見出し画像

美術モデルの仕事納めとハンバーガー

 年内に入っている仕事は今日でおしまいなのだ。専門学校での二日連続の仕事を終えて、ほっとする。私の仕事は美術モデルといって、美術作品のためにポーズをとるプロフェッショナルです。表現力と体力が勝負の仕事で、私にはどの職業より一番自分に合っていると思っている。いろいろあって何年もお休みしていて今年復帰したのだけど、おかげさまでこの一年で指名もたくさんいただけました。ありがたや。


 さて一緒に仕事に入っていた同い年のモデルさんとさわやかに別れたらひとり地下街をすすむ。昨日の帰りに目をつけていたハンバーガー屋へまっすぐ入り、チーズバーガー・アボカドトッピングを頼んだ。セットでクリスピーなポテトと、コカコーラ・ゼロも。

 ハンバーガーをひとくちたべて、豊かさにこころから安心する。あぁ、正しいハンバーガーってこういうものだったよね、と思う。アボカドもチーズもお肉も、それにしっとりふかふかのパンも、もちろんオニオンスライスやトマトにレタスも、みんなきちんと役目を果たしていて、その上で、はみ出るたまごのソース(タルタルソース的なもの)がまたふくよかさを重ねる。おおきな口をあけて、手がべたべたになるのも気にせず無心でたべた。

 あぁ、おいしかった!お腹いっぱい。

 お会計をしてお店を出ると、なんだか多幸感につつまれている私。おいしいものでお腹がふくれているということは、これほどまでに幸福なものかとおどろく。
 おいしいものを無心でたべるって、仕事納めに最適な選択だったのかもしれない。

 年末のうきうきした街の雰囲気もいい感じで、私はご機嫌で電車にのり、のんびり本を読みながら帰路についたのだった。
 電車の中で今年の初めを思い出してみる、仕事復帰にブランクがありすぎてドキドキだったのが、まっしろな教室に響くたくさんの鉛筆のはしる音を聞いて、やっぱりこれがわたしの仕事だという歓びでいっぱいになったのだった。今までいろんな仕事を経験したけれど「これが私の仕事」と思えたものは美術モデル以外になかったな。

 冬休みもおいしいものたくさんたべて、たっぷり充電して来年も働こう。



(テーマの写真は今日行ったお店ではなく、イメージにあったものをお借りしました。)

あなたをときめかせることができたのなら、ほんとうに幸いです。