バタイユとエロティシズム

バタイユが様々な過激な性的実践を通じて目指していたのは、単なる個人的快楽の領域を超えて、人間存在のより根源的で本質的な次元への到達であった。

すなわち日常的な自我意識や合理性から解き放たれ、主体と客体の区別が消滅するような変様した意識状態。そこでは自己と他者のエネルギー的な完全なる交わりが実現される。

社会的秩序という枠を超えて、自然界の原初的なままの姿に立ち返る。そこにおいてこそ、この世界の成り立ちや人間存在の真理への接近が可能になる、とバタイユは信じていた。

したがって、バタイユの性的実践は単なる快楽追求以上の、自己変容と自己実現を目指す手段であり、精神世界の探索の方法でもあったのです。肉体を通じて宇宙の真理へ至ろうとした。

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