「スポーツ医学者、森谷敏夫だけど『筋肉について』質問ある」

https://www.youtube.com/watch?v=78zsG0osSy8

こんにちはスポーツ医学者の森谷敏夫です。今日は筋肉に関する質問にお答えします。「筋肉サポート」

Q. 筋力は筋肉の大きさに比例するのですか?

イエスです。解剖学的には1平方センチあたりの筋肉でだいたい4~6kgの力が出ると言われています。ただ、筋肉は勝手に動くわけではないんですね。筋肉を刺激して、興奮させて、収縮させているのは脳なんです。ですから、同じ筋肉の太さ同じ面積でも、脳で運動神経をものすごく興奮させられる人は、面積の割にもっと大きな力が出るし、それがあまりうまくない方は見かけがすごい筋肉なんだけど、あまり力が出ないということがあります。筋肉は基本的には大きさに比例しますけれども、筋肉を使える「脳」の興奮状態によって変わってくるということです。

https://www.youtube.com/watch?v=78zsG0osSy8&t=34s

Q.筋肉は何歳になっても、鍛えられる?

イエスです。最近よく言われてるのは「筋肉は裏切らない」って言われて、やっぱりトレーニングを正しくやれば高齢者の方でも筋肉は十分付くということが分かっています。筋肉は年齢に関係なくつけることができます。

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=90

Q.痩せたいです。まずはどこを鍛えるべき?

筋トレは苦しくなるのですごいエネルギーを使っていると思うんですけど、それほどエネルギー使わないんです。自分の体重が60kgある人と、バーベル3kgでは、どっちを動かした方がたくさんエネルギーを使うか?当然、筋トレよりウォーキング、ジョギングの方がはるかにカロリーをたくさん使います。痩せたければ、まず、足腰を答えてウォーキングやジョギングなど身体全体を使う運動をすることが痩せるのに一番と思います。実際に僕もそうですけど、筋肉ある人の方が基礎代謝は高くなるのでほうっておいても痩せやすいというのは事実です。交感神経は食欲とかを調整している神経。有名な学説で「交感神経活動が低下した人が太るんだ」が正解で一番受け入れられています。だから、肥満は食欲のコントロールがうまくいかないのと、エネルギーを無駄使いにできない人に起きる。交感神経という自分を鞭打つ神経が弱ってくるとエネルギーを無駄使いもできなくなる。たとえば、食欲のコントロール、食べたら普通、満腹感がすぐ来るんですけど、満腹中枢って実は交感神経の中枢なんです。だから、ダンベル体操って流行ったんだけど、ダンベル体操で痩せたんではないんです。ダンベル運動での消費カロリーは数カロリーです。でも、ダンベルをやることで交感神経を刺激するので、その後、食欲の調整とか筋肉がついてきて基礎代謝が少し上がっていき、結果として痩せたというのが事実です。

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=113

Q.筋トレ後のアルコール摂取でトーレニング効果はどの程度薄れる?

必死に筋トレした日にアルコールをがガブガブ飲んだら、トレーニングの効果はどの程度薄れますか、と。これ実際に実験した論文があるんですね。筋トレした時に「Mトール(mTOR)」という筋肉のタンパク質の合成に必要なスイッチみたいな化学反応があるんですけれども、その部分が10~20%ぐらい抑制されるということがあるので、やっぱり筋トレをした後にたくさんのアルコールを飲むと効果が薄れてしまうといのは事実です。

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=232

Q.ヒトがつけられる筋肉の量に上限はある?

上限あります。上限ないと大変でしょ?「オレ筋トレ50年やってるんだ」ってこんな(ありえない大きい力こぶをゼスチャー)なりますから。トレーニングやればやるだけ筋肉が大きくなっていくんですが、ボディビルディングでやってるあの辺がもう精一杯でしょうね。ヨーロッパのボディビルディングに出るような選手立つの筋肉サンプルを取ってくると、やはり一部の筋肉がアポトーシスって自死していく現象が見られます。それは、あまりにも筋肉が大きくなると、中の方に十分に栄養がいかなくて筋肉自身が崩壊してしまうということがあります。筋肉が大きくなるのには上限があります。

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=264

Q.運動神経の善し悪しで筋肉の付き方、筋肉の量、筋肉の出来やすさは変わる?

言っておきますけど、運動神経に良い悪いってないんですよ。運動神経っていうのは脊髄にありまして、例えばこの二頭筋を曲げ伸ばしする神経は脊髄に500個くらいあります。これは皆さん一緒なんです。男の人も、女の人も。ですから、運動神経がいい悪いじゃなくて、運動神経をコントロールしている大脳のプログラミング、つまり、どれぐらいの運動神経を、どれぐらいのパルスの周波数で筋肉を刺激させるか、それがうまい人が運動神経がいい、というわけで運動が下手な人は、僕から言わせると「頭が悪い」ということになるです。ということで、筋肉のつき方とかが運動神経によって変わるかというとそうではなくて、運動神経の使い方がいい人がうまい筋トレをやるので、筋肉もよくつくということです。

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=316

Q.筋トレをすると頭が良くなるって本当?

イエスです。科学的に証明されています。昔は筋トレというと頭があまり鍛えられていないみたいなイメージがあるんですけれども、それはスポーツばかりやってるから学業がダメで、最近の研究は筋トレをやると特にIGF-1という「インスリン様成長因子1」というのが血中に出てきて、これが記憶領域をつかさどる海馬に作用して認知機能とか学習能力をアップさせるということが報告されています。あと、もう一つ、持久的な運動ときつめの運動をやると、脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotorophic factor)と言うんですけれども、これも血中に増えるので、新しい神経細胞が海馬にもできて学習をアップさせるということも分かっています。今、認知症に対してもこういう筋トレとか、有酸素運動は脳の機能改善に非常に有効であるという論文がいっぱい出ています。日本とアメリカで認知症の薬が認可されてますが、学術的な論文のエビデンスとしては圧倒的に筋トレ運動の方がエビデンスが揃っています。今、一番おすすめの認知機能の改善方法はやはり運動。筋トレがナンバーワンです。筋トレをすると頭が良くなるのは事実です。

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=383

Q.成長期に筋肉をつけると身長が伸びなくなるって本当?

これはおそらく迷信ですね。学術的に論文で示したものはないと思います。成長期ですから、男性ホルモンもまだ十分できていないので、その時に筋トレをしてもそんなに筋肉がつくわけではありません。成長期に筋肉をつけるっていうのは、もっともっと後ですね。高校生ぐらいで男性ホルモンが分泌するようになって、声が変わってきたりして男性ホルモンが身体の中を回ってくるようになると、少しトレーニングして筋肉がついたりしますけれども、筋肉がつくことと、背骨の成長とはまたちょっと違ってくるのでこれは迷信になります。筋トレをしたから身長が伸びなくなる事はないと思います。

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=477

Q.腹筋パッドなど電気を流して筋トレになるというのは本当?

本当です。皆さんテレビで何か筋肉をピクピクしてるだけで重りもかけてないので「あんなんで筋肉つくわけないよなぁ」「(CMに出てる)スポーツ選手はもともと筋肉ついてるじゃん」っていう考えの人が多いんです。けれども、実は電気刺激っていのは非常に面白くてですね。速筋という太い強い大きな筋肉を鍛えるのには75%以上のものすごく重い負荷をかけて10回3セット・トレーニングをしないとダメなんだ、というのが本来の考え方です。電気刺激がなぜ今普及しているかというと、高齢の方とか、そんな厳しいトレーニングできないですから、皮膚に電気を通すわけです。ピクピク動いてるんですけれど、あのピクピクしか動いていないのは、実際は筋トレで一番厳しい、めちゃくちゃ力を入れてる状態をかもし出しているんですね。だから、外から見れば大したことないように見えないんですけれども、血液を抜くとすごい乳酸が出ています。電気刺激でも筋肉は十分に大きくなります。

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=530

Q.プロテインに効果はある?三食ちゃんとタンパク質をとるだけでよいのでは?

基本的に体重1kgあたり1.2gぐらいのタンパク質を摂っていれば筋肉は維持することができます。ただ、高齢者の場合、タンパク質を十分とっている人でも3年でだいたい0.5kgの筋肉がなくなると言われています。最近の研究では、トレーニング直後に必須アミノ酸を20gサプリで摂ると男女、高齢者も関係なく筋肉のタンパク合成が有為に上がることが分かっていますので、プロテインのサプリを摂ることをおすすめします。若い人ですと、三食ちゃんと摂っていれば筋肉の維持はできますけれども、高齢者では難しいので、やはり筋トレをやった後にプロテインをできれば1日以内に摂ると効果的です

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=603

Q.人間の筋肉は身体を壊すほどの負荷を避けるために制限をかけてるって話は本当?

例えば70~80歳近い高齢者が車の下敷きになった人を助けるために1トン近い重量を持ち上げた、みたいな話があります。実はこれアメリカの生理学会で論文になっていて、実際に火事場の馬鹿力というのを科学的に解明しています。人間の脳っていうのは、やはり抑制をかけるようになっていて緊急な状態っていうのは、その抑制を取っ払って、もう自分の持ってる全ての力を出すことができる。70歳の方が非常に大きな力を出すということはありえます。

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=674

Q.速筋線維と遅筋線維を高いレベルで両立させて鍛えることは可能?

インカレレベルで短距離と長距離を3位ぐらいまで入るレベルにはなるかもしれませんが、それ以上高い競技レベルになるとやはり無理だと思います。その例がアメリカの短距離女子の金メダリスト、ジョイナー選手です。短距離のオリンピックが終わった後に、次はマラソンで頑張りたいということで種目変更して短距離からマラソンへ行くと。「ペースを落とせばまだ簡単に走れるわ」というイメージだったんですけれども、やはりマラソンには心臓循環系の持久力もいりますし、筋肉も持久力のある筋肉がないとダメなのでジョイナーさんはオリンピックに出る前の予選でもう入選できなかったということがわかっています。やはり両方を鍛えるということは難しいというのが結論です。

https://youtu.be/78zsG0osSy8?t=739

ご覧いただき本当にありがとうございます。「筋肉は裏切らない」これから皆さんも鍛えて、身体だけじゃなくて脳も鍛えられる可能性がありますので、そういうことも考えながら元気に過ごしていただければと思います。


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