ベトナム戦争の公式的記憶問題④ 〜ベトナム戦争と戦争記憶の多様性〜
戦争の多様性
これまで見てきた「公式的記憶(=ベトナムが正義でアメリカが悪の勧善懲悪の戦争記憶のこと)」はベトナム戦争のほんの一面を表したものにすぎません。なぜなら実際のベトナム戦争は複雑で多様な戦争であり、様々な見方が存在するからです。
様々な見方が存在するということは、そこに様々な記憶も存在します。遠藤聡『ベトナム戦争を考える―戦争と平和の関係―』を参考にベトナム戦争の見方を以下にまとめてみました。
①アメリカの戦争
米軍の派遣からパリ協定までの、泥沼化した戦争
②同一民族同士の戦争
南ベトナム国内での内戦、北ベトナムと南ベトナム間の戦争
③民族解放戦争
北ベトナムが南ベトナム民族を解放し、南北統一を目指した戦争
④第二次インドシナ戦争※1
ラオス、カンボジアを巻き込んだインドシナという地域における二回目の戦争
⑤冷戦の中の熱戦としてのベトナム戦争
アメリカとソ連の代理戦争
※1 第一次インドシナ戦争は1946~54年の間のフランスとの戦争を指し、第二次インドシナ戦争は対アメリカとの戦争を指す。1978~91年までのカンボジア紛争を第三次インドシナ戦争と呼ぶ場合もある。ベトナム戦争をインドシナ地域における三つの戦争の中の一つと考える見方である。
ひとくちにベトナム戦争といってもさまざまな立場からのさまざまな視点があることがわかります。
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