンテナを「リーファー(Reefer)コンテナ」と呼びます。
ワインの裏ラベルに「Reefer」や「リーファー」と書かれているのをご覧になったことのある方もいらっしゃると思います。(ラベルへの「リーファー」の記載は義務付けされてはいないので、必ず表記があるわけではありません。)

ドライで運べばコストは低く抑えられますが、約1ヶ月の長い船旅で赤道付近を通過するので品質劣化のリスクがあります。
ワインは温度管理が大切なのでリーファーだとその点が安心です。

品質劣化によるロスは輸送コストの差で補っても余りあるのでドライで良しと考えるか、コストがかかっても大事な商品を守るためにリーファーにするかはワインの価格やインポーターのポリシーによるところだと思います。

僕は大切な子どもたち(ワイン)は空輸もしくは「リーファー」で輸送しています。

画像2

混載(LCL)

通常、コンテナは丸ごと借りるものですが、コンテナを満載にできない場合には他の荷物と一緒に積み込む「混載」(LCL: Less Container Load)にします。
弊社の場合、取扱量がまだ少ないのでLCLです。
スイスワインの需要が日本でももっともっと増えて満載できる日が来るのも目標の一つです。(来年度は満載するで〜。)

思わぬ落とし穴

今年度の輸入はまだコンテナを満載するほど取扱量の多くない弊社、でも生産者さん達が一所懸命造ってくださった大事なワインなので、リーファーのLCLでいこうと思い、空輸をお願いしたフォワーダーさんに「船便のリーファーLCLでお願いできますか」と問合せしたところ、「リーファーのLCLないよ〜」と言われました。

がーん!ま、まじか〜

いろいろ当たってみましたが、どこも取り扱いがないようです。
言われればもっともなのですが、リーファーLCLをする荷物は同じ温度帯で運ぶものである必要があります。
よってコンテナいっぱいになるまでワインを運びたいお客さんを待ってから船積みするのはいつになるか分からないのでフォワーダーも受けにくい注文ですし、お願いする側もいつ出るか分からない注文はできないですよね。

ど、どないしよ〜。(汗)

ところが、2020年度よりパートナーになったワイナリーが「フランスでワインの輸送をやっている会社ならリーファーのLCLあるんちゃうかな〜」と教えてくれました。
さすがワイン大国フランス!ワインに特化したフォワーダーがリーファーのLCLを引き受けてくれるではありませんか。
助かった!メルシーボクー!

ボーヌ!

さて、配送の手配です。なんとなくスイスのワイナリーから陸送で船積みする港に持っていくと思いきや、「一旦、ボーヌの集積地に集め、そこからル・アーブルの港に運びます」とのこと。
おー、ボーヌといえばブルゴーニュ、コート・ドールの県庁所在地ではないか!さすがブルゴーニュ、弊社のようにリーファーLCLで世界に輸出しているのだ。」と遠い目で尊敬の眼差し。
(下の写真は、元慈善病院でのちにワインの競売会で有名になった「オスピス・ド・ボーヌ」)

輸送_オスピスドボーヌ

スト!コロナ!

見積もりも終わり、いよいよ発注〜となったのですが、「現在フランス全土でゼネラル・ストライキが行われており、港湾労働者がストライキをしている場合は、荷物はロッテルダム(オランダ)まで陸送し、そこで船積みする可能性があります。

で、出たーっ!
あまり日本では知られていませんがフランスではしょっちゅうストをやっています。旅行に行かれる際には電車が間引き運転されたりしているので注意してくださいね。

今回はなんとかストは回避できたのですが、次に待ち構えていたのが「COVID-19(コロナ)」です。
コロナの影響で陸送関係者や港湾労働者がフル稼働できないので輸送が遅れるかもしれないとの連絡が!
初回の輸入はあまり問題もなく、「なーんや、輸入ってやってみたら簡単やん!」と考えていたぼくにお酒の神様「バッカス」が試練を与えているようです。

輸送以外にも書類手続きなどでチョコチョコと遅延はあったものの2020年度の仕入れもなんとか無事終えることができました。
ガラガラだった弊社倉庫は現在大賑わいです。

搬入 (1)

さぁ〜、売るで〜!

ワインの輸送にまつわる記事、長くなってしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございました。

さてここからは宣伝です!
「へぇ~、なるほど。こんなふうに運ばれてきたスイスワイン、買ってみよう!」と思ってくださった方はショップページへどうぞ

Beyond the Glass
ワインを通じてスイス文化を日本のみなさまへ
Helvetica





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?