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関田溶心
2018年8月17日 02:36
叶わないことであるなら、初めから願わなければいいのだと、何度言い聞かせたことだろう。青鹿はブランコの冷たさを臀部に感じながら、空を見上げてあの人を待っていた。きっと今日も泣きながら帰ってくるに違いないあの人を、まだこれだけ会いに来ているのに家の合鍵は決して渡してくれないあの人を、待っていた。 部屋に電気が灯る。 公園の正面にあるアパートの三階角部屋だ。携帯を見ると午後十時半だった。 今日は