見出し画像

[ご依頼主さまへ]デザイン料金を押さえたい時のポイント

どうもマルチデザイナーです。

いつもTwitter等で(ぼかして)嘆いておりますが、私の住んでいる関西は中心地でも少々価格競争が凄いのですが、郊外に行けば行くほど「たたき売り」状態まで値切られがちになる現状があります。

それは、今までの商習慣的に
企業>>制作会社>>>下請け制作会社>>>>>>>>個人下請
という暗黙のピラミッド構造が残っていて、「社長=偉い人」という謎の定理がしっかりおじいさんおじさんたちに根付いてしまっているのもあるでしょう。(結構面倒よこれ)
しかし、しかしです。
既に令和。
社長というのは会社運営の責任者的ポジションであって、決して人と比べて偉いからなっているという訳ではない!という認識が若い方を中心に蔓延しつつある今、そんな古来の固定観念はふっとばさないとコスト削減なんてできっこありません。

特に「デザイン制作物」といえば、今や「会社のブランディング」だったり「商品の売上を左右させる」くらいに重要なものでもあります。
いくら自社の開発担当社員が「コレいいんです!」と社内や業界内でしか通用しない用語を多用したり数値を用いて説明したとしても、業界外の一般の顧客の心には何一つ響きません。その「外的PR」を担う、つまり「一般顧客の皆様へわかり易く・心に響かせるための情報伝達」として利用して頂くことこそが「デザイン」の真骨頂でもあり、そのための費用対効果を考えた上での経営戦略を考えて頂きたいところでもある、というのがデザイナー側からのお願い1つ目、でもあります。

しかし、そこにはいくつかの障害があるでしょう。
その最たるものとして「どれだけの効果が上がるかわからないのに費用が高い」というところ。こればかりは、単にデザインというだけでは伝えきれないものがあります。

例えば、短期・中期・長期のPR戦略を考えて、それぞれに適したツールを使ってのブランディングプランを提示するのもデザイン業界側の人間が行うひとつの「デザイン」です。
紙媒体、マス媒体、Web、立体物等、デザインと言っても様々なジャンルが存在して、それぞれの得意な場面・効果の現れ方が全く違います。それらを全部同じと考えてしまうと、まず戦略的に失敗します。
こういう戦略的な部分を全く考慮せずにただ「Webサイトを作ればいいんです」としか言わないデザイン会社や個人のデザイナーもたまにいますし、逆にそういう方はご自身の戦略を立てるのがとても上手なために(ご自身のビジネスに対しての)集客は非常に順調です。その後のクライアントの成果等はどこまで責任を持って長期的に伴走されているかは不明です。

さて、デザインの深いところはデザイナー側へのnoteに書くとして、依頼側がコストを下げるために出来うることをいくつかご提案したいと思います。

コスト削減の戦略

(1)自社の戦略をまとめてから依頼する

どういう事?と言われるかと思います。
しかしこれがいちばん重要なことでもあります。

意外と「何も考えずにデザイナーに依頼すればなんとかしてくれるだろう」というノリでご依頼が来ることが多々あります。
もちろん、依頼企業様の広報戦略も含めてのご依頼ということであれば、きちんと会議も設けさせて頂いた上でご提案等も・・・ではありますが、困ったことに「商品を作った。売れない。だから売って」というご依頼。
下記のの状態で商品の写真とお値段だけをご提示された上で「売れるWebサイトを作って欲しい、できれば今月中に、格安で!」というご依頼のほうが多いのです。

  • 商品コンセプトがない

  • 業界内の競合他社との比較調査結果がない

  • 販路がない

  • かと言って新規投資は行う予定はない

  • 商品の性能のうち企業秘密部分は提示する気はない

  • 早急に作って欲しい

  • 長期の投資は行う予定がない

まず、デザインはパソコン上で適当に配置したらはいそれで終わり!という、ものではなく、商品コンセプトの検討から、競合他社との違いをどのように見せるのか、一般顧客目線で印象に残る見せ方はどうなのか、人間の深層心理面からのアプローチをかけるためにはどのようなデザイン・コピーで訴えかけられるのかの検証、販売に当たっての戦略及びそれに付随する必要経費の計算と費用回収や売上予測に基づいた計画、長期に渡るデザインコンセプトを行うに当たっての予測や商品開発陣との共同作業についての認識調整、会社内の機密情報についての精査とデザイン制作物内でのファクトチェックや整合性・用語の間違いや統一ルール等の制定・・・
こういった内容すべてを含んで始めて、デザインの成果物が納品されるものでもあります。

そして、これらの下準備部分はデザインをするための「企画提案・立案」等に当たり、一般的にはデザイナーではなくプランナーやプロデューサー、まれにディレクターの業務に当たります。
もちろん、デザイナーでもこの能力を持っている人もいますが、少なくともこの部分が販売等に当たってのキモともなりかねない部分でもあり、上流工程にあたることから、最も費用が高額にかかるのです。
ここをケチると、おそらく企画そのものが失敗に終わります。

そのため、もしも費用をなるべく抑えたいのであれば、上記箇条書き部分をぜひともクリアにした「資料一式」をご用意の上で相談されることをおすすめします。
内容やコンセプト等がしっかりしていて、販路の目処を立てやすいとなると、手前の作業量(企画立案、プロデュース)部分の時間&コスト削減に繋がります。

もちろん、丸投げでまとめてもらいたい!場合はそれにかかるコストおよび時間さえ確保いただければ、プロのまとめた「効果的なもの」が出来上がる可能性はぐっとあがります。

(2)目指すデザインのテイストをはっきりさせておく

こちらも、大きく作業コストと時間に関わってくるキモです。

デザインのご依頼でさらに困るのが「どんなデザインがいいかわからないから、とりあえず何でもいいから出してよ」というもの。
目安があればそれに準じてご提案を作るのですが、目処も何もない状態でデザイン案を出すというのは非常に厳しく、結果的に大量のデザイン案を出しても好みのデザインにならないと言われ、デザイナー側が疲弊してどんどんクオリティが下がってしまい、うまくいかなくなるというパターンを招きがちです。
これらはコントロールする旗振り役のディレクターだけの責任ではない場合もありますので、ぜひとも「協力」を頂きたい部分です。

例えば、お見合いだと仮定するとよくわかるのですが、

初対面のお見合い。
相手女性から「行き先は思いつかない。私の思ういいところへ連れて行ってよ」と言われて、いくつか提案してみたけれど「あなた、私の好みの場所へ連れて行ってくれないのね」と機嫌を悪くされてしまい、デートが失敗する

のに似た感じになっていくということでもあります。
この時、おそらく男性はその女性のことは釣書でざっくりとは分かっているものの、何が好みか、どういったところなら喜ぶのかまで、ミリ単位までは理解できていないことでしょう。それなのに「ヒントは与えないけどいい感じでね!」と言われたとすると、最初の何個かの提案は自身が持っている情報の中でいいものをいくつか出すでしょうが、徐々にその提案を軽く却下していく相手女性に対して、不信感さえいだいてしまうことでしょう。
そうなってくると、どちらもあまりいい気はしませんよね?

はっきり言って、デザインの中でOKなこと、NGな事はデザイナー側がよく周知しています。
しかし、あなたの好みまでは初対面では超能力がない限りはわかりっこないのです。

好みに最初からマッチすることもなくはないですが、それはあくまでも「発注者側がそのデザイナーが得意とするテイストを把握した上で依頼する/おまかせコースで修正なしの条件」というような特殊な場合に限り、大抵はおまかせをするとデザイナーの手持ちのうちで一番得意なテイストのものが上がってくると思っておいたほうがいいです。
もちろん、デザイナーによってはテイスト違いのものも出せる人もいますが、それは希望の提示があって初めて成立するものだと覚えておいて頂きたく思います。

そして、テイストの提示というのがわからないというお客様も多いので、テイスト提示の方法を下記へご紹介します。

  • Webサイトや雑誌、チラシ等「テイストの見本」を用意する(デザインの方向性の指示として)

  • 競合他社の広報物を用意しておく(デザインのNG例として。一般的にはパクリにならないように注意したいため)

  • デザインの決定権を持つ人が誰か明確にしておく

  • 上記の人との方向性のすり合わせを社内で行っておく(大体は人によって好みが違うため)

なお、この「すり合わせを社内で済ませておく」ことは非常に重要で、私自身も何度も経験がありますが、何度もデザイン案提出をして「担当者が大絶賛」したものが、その上長に見せた途端にNGとなり1からの制作に戻ってしまった、というパターンが最悪でした。
なぜ最悪かというと、既に担当者が自分流で仕事をすすめる方であることが発覚したことと、社内での意見調整がなっていないことから、それ以降何度提出してもデザインが通らないというのがこの時点で発覚することでもあります。

なお、他業種等、他社のデザインを見本とすると言っても、商材や顧客ターゲット層によってはマッチしなかったり、表現方法がNGだったりする場合もあります(これはデザイン会社側が把握していますのでご相談となることが多いでしょう。逆に一切の提案もなく普通に他企業のデザイン模写を始める業者であれば注意が必要です)。
まれに「細かい部分が提示したものとデザインが変わっている!」というお客様もいらっしゃいますが、デザインのテイストだけはその方向にするが商品に沿うように作り替える部分の提示や、表現方法の変更等が発生します。なぜなら、デザインそのものに自動的に「著作権」が発生しているため、そのままを模倣してしまうと法的に罪になってしまうからです。
必ず全く同じに作るということだけはなく、あくまでも「方向性の提示」ということなのでその認識も社内で行っておくことも必要でしょう。

少なくともこの2点だけでも押さえておくことで、初期段階にかかるコスト・時間が大幅削減、つまり「コスト削減」につながるのと同時に、社の方向性の再認識や商品に関する認識がさらに深まるなど、プラスになるおまけがたくさんついてくることでもあるのです。

ぜひ、コスト削減の際には「値段交渉」の前に上記をまとめてみてください。
お客様の事業や商品の「プロ」は、デザイナーではなくあくまでもお客様がプロ中のプロであり、一番その本質をご存知なのです。
その「良いところ」をさらに大きく周知させる仕掛けを追加するのがデザインだ、という認識でご依頼いただければきっと、一番成功に近いものが出来上がるのでは・・・と思います。

記事を読んで「コンビニコーヒーでも1杯おごってあげよう!」と思った方はサポート頂けると嬉しいです♪ ※高額はやめてくださいね。あくまでもコーヒー代の足しにさせていただければこれ幸いです(笑