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ざっくりと!インボイスってなんぞや!?(デザイナー向)

どうも、ベテランです。

先日、インボイス制度の件で3万人分以上の署名が提出されたニュースを見かけましたが、果たして・・・?といったところです。

インボイスって何?

という声も聞きますが、おそらくインボイス自体がよくわからないという方の大半は、まだフリーランスや副業での「個人で仕事を取り始めてまだ日が浅い方」ではないかと思われます。
もしくは、会社員経験があっても、ご自身が外注のフリーランスへ発注業務・経理業務をしたことがない場合など。

ということで、サクッと読めてインボイス制度がなぜここまで大騒ぎになっているのかの説明をさせていただきます。
※あくまでもイチデザイナーが勝手に収集した情報からです。
※詳細は税務署開催のセミナー等を参照してください。

フリーランスってなんぞや?

現在、あくまでもSNS上ではありますが、フリーランスというと下記の業態でお仕事をしている方を指す事が多いようです。

  1. 個人事業主(専業)※開業届を税務署へ提出済

  2. 個人事業主(副業)

  3. 一人事業主(法人成り済)

  4. アルバイト

  5. たまに仕事を手伝っている人

このうち、4と5は一般的にはフリーランスとは呼ばないのですが混同されているご様子。
今回の記事では、基本的に1と2の方々をフリーランスと呼ぶことにさせていただきます。なお、個人事業主=継続してその業務を行っている、という認識です。毎月決まった更新作業等の契約をしていたり、単発でも複数月に受注がちょこちょこ入ってたりする場合ですね。
なお、3の一人事業主さんは対お客様へは「フリーランスです」と名乗っている方も意外と多いのですが、今回の議題であるインボイス制度の話ではあくまでも比較対象としての例示で出てきていただきます。

現状(2022年まで)のフリーランスの税事情

現在、フリーランスが支払うことになる「税金」は下記のものがあります。
※一般的な会社員と重複するものは除く

  • 所得税

  • 住民税

  • 国民健康保険 ※1

  • 国民年金 ※1

  • 個人事業税 ※2

  • 源泉徴収税 ※3

  • 消費税 ※4

※1 会社員で副業としている方は、国民健康保険と国民年金は社会保険として会社で支払っている場合があります。

※2 職種によって必要。事務所を持っていたりすると確実に支払うことになります。

※3 こちらも業務内容ごとに発生するものとしないものがあります。デザイナーの場合、紙媒体ならほぼ全て、動画なら撮影はかからずデザインや編集等はかかる場合、Webならデザインはかかるがコーディングのみならかからない…と非常にややこしい上、支払側が個人なら受取側がまとめて払う場合だったり、支払側が団体や企業なら翌月の〆切までに先方側で支払ってもらう必要があったり…と、別記事で紹介予定です(ややこし!)

※4 そして、消費税。

消費税って今どうなってるの?

さて、消費税です。今回のこのインボイス制度がひっかかってくるのはこちらの「消費税問題」がメインとなってきます。

なお、現在は年間売上が1,000万円以上(経費除いた売上です)か以下かで消費税の取り扱いが大きくことなってきているのは、皆様御存知かと思います。

売上が1,000万円以上 → 消費税の納税義務あり
売上が1,000万円以下 → 消費税のは免税

請求書に、「消費税」を書く欄があるかと思います。
ざっくりとしている場合、先方から「消費税請求しておいてもらっていいですよー」と言われて「ラッキー!」とばかりに請求している場合もあるでしょう。年間売上が1,000万円であれば、それも普通に「売上」と見込んで請求しても何ら問題はありません。

なのになぜフリーランスがダメなのか?それは「仕入税額控除」という制度のせい

さて。
「仕入税額控除」という制度があるのをご存知でしょうか。
法人成りしていない普通の個人事業主(フリーランス)の場合、この「仕入税額控除」という言葉は馴染みがないかも知れません。というのも、この制度は「課税事業者」つまり、法人が対象となっているのです。
つまり、年の売上が小規模(1,000万円以下)のフリーランスはもともと消費税の納付義務免除のため、このあたり気にしなくてもそれほど問題がなかったとも言えます。

まずは消費税を課税対象者が納める場合を見ていきましょう。

<例>
仕入れが150万円+消費税15万円。
仕入れ全体は165万円だったとしましょう。
売値が200万円で消費税込で220万円で売るとする。
預かっている消費税は「20万円」です。

さて、現在は「仕入税額控除」という制度があります。
仕入れ時に色々経費で15万円程度の消費税がかかっていたので、その分を預かり消費税から差引した金額が納める消費税となっています。

※預かり20万円から、仕入れ時の消費税分を差引することができるのです。

そう2023年9月末まではこの計算の場合、手元に残る金額としては、
・売上
(売上総額)200万円ー(仕入れ総額)150万円=50万円
・消費税
(預かり)20万円ー((預かり)20万円ー(仕入支払)15万円))=15万円
手元に残る金額65万円(※源泉税等の税金は考慮外です)
 消費税は5万円を納めます。

そして、課税対象者ではない場合。
「仕入税額控除」が反映できないのです

※納める消費税は売上で預かった分全額+仕入れ時にかかった金額全額

ざっくりいうと、売上に対しての消費税20万円があっても、仕入れ等で自分が支払った税金を差し引くことができず、そのまま納付しないといけなくなります。

・売上
(売上総額)200万円ー(仕入れ総額)165万円=35万円
手元に残る金額35万円(※源泉税等の税金は考慮外です)
 消費税は20万円を納めます。

まるごと数件分の仕事がタダ働きのような金額差となってきました。
フリーランスは個人事業主なので、課税事業者となるには法人化する必要があります。
※法人化すると法人税というものもプラスされるのでそこはなんとも…

2023年10月から様相が変わります

さて、納付の消費税問題はここまでで語ってきました。

なお、おそらく免税の1,000万円ライン自体はなくなるわけではないようです。そのため、人によっては「インボイス制度が始まるのって何がだめなの?」という方もいるでしょう。

何が変わるというと、実はこの仕入税額控除の要件が変更となるのが問題なのです。

今までは、請求書を保存していれば仕入税額控除が適用されていたのですが、8%と10%の消費税が混在している現在、「請求書等保存方式」から「区分記載請求書等保存方式」に変更となる上、インボイス制度が入ってきます。区分記載請求書等保存方式は、インボイス制度が開始されるまでのつなぎ制度で、2023年10月からは本格的にインボイス始動なのです。

そう、これこそが諸悪の根源…もとい、最大の問題。

適格請求書等保存方式がやってくる

インボイス制度が導入されると、さらに仕入税額控除を受けるためには適格請求書等保存方式が必要となります。今までは請求書をきっちり保管して、内容確認ができればよかったものが、「一定事項の記載がある帳簿&請求書等の保存」が義務付けられます。

適格請求書というものがなにかというと、適格請求書発行事業者が発行した事業者の登録番号が記載されている、様式に則って正式に発行された請求書…ということ。

事業者の登録要件

  • 免税事業者以外の事業者(課税事業者に限定)

  • 納税地の税務署へ申請を出して登録されている

ということから、確実に「法人であること」が最低要件となります。
取引企業側からすると、仕入税額控除時が使えない業者との取引をする=二重に消費税を払ってでも仕事を依頼するだけのメリットがあるかどうか?を考え直すことでしょう。

対策はあるのかどうか?

そこで、フリーランスとして今後も取引を頂くためにはいくつかの施策が必要となってきます。

  • 法人化して、適格請求書発行事業者になる

  • 依頼主企業側にかかってくる二重に支払う消費税分を値引きする

おそらくすぐにできることと言えばこのあたりになってくるかも知れません。

じゃあ法人化すればいいじゃん!という単純なものでもないのは、ご存知の通りです。法人化すれば、当然ながら売上が1,000万円を下回った年度でも引き続き免税にならずに消費税及び地方消費税の申告義務が発生しますし、別途法人税や地方法人税もかかれば、別途社会保険への加入が義務付けられたり(副業の場合はややこしいので割愛)、赤字でも税金がかかってきたりと色々あったりしますので、一概にメリットばかりでもない様子。

消費税分値引きも、その分値上げも考慮しないと手取りが限りなくゼロに近づく場合もでてくるでしょうし、これもすんなりとはいかない事態が起こりかねません。

とにかく、今、なんとなくでフリーランスになって、なんとなくで収入を得てしまっている方のうち、年間売上が副業で20万円、誰かの扶養家族で専業で103万円を超えない場合を除いては、非常にインボイス制度がかかってきますので、今後の動向を見守っていく必要があるでしょう。



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