猫の病院

ねこが体調を崩した。とは言っても、もう何ヶ月も調子が不安定だったから、万年不調がちだったのだけれど、ある日から食欲がほぼ無くなり、朝から晩まで寝床で過ごしたがるようになった。これはいよいよまずいと思い、日曜の夕方に家から少し距離のある動物病院の門を叩いた。今まで通っていた病院でははっきりとした原因が分からず尿検査だけを続けていたが、毎回「おそらく腎臓の機能が低下しているので経過を見ましょう」と言われるだけで耳タコだったので、思い切ってセカンドオピニオンを決めた。
「3歳で腎臓病?そんなことある?」と、もやもやしたあの気持ちに、人間の私がもっと早く気付いていたら(このあと何億回も後悔することになる)

そして今。あのときの思い切りがなければ、今頃ねこはどうしていただろう。
彼が長く患っていたのは「尿管結石」だった。新しいかかりつけ医となった先生は、やはり純血の猫にはありがちな病気だと話していた。体重もかなり落ちてガリガリのちっちゃなねこを撫でて、先生は「ひと目見た時に、あぁ結石かなと思ったんだ」と残念そうに口にした。
あの時点で彼は水腎症、尿毒症にかかっていて、とても苦しく痛い思いしていたはずだった。それでも生きねばとむりやり食事をとり、水をガブガブと飲み、大量におしっこをしていた。(これも症状のひとつ)

なんでも初期の腎臓病と間違われやすい症状のため、迅速に対応ができる医師なら早期に発見できる病気のようだった。彼はもともと膀胱結石に罹患しており、結石ができやすいねこではあった。だからフードも療養食に切り替えて、気を付けていただけに、もっと早く病院を変えていればここまで悪くならなかったかもしれない、と落ち込んだ。
ねこは高度な治療が受けられる病院に紹介状を書いてもらい、無事に手術を終えて見違えるほど元気になった。尿管を短くし、膀胱との距離を縮めて石ができてもすぐに流れるようにしてくれたそうだ。餌は先生のアドバイスの通り、排尿を促すためにウェットフードに全切り替えした。ウェットフードはドライフードよりはるかに金額が上がるが、背に腹は代えられない。これで元気に過ごせるならと、毎月5000円分の餌を箱買いしている。
ただ、長く病気を患っていたため腎臓の機能はやはり落ちていた。ステージ1ってとこらしい。ねこはまだ3歳。これからまだまだ長生きしてもらって、一緒に暮らしたいのに。落ちた機能はもう戻ることはない。これにはかなり落ち込んだが、落ちた機能を維持し続けることに時間を費やすしかない。幸いにもねこはとても元気なので、むしゃむしゃご飯を食べる姿に飼い主が励まされている。

お金はめちゃくちゃかかった。引っ越しが3回くらいできるくらいにはかかったが、それで済むなら馬車馬のごとく働くしかない。人間がねこにできることなんて、それだけだ。