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シュナップス輸入顛末記 (スイスでワイン造ってるの#71)

スイスワインの殿堂を目指すヘルベティカ。
これまでスイス固有品種やいろんな産地の可愛い娘ちゃんたちを輸入してきました。
このたび(2024年1月)グラウビュンデンのシュナップスを輸入しました。この娘ちゃんはワインではないのですが、ワインの姪っ子とも言えるお酒です。

ということで、今回はシュナップスちゃんの輸入顛末記をつづります〜

シュナップスとは

シュナップスってなんやねん?という方に向けて、まずはシュナップスのお勉強から。

シュナップス( Schnaps)とは「果実を原料とした蒸留酒」の総称。
ワインを蒸留して造るいわゆるブランデーと区別するためにフルーツブランデーとも呼ばれています。

代表的なものに、さくらんぼの「キルシュ」、黄すももの「ミラベル」、その他フランボワーズやベリーなどなど、いろんなフルーツのブランデーがあります。

今回ヘルベティカが輸入したものはぶどうの搾りかす*1を原料としたもので、フランスでは「マール (Marc)」、イタリアでは「グラッパ (Grappa)」と呼ばれています。

日本の酒税法上では果物や果汁を原料とした蒸留酒は、すべてひとくくりに「ブランデー」と分類されています。

*1 搾りかすというとなんかネガティブな感じがしますが、ワイン造りの過程で出てくるぶどうの果皮、果汁や種が原料です。
英語ではPomace、ドイツ語ではTresterと呼ばれています。

以上でシュナップスが一体何なのかご理解いただけたかと思います。
それではこかからシュナップスの輸入顛末記のはじまり、はじまり〜

免許

まずは免許。「ブランデー」を輸入するためにはワインの輸入免許とは別に、ブランデーの輸入免許が必要なんです。*2

*2  正確にいうと「自己が輸入したブランデーを卸売する」ための免許

まぁ、ワイン輸入すんのに免許いるんやからブランデー輸入するのもそら免許も要るわな。

既にワイン輸入の免許を持っているので、税務署の酒税担当官の指導に従い、申請書を提出してすんなりと免許は下りました〜

えっ、アカンの?

晴れて免許は取得しましたが、思わぬハードルが待ち構えていました!

それが「メタノール濃度」なんです!
厚生労働省のHPに

メタノールは果実等を原料とする酒精飲料に含まれるが、一部の酒精飲料については主に原料に由来するメタノールのため我が国の規制値を超えることが避けられず(以下省略)」とあります。

厚生労働省食品規格部会令和元年9月13日資料1「酒精飲料中のメタノールの取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000547053.pdf

なんや小難しい文言が並んでいますが、要するに外国産の「ブランデー」には日本のメタノール濃度の規制値(1.2 mg/ml)を超えたものがあるので、気ぃつけや〜ということです。

ということはスイスで普通に売られてるシュナップスをなんも気にせんと輸入したらアカンの?

まぁ、海外で承認されているからと言って無条件に日本で販売でけへんことはさんざん前職で経験してたので、まあ、よくあることやなと思っていたけど、世の中にこんだけブランデーやグラッパが流通しているのに、まさかそこに引っかかるとは思ってへんかったわ〜

ほっ

ということで、シュナップスちゃんのメタノール濃度が規制以下かどうか確認するために試験機関にシュナップスの分析を依頼したところ、

シュナップスのメタノール濃度は0.55 mg/ml。日本の規制値は1.2mg/ml。

良かった〜
晴れて輸入販売できるやん!
ほっと一息。

たのむわ〜ヴァレンティン

シュナップスと一緒に満面の笑みのヴァレンティン
笑ろてる場合とちゃうぞ(笑)

さあ、あとはワイナリーに連絡して出荷してもらうだけ〜
ところがどっこい、まさかの落とし穴がありました〜(涙)

ワインと違って蒸留酒のシュナプスは温度変化に強いので、通常のワインの輸入と違って定温コンテナ(リーファー)で輸送しなくとも良いのです。

ということで、シュナップスちゃんは通常のコンテナ(ドライコンテナ)で輸送すべく、輸送会社と準備を進めていました。

ところが、たまたま同じタイミングでワインも輸入したことから「落とし穴」にはまってしまったのです。

ぼく「業者がワインの引き取りに来るから準備してな〜

ヴァレンティン「はいよ〜。ワインと一緒にシュナップスも出荷したで〜

ぼく「えっ、シュナップスも出したん?

ヴァレンティン「うん

ぼく「シュナップスはワインと別にドライコンテナで輸入するって言うたやん

ヴァレンティン「あ〜!忘れとった、そういえばそんなこと言うてたな・・・

たのむわ〜ヴァレンティン。あーやないで。
ドライコンテナで運んでちょっとでもコストを下げ、日本のみなさまに手に取っていただきたい値付けしようと思てたのに〜

シュナップス

お父ちゃんに「あんたはドライコンテナで日本に来るんやで〜」と言われて、赤道直下の暑さを覚悟していたシュナップスちゃん。
思いもよらずワインと一緒にリーファーコンテナで涼しい顔して日本にやってきました。

これがまぁエエ娘ちゃんなんですわ。

何がええんかって?聞いて聞いて!

シュナップスと原料のワイン

なんといってもスイス産のシュナップス(マール)はこれまで誰も輸入していなかった、正真正銘の日本初上陸❗️
まさに厳重な鍵3つくらいかけてある「超箱入り娘」ですわ。
できの良い年のヴィニグマの最高級「ハイジの里のワイン イエニンサー」の搾りかすを原料とするため、前回リリースは2014年と10年ぶりのリリース。
アルプス山中での熟成❗️オーク樽に詰められたマールは標高1,600mのセラーで5年熟成。

なっ、この記事読んでたらシュナップス飲みたくなったでしょう?

シュナップスは一般販売に先立ち、ただいまMakuakeという新商品の応援サイトでお得な先行販売中!嬉しいことに期待以上の反応でお父ちゃんはご機嫌です。
みんなも買うてな〜
先行販売のサイトはこちら

Beyond the Glass
ワインを通じてスイス文化を日本のみなさまへ
www.vinumhelvetica.com

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