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ウクライナ旅行記2024【2日目】

7時頃に目が覚めるも再び計画停電中だった。
前日の大移動と猛暑の影響で頭も身体も重たく感じられ、再び眠りに戻る。

次にGからのメッセージで目を覚ました時には10時を過ぎており、電気も復旧していた。

「初めての空襲警報はどうだった?」というメッセージを読んで完全に眠気が吹き飛んだ。
なんと熟睡していて気付かなかったのだ。無人ドローン数機が飛んできたが撃墜されただけだと説明される。

いくらリヴィウに関係なかったとはいえ、さすがにこれはまずいと思い、教えてもらった空襲警報アプリをすぐさまダウンロードした。
予め地域を登録しておくと、そこで警報が発令・解除された時に通知してくれるということなので、リヴィウ州とキーウを登録した。
なお、アプリ設定の通知音をオフにしておかないと自身のスマートフォンからも大音量で警報が鳴り響くのだそうで、必ずオフにしておくようにとのこと。
日本の緊急地震速報のような感じなのかもしれない。

空襲警報とは言ってもどこかで戦闘機が離陸しただけでも鳴るものなので、リヴィウ市内ではそこまで気にしなくてもよい、上空よりもむしろ地上の交通事故に気をつけるように。
ただキーウは状況が異なり右岸の方は危険度が高い。
爆発音が聞こえたとしても着弾したのではなく、地対空ミサイルによって迎撃された際の音であることがほとんどである、等々…
戦時下のウクライナに滞在する上での心得を指南してもらった。


朝食用に買っておいたヨーグルトを食べ、頭痛薬を飲み、現地の朝のニュースに耳を傾けながら身支度を済ませる。

正午の気温は30度。
湿気こそないものの、油断しているとパリパリカサカサの干物になりそうだ。
25度そこそこの欧州の爽やかな夏を期待していた私は真夏の洋服を持ってきておらず、まずは旧市街から歩いて行けるショッピングモールへ夏服の調達に向かった。

ショッピングモールは計画停電とは関係無く、自主的に不要な照明を消している。
エスカレーターは動いておらず、各店舗もレジ付近のみ点灯しているところがほとんど。止まったエスカレーターの登り降りにもすっかり慣れた。

ショートパンツやキャミソール、日焼け止めを購入し、ホテルに戻り夏仕様の身支度を整えてから改めて旧市街散策に繰り出した。

厳重に保護された教会のステンドグラスと石像
ネプチューンの噴水も今は見られない

最後にウクライナに来たのは2020年2月のことで、リヴィウに至っては2019年以来となる。
ただでさえ4年ぶりの渡航で浦島太郎状態なのに、戦時下という特殊な状況も重なり、今の空気感を探り、受け入れるのには時間がかかると感じた。
この4年の間も次に行きたいカフェやショップのリストを更新し続けて楽しみにしていたにも関わらず、いざこの場に立ってみると、不思議と今までに訪れたことのある場所がどうなっているのかこの目で確認したいと思うようになった。
空襲警報、停電、猛暑、ウクライナ料理の再確認、懐かしい場所再訪、これらのことを軸としながら今後の予定を立てることにした。

かつてレストランの着ぐるみ2体が競い合っていた通り

16時頃 ついにこの日の最高気温31度を記録
熱中症になっている場合ではないので無理せずホテルに戻り、ディナーまで休むことにした。

街中にいくつかある水遊びスポット

17時過ぎ 予定通り計画停電が始まったのでディナーへ出かける

旧市街の中にひしめく小さな商店は各々自家発電機を軒先に設置しており、それらが稼働しているブロックは現在計画停電中なのだということがわかってきた。
ショッピングモール同様に自主的に節電している店舗も多く、店内はエアコンも電気もついていないこともしばしば。となると必然的にカフェやレストランではテラス席に座ることになる。サウナ状態の店内より、多少暑くとも屋外で太陽の光を浴びながらくつろぐ方が気持ちも良い。

ここでは時折り風が通り抜ける木陰のテラス席に座ることができた。

ベリー類を煮出した定番の飲み物コンポートとボルシチを注文。

見て美しい食べて美味しいボルシチ

ボルシチには塩漬けされた牛肉が使われていた。
牛肉から滲み出る塩気のみでスープ全体の味が整えられていて、野菜の旨味、スメタナの柔らかな酸味と絶妙に溶け合う。

黒パンにはサーロ (豚の脂身の塩漬け) のペーストと赤玉ねぎ、ニンニクが添えられていた。私はサーロのみで食べるのは苦手なのにニンニクと一緒だと食べれるから不思議。
義母がハルキウでボルシチを振る舞ってくれる際には必ずニンニクの芽が添えられていて、これに塩をつけてポルポリかじりながらボルシチを頂く。
カレーの福神漬けのようなもので(?)、無くてもいいけれどあったほうがベターな要素だと思っている。

お店の名前はВулик (Honey hive) その名も ”蜂の巣” で、蜂蜜のケーキや蜂蜜とカルダモンを加えた蜂蜜ラテが人気のカフェレストラン。
食後に蜂蜜ラテを頂きたかったのだけれど、「停電中でコーヒーマシンが動かないのでモヒートはいかが?」と勧められてしまった。
残念だけど蜂蜜ラテは断念してお店を後にした。

国民詩人タラス・シェフチェンコ像

ホテルへ戻る前に頭痛薬を求めてファーマシーへ寄る。
お洒落なカフェや雑貨屋さんとは異なり、案の定、仏頂面のおばさま2人がカウンターの中に並んでいて一瞬怯んだ。
それでも勇気を出し、知っている言葉を総動員してパラセタモールが欲しいと伝えると、「あるわよ」と手元の引き出しからすぐに出してくれた。

無事に難関を突破したお祝いに(?)、ホテルの建物1階にあるカフェ "BLACK HONEY" にてラテを調達し、部屋に戻った。

リヴィウの街中あちこちで見かけた新しいカフェ

20時 まだまだ外は明るい
計画停電が終わるまであと約1時間。Gから安否確認のメッセージが届いたので、教えてもらったレストランに行ったと報告すると、「レストランの入口のジョークに気付いた?」と聞かれる。

どうやら同じ建物内に市民婚の登記所があるのだそうで、【結婚する人は左へ、ブンブン(パーティーと蜂の羽音をかけて)したい人は右へ】と書いてあったのだそう。こういうジョークに気付けるまで語学が上達したらもっと楽しいのだろう。

21時過ぎ 電気が復旧したのでせっせと充電のセッティングと就寝準備

周辺の発電機が止まり静かな夜が訪れた。


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