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沖縄とベトナムの共通点①

間違いなく、日本の47都道府県の中で最もベトナムに近いのは沖縄県です。この近さは地理的な距離だけでなく、文化的なつながりにも表れています。

沖縄とベトナムは、双方ともに中国の文化的な影響を大きく受けているところが特徴的です。もし中国を文化的な親と見なすなら、ベトナムと沖縄はその影響を受けた子供たち、つまり兄弟という関係性になります。

今回は、文化、食事、歴史、気候、地質、生物、戦争といったさまざまな視点から、沖縄とベトナムの類似性を見ていきたいと思います。各トピックの概要を簡潔にまとめていますので、個々の興味深い分野があれば、それについてさらに深く掘り下げることで、より幅広い知識を得ることができるでしょう。

ベトナムや日本本土に少し飽きた人、または日本とベトナムの関係性を新たな視点から見てみたい人にとって、沖縄を調べることは多くの楽しみをもたらします。

ベトナム人のパートナーがいる方にとっては、一緒に沖縄へ旅行をすると、ベトナムとの多くの共通点を見つける機会になり、それはきっと喜ばれることでしょう。

ゴーヤとkhổ qua

沖縄の特産品であるゴーヤは、ベトナム語ではkhổ quaと呼ばれています。

どちらの単語も、漢字の【苦瓜(クーグア)】に由来しています。面白いことに、khổ quaはベトナム南部で一般的に使われ、北部では「mướp đắng」(苦い瓜)という純粋ベトナム語が使われています。

これは、ベトナム北部が中国に近いため、中国語的な表現を避け、純粋ベトナム語への変化が進んだと考えられています。一方、中国から距離がある南部ベトナムや沖縄では、逆説的に古い中国語の発音に近い単語が今でも使われています。

首里城とフエの王宮

沖縄の首里城とベトナムのフエの王宮(Đại Nội Huế)は、中国の紫禁城をモデルに作られています。これらの建築様式からは、中国、琉球、ベトナムの間の関係性が見て取れます。

さらに、首里城とフエの王宮は世界遺産に指定されており、それぞれの国のお札にもなっています。また、両者は戦争で米軍によって破壊されたという共通点も持っています。

ちなみに現在の首里城は2019年に火事で焼失してしまったため、見どころはほとんどありません。

今帰仁城跡とベトナム陶器

琉球王国は中国との貿易だけでなく、シャム(現在のタイ)、マラッカ(現在のマレーシア)、安南(現在のベトナム)とも貿易を行っていました。その証拠として、今帰仁城跡からはベトナム産の陶磁器(gốm sứ)が出土しています。

嘉手納基地とベトナム戦争

東アジア最大の米空軍基地である嘉手納基地は、ベトナム戦争ではB-52爆撃機の補給・出撃基地として活用され、ベトナムへの爆撃を行っていました。

現在の3,700mの滑走路2本は、ベトナム戦争中の1967年に完成したものです。また、1968年には基地内でB-52の墜落事故も発生しており、沖縄は戦争の加害者でありながらも被害者でもあったのです。

一方、沖縄のメディアで「戦争中、ベトナム人は沖縄を悪魔の島と呼んだ」という話がよく取り上げられますが、当時の一般のベトナム人は沖縄の存在について全く知らなかったでしょう。

ベトナム語で調べてもそのような情報は全く見つかりませんでした。これは、沖縄側が意図的に作った情報である可能性が高いです。

ダナンの米軍上陸と沖縄海兵隊

1965年3月に米海兵隊の最初の戦闘部隊3500人がダナンのレッドビーチ(現在のホテル三日月前のビーチ)に上陸しました。その海兵隊は、沖縄の米軍基地に駐留していた部隊でした。

その上陸をきっかけに、1965年末までに米軍の兵力は18万人に膨れ上がり、その3年半後には最大54万人にまで達しました。つまり、アメリカのベトナム戦争への本格介入は、沖縄の米軍基地から始まったとも言えます。

ヤンバルテナガコガネ

沖縄北部(ヤンバル)に生息する希少種のヤンバルテナガコガネの近似種は、中国南部からベトナム北東部に分布するヤンソンテナガコガネです。

これはかつてヤンバルが大陸の一部であり、地殻変動により大陸にいた生物とヤンバルに渡った生物に分かれ、それぞれの環境で独自に進化したためです。つまり、生物の分布から見て、沖縄とベトナム(大陸)は太古の昔に繋がっていたことが示されています。

Aサインバー

沖縄の米軍基地周辺の夜の街には、本土復帰前に米軍公認の営業許可を受けた店であるAサインバーが存在します。

ベトナム戦争の時期に盛況だったこのバー内には、店の壁一面に1ドル札が貼られています。これは、ベトナム戦争で戦地に向かう米兵が「生きて帰れるように」との願いを込めて、自分の名前と日付を1ドル札に書き、店内に貼ったのが起源とされています。

現在では、その1ドル札が店内のインテリアとなっており、独特の雰囲気を醸し出しています。

漂着ゴミ

沖縄本島の中でも特に美しいヤンバルのビーチですが、海洋漂着ゴミの問題が深刻となっています。中国や韓国からのゴミが多い中、その中にはベトナムからのゴミも混じっています。美しいビーチでベトナム語を目にすることは、非常に残念です。

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