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ソロ活って言葉、ドラマで知りました。

 以前からテレビをよく観る人間だったけど、在宅勤務したり、遊びに行けなくなったりと、ひとりで過ごすことが多くなったので、昨年あたりからドラマをよく観る様になった。

ーー元々わたし、一人称視点のドラマをよく観るんです。

 こういうドラマは、主人公がセリフを喋るのではなく、物を言わない演技にアフレコ被せて心情を語っているシーンが大半である。
 そこで思い出すのが、以前、何を思ったのかシナリオを少しだけ勉強した時のことだ。その際に、心情を語る部分を括弧書き(セリフ)にしてしまい、思いきり赤を引っ張られ、何度も修正をおこなった記憶がある。
 もともと、趣味で小説を書いたりするのが好きで、(と、いっても本当に趣味程度、文章もご覧の通り幼稚で拙い故、恐縮の極みだけれど)小説とシナリオの区別がつかず、なかなか苦戦したのを覚えている。

 それはさておき、今回は、「ソロ活女子のススメ」について少しだけ。
キー局での放送は終わっており、今は、BSと一部の地方局で放映されているようだ。私は後者の方で、絶賛視聴中である。
 ソロ活女子のススメの良さは何と言っても「音楽」。先に散々一人称の事を書いて置いていきなり音楽の話題である(笑)。
 だって、もの凄くエモーショナルじゃない?
 ひとりで街歩いたり、ひとりで何かにチャレンジしたりする時に、あんな心地いい音楽かかってたらもうそれだけでテンションが上がる。なんなら「アタシ、いま、最高にエモカッコいい」となる。
 私がchill hopやlo-fiという音楽ジャンルが元々好きだということも手助けしてるけど、それにしてもよく合うし、主演の女優もまた、あの音楽に負けじと劣らず心地よくてスマートで括弧がいい。一人称視点故の、セリフ少なめなのだけれど、多少誇張されてはいるが、目線で語る感じが特に良い。

 同じ一人称視点のドラマの代表格として、「孤独のグルメ」があり、これはこれでまた良いのだけれど、「ソロ活女子のススメ」は、前者とは全く趣向が違い、回を重ねながら主人公がソロ活を通して、ひとりの人間として成長を続ける物語であると私は思っている。
 あの30分もない1話の中でたくさんの発見や驚きを見つけ、それをインプットし、同時にアウトプットするあの感じが、もはや尊敬に値する。

 そう、文章にして解ったのだけれど、私はどうやらこの主人公を尊敬しているらしい。

ーーなぜ、尊敬に至ったのだろうか。

 物語の途中、ふと、主人公が自身を人間嫌いなのかどうか自問するシーンがある。そして、主人公は「自分は人間嫌いではない」という結論に至る。
 そう、この主人公はソロ活をしている時も常に人間観察をしている。もっとも、人が嫌いなら、人のいないところへ行けば良いだけの話だ。
 ソロ活をし、ただ隣り合う全く関係のない他人の事を心配し、心の中で世話を焼く。時には実際にアドバイスという行動にも出てしまう。とんでもなく人間大好き人間だ。たぶん、私よりもずっとずっと。
 私には残念ながらソレがない。むしろ人がいない所の方が心地いと感じてしまうタイプの人間だと思い込んでいる。

 そう、「思い込んでいる」だけ。

 思い返すと…。
 朝、地域のステーションへゴミ捨てに行く時、見知らぬ女性に話しかけられたその瞬間、なるべく親しげに言葉を返そうとしている自分がいる。ウォーキング途中のご婦人に、道端ですれ違いざまに挨拶をされるだけで心が少しだけワクワクする。誰もいなけりゃ外に繋がれた飼い犬にだって挨拶してる。

 それが本来の私。

 けれども、今の会社でひどく人間不信に陥った時期があり、多少回復したものの、残念ながら今でもそれは後遺症のように引きずったままの状態であり、現在進行形で、時々ここから逃げたくなる。

 だから、羨ましい。自分の時間と自分自身を大切にして、楽しんでいる主人公が羨ましいと思い、憧れを抱いた。

 ただ、この主人公は、初めからソロ活が得意な性格という訳ではなかった。話が進むにつれ、なかなかに辛い過去もあったという描写が出てくる。この、主人公の辛い過去に対して、「え、そんなこと気にしてるの? そんなことで、そこまでなる?」と、思えてしまう人は、この主人公に対して、感情を相乗りさせることはおそらくできないだろうし、この物語の見え方もきっと違うだろう。

 人はいくつになってもどんな形でも成長できる。

 作品のタイトルに惹かれて、なんとなく観始めたこのドラマに、私は少しだけ救われた気がしている。
 原作があるようで、全く見当違いの見方をしていたら申し訳ないのだが、そこはきっと主人公なら十人十色で。と言ってくれるに違いない。

よし、今度のゴミ出しからchill hopを片耳で聴きながら、すれ違う人におはようございます。と、にこやかに挨拶をしてみるか。


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