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「ヌーヴォー・ゾリゾン」音楽祭 10人の作曲家による10曲が世界初演

3年前からエクサンプロヴァンスで開催されているヌーヴォー・ゾリゾン Nouveaux Horizons 音楽祭。ヴァイオリンのルノー・カピュソンとヴィオラのジェラール・コーセ、エクサンプロヴァンスのグラン・テアトルのディレクターのピエール・ブルーズが音楽監督を務めています。
ヌーヴォーゾリゾン とは New Horizons, 新しい地平、という意味。その名の通り、現在活躍する若手の作曲家に作品を委嘱し、これをコンサートで世界初演しようというものです。
今年は、10人の作曲家、14人の若い演奏家を迎えて、11月3日から6日に5つのコンサートが開催されました。毎回、クラシック音楽の過去の名曲を交えて、現代音楽に馴染みのない人でも気軽に足を運べるようなプログラムとなっています。

コロナ渦の作曲家支援

実はこの音楽祭は、2022年、コロナ渦で困難な状況に陥った作曲家たちを支援しようと、1回きりの予定で開催されました。演奏会がなくなり、普段でもなかなか作品を舞台にかける機会が限られている作曲家たちに、新しい作品を委嘱して、若い演奏家とともに1週間ほどのレジデンスを経て作品を演奏。そのことで彼らの創作・演奏活動を助けるとともに、地域、さらには音楽界の活性化をはかろうという意図が込められていました。
ルノー・カピュソンは、クラシック音楽の代表的演奏家としてクラシック音楽を知らない人々にも名前が広く知られているだけでなく、エクサンプロヴァンス・イースター音楽祭の音楽監督としてこの街の人々には馴染みとなっています。また、ジェラール・コーセは言わずも知れたヴィオラの名手。その知名度をうまく利用して開催された音楽祭は大成功を収め、今年3回目となり、すでに来年の第4回の開催が決まっています。

10人の作曲家

今年作品を依頼された作曲家は、
タリア・アマール Talia Amar (イスラエル)
フアン・アロヨ Juan Arroyo (ペルー)
キャシー・キノシ Cassie Kinoshi (英国)
アルテュール・ラヴァンディエ Arthur Lavandier (フランス)
カミーユ・デュラン=マビール Camille Durand-Mabire (フランス)
藤倉大 Dai Fujikura (日本)
ゼネップ・ゲディズリオグルー Zeynep Gedizlioglu (トルコ)
シヴァン・エルダー Sivan Eldar (イスラエル)
マテュー・ステファネッッリ Matthieu Stefanelli (フランス)
ファビアン・ヴァクスマン Fabien Waksman (フランス)

の10人。1977年生まれの藤倉大を除くと、皆20代から30代の「若手」ばかり。
今回が委嘱作品を書くのが初めてという人から、すでに作曲家として国際的に活躍している人まで様々で、作風も編成も十人十色。
今最前線でどんな音楽が創作されているのかを垣間見ることができ、とても刺激的でした。

次回は14人の若手演奏家の紹介と、実際に聴いたコンサートについて書いていきます。

Photo © Victoria Okada (禁無断転載)


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