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ミステリーといえばイージス艦?

北条 賢人

ミステリーといえば? というお題の答えは、「そして誰もいなくなった」や「Yの悲劇」、金田一耕助シリーズを上げる方が多いでしょう。

私はといえば、「亡国のイージス」一択です。

作者は、福井晴敏さん。警備員をされていた頃に、夜勤の時間に執筆されたそうです。

福井さんは「Twelve Y. O.」という作品で、江戸川乱歩賞を受賞されました。

この「Twelve Y. O.」で当時、乱歩賞は騒然となりました。福井さん、実は前年、「川の深さは」で最終選考までいったのです。

「川の深さは」と「Twelve Y. O.」の世界観は全く同じなので、男前の福井さんは最終選考委員に「去年読んだから、分かってますよね?」と、詳細な説明を省いた原稿を送りつけ、見事、受賞してみせました。

乱歩賞でも人を食った態度を貫いた作家・福井晴敏の矜持が凝縮されたのが「亡国のイージス」でした。

「イージス艦が占拠されました」というテーマです。
これだけなら、「ミリタリーもの?」で終わりますが、そもそも「さて、占拠したのは、元から乗っていた海上自衛隊の隊員か内部調査の隊員か、どちらでしょう?」と、ミステリー界を根本からひっくり返す「魅力的な謎」を投げかけてくれました。

福井さんの世界観はいい意味で「漫画」です。

とにかく、世界観が「大きい」のです。

大人が使う「壮大」ではなく、少年少女が使う「大きい」がピッタリの作家さんです。

そういえば、福井さんは後にガンダムの小説を書かれていましたね。

当時はすでに「ミステリーは出尽くした」と言われていました。

ところが福井さんは「『イージス艦を占拠したのは誰?』はやってねーべ?」と、いい意味で人を食った「壮大」な世界観で、私を含めた当時の読者を大いに楽しませてくれました。

あれから20年以上の月日が流れました。

今のミステリー市場は「医者が書いたぜ! 陸の孤島だぜ!」が幅を利かせて、やや食傷気味ですが、いずれ必ず、人を食った名作に出会えると信じ、その瞬間を楽しみに待っています。

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※各リンクはウィキペディアに飛びます。

亡国のイージス

はたかぜ型ミサイル護衛艦いそかぜ」とたちかぜ型ミサイル護衛艦「うらかぜ」から成る海上自衛隊第3護衛隊群第65護衛隊は、訓練のため呉地方隊を出港し、太平洋の訓練海域へ向かっていた。「いそかぜ」は大規模改修が行われてミニ・イージスシステムが搭載され、TMD対応イージス艦の一番艦となったばかりだった上、幹部がほぼ全員交代しており、練度が低い状態だったが、海上訓練指導隊 (FTG) を受け入れ監査を受けなければならなかった。「いそかぜ」先任伍長の仙石は、イージスシステムの経験者として異動してきた如月一士や、独身者揃いの幹部たちの不自然な様子に気づく。如月も、自らの「目的」のためとは言え、同僚や仙石達に接近する。特に仙石に対しては絵画を通じて心を開いていく。

その頃、『辺野古ディストラクション』後に米軍から奪われた特殊兵器「GUSOH」(通称:ネスト、あれ)は、防衛庁情報局 (DAIS) の監視も虚しく7人の工作員の手で持ち出されてしまう。

予定通り、由良基地で溝口三佐以下FTG隊員を受け入れるが、彼らの不自然さに、「いそかぜ」の下士官たちも気が付いていく。そんな中、オセアニア航空202便(ボーイング747)の墜落事故が発生。「いそかぜ」は墜落現場に赴いて救助活動を行い、奇跡的に生存していた女性を救出するが、やがてその女性は死亡する。しかし、「いそかぜ」には不可解な事故が続発。女性も、生き返って艦内に潜入した噂まで出る始末だった。ついに、菊政二士が訓練中に事故死し、艦内に動揺が広がる中、演習続行が決断される。仙石はクルーを守るべく竹中副長ら幹部に食って掛かり、ついに宮津艦長と溝口三佐から「真相」を聞く


Twelve Y. O.

沖縄から米海兵隊が撤退した。それは、コンピューターウイルス「アポトーシスII」と「ウルマ」なる兵器を使用する謎のテロリスト「12(トゥエルブ)」の仕業だった。自衛官募集員をやっていた平貫太郎は、ある日、かつての命の恩人である東馬修一に出会う。そしてその出会いがきっかけで、平は巨大な陰謀に巻き込まれていく。


川の深さは

「彼女を守る。それがおれの任務だ」、そう言う傷だらけの少年。彼をかくまった元警官は、彼との交流を進めるうちに「底なしの川」に巻き込まれていく。その中で元警官はこの国の暗部を目にしつつ、かつて持っていたが現在失っていた熱いものを取り戻していく。

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