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「2030半導体の地政学」を読んで

1. きっかけ

そろそろ就職活動の早期選考が始まる時期になってきた。意識が高い人はもう業界を絞って選考を受けたりしているようだ。しかし、私はまだ様々な業界に対してふんわりとしたイメージしか抱けておらず、正直困っている。そこで、とりあえず今ホットな半導体業界について、世界的動向を知ることができたらいいなと思って、「2030半導体の地政学」を手に取った。この本を通して、日本の半導体に未来はあるのか、半導体業界に就職するとしたら具体的にどの企業がいいのか、などを考えたい。あと、作文能力も上げていきたい。

2. 序章を読んで

これまで半導体は産業のコメと呼ばれ、安価で大量に生産された半導体は、電化製品、自動車、携帯電話など身の回りの便利なものの基盤となっていた。しかし、現在は情報化社会が大きく進み、半導体はデータセンターや軍事製品など国家の安全にかかわるものの基盤にもなっている。そのため、より高性能な半導体を製造する力を持つ国が、より強い軍事力を持つことになり、世界に対して支配的な立場に立つことができる。半導体を制するものが、世界を制することになる。

3. Ⅰ章を読んで

半導体の製造は、大きく三つの工程に分けることができる。①電子回路の設計、②ウェハ―の上に回路を形成する前工程、③ウェハ―を細かく切ってチップにしてパッケージングや検査を行う後工程、である。①から③すべてを一つの企業で行う企業は、IDM(Integrated Device Manufacture、垂直統合型デバイスメーカー)と呼ばれ、インテル(米)、サムスン電子(韓)、マイクロンテクノロジー(米)、キオクシア(日)などが該当する。①のみを行う企業はファブレス企業と呼ばれ、AMD(米)、アップル(米)、クアルコム(米)、ハイシリコン(ファーウェイの子会社)(中)などが該当する。②のみを行う企業はファウンドリーと呼ばれ、TSMC(台)などがある。
アメリカは、国内でこの①から③のサプライチェーンを完結させるために、TSMCに対して巨額の支援を行い、アリゾナに工場を誘致した。日本は出遅れている。

4. Ⅱ章を読んで

各国の対立が説明されていいた。
アメリカは、ファーウェイ(中)の勢力を抑えるために、「米国製の半導体製造装置やソフトウェアを用いて製造した半導体を、ファーウェイに輸出することを禁止する」措置を出した。これにより、TSMC(台)は米国製の製造装置などを使っていたため、ハイシリコン(中)の半導体をファーウェイに輸出することができなくなった。
また、各国で半導体工場での火災が目立った。日本では、ルネサスエレクトロニクス(茨城ひたちなか)や、旭化成(宮崎延岡)で火災があり、自動車生産等が一時休止する事態となった。

5. Ⅲ章を読んで

世界最大のファウンドリー企業であるTSMC(台)は、2022年には、2nmの新工場の建設を始めており、半導体業界のキーパーソンとなっている。

6. Ⅳ章を読んで

中国はTSMCからの輸入をアメリカに禁じられているため、自国でのサプライチェーン構築に取り組んでいる。半導体の国産化に向けて、中国政府は国内企業に対して多くの支援を行い、まずは最先端技術の取得ではなく、一世代前の技術の供給量を増やしていくことに力を入れている。

7. Ⅴ章を読んで

アメリカとしては、半導体の覇権を握るには、①台湾をアメリカが中国から守るか、②TSMCをアメリカ国内に誘致するか、である。①は東シナ海などに軍艦を配備したり、台湾に武器の提供などをしている。②はTSMCの誘致と、韓国のサムスン電子とSKハイニックスもついでにアリゾナに工場を作らせている。これらのことを、「アメリカ国内でサプライチェーンが構成されることで、安全保障上優位に立てる」という国家的な利点と、「海外との輸出入を通して、アメリカ国内企業の利益が大きくなる」という産業的な利点の二つのバランスを取りながら進めているようだ。
中国としては、半導体の覇権を握るには、①台湾付近の海域を支配することと、②豊富な国内需要が生かせるようにTPPなどの国際ルールを都合が良いように作ること、である。
欧州としては、バリューチェーン全体の支配は難しいため、①露光装置メーカーのASML(オランダ)が持つEUV(極端紫外線)露光技術、②アーム(英)の半導体チップ設計技術(基本回路の設計図)などのコア技術を武器としている。

8. Ⅵ章を読んで

日本では、①東大とTSMCが共同研究をしている、②ミライズテクノロジーズ(トヨタ自動車とデンソーが設立したグループ専用の半導体メーカー)と東大とTSMCが共同研究している、③TSMC熊本工場の建設、④産総研のTSMCジャパン3DIC研究開発センター、⑤ウェハ―素材の信越化学工業とSUMCO、⑥ソニーのCMOSイメージセンサー(スマホカメラ、EV向け)、⑦NTTの光トランジスター、⑧パワー半導体、などが頑張っている。

9. Ⅶ章を読んで

①キオクシアはNAND型フラッシュメモリーの高い技術力を有し、日本の半導体復活にきっかけになりうる、②理研と富士通によるスパコン、③ソシオネクストによる回路設計とかに注目。

10. Ⅷ章を読んで

内容が難しかった。。

11. 終章を読んで

半導体は、①図面を描く、②つくる、③使うの3工程がある。①は、IPベンダーのアーム、ファブレス企業のクアルコム、エヌビディア、ハイシリコンなどがあり、有力な日本企業はない。②は、TSMCとサムスン電子があり、半導体製造装置はアプライドマテリアル、東京エレクトロン、シリコンウェハーは信越化学、パッケージ基盤はイビデンなどがある。③はGAFA、自動車メーカー、情報端末メーカーなど。

12. まとめ

情報化社会の進展に伴い、半導体は生活を豊かにするための素材であると同時に、国家の安全を守るためにも必要な素材となっている。そのため、世界各国は、国家経済安全保障のため半導体のサプライチェーンを自国内に収めようと動いている。中でも、アメリカと中国は世界最大のファウンドリーであるTSMCの技術を国内に取り込みや自国内での技術開発に力を入れている。日本もTSMCを熊本に誘致することでソニーやデンソーの半導体製造を安定化させようとしている。
日本の半導体業界は、半導体サプライチェーンのネックとなる部分を握る必要がある。日本の得意分野は、素材、トヨタ用半導体、CMOSセンサー、NANDフラッシュメモリー、光トランジスター、パワー半導体などである。
注目すべき日本企業は、TSMCとつながりが持てそうなソニー、デンソー、産総研、とかかなと思う。素材メーカーはシェアは大きいもののどうしても「使う」企業からは下に見られてしまうように感じた。
一つの企業の中で、どのように「使う」に基づいて、回路を「描く」ことができ、「作る」能力を有する企業が良いなと思った。

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