ベトナムはなぜ「越南」と書くのか?
「ベトナム」は漢字で書くと「越南」です。ではなぜこのような名称になったのでしょうか。ベトナムの国名の起源は非常に古く、その名前の変遷を追うと、ベトナムの歴史を理解することにも繋がります。
ここではベトナムの名前が「越南」になった経緯とその歴史を順を追って紐解いていきましょう。
①ベトナムの国名のルーツとなる「越(えつ)」は、紀元前の春秋戦国時代の中国にまで遡ります。日本の故事成語にもある「呉越同舟」のあの「越」です。
この「越」は現在の中国の浙江省あたりにあった国ですが、漢民族とは別の民族であり、中国南部からベトナム北部の地域に住んでいた民族である「百越」という南方民族の集団が多く住んでいました。
「越」はその後中国の楚になり、それが秦によって征服され、「越」だった地域が秦の直接支配下に入った時期があります。しかし「越」の文化と影響力は、その後この地域の歴史と文化に深く刻まれ続けます。
②そして紀元前200年〜紀元前100年頃にかけて「南越国(なんえつこく)」の時代に突入します。南越国は秦の滅亡後に独立した漢人の趙佗(ちょうだ)が建国しました。
「南越国」は現在の福建省や広東省の中国南部からベトナム北部にまたがる地域を統治していました。
南越とは「南方の越」を意味します。南越国は中華王朝からの独立国家であり、その南方に位置することを強調していました。
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